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2020年11月6日(金) くもり

年に数回、私のもとに今の時代には珍しい新聞が届く。

ケニアの児童養護施設で活動していらっしゃる荒川さんという方が施設の子どもたちの様子や、ケニアのコロナの状況などを綴られている新聞で、 なにより私を魅了するのは、その新聞が手書きであるということだ。決して綺麗な字ではないけれども、丁寧に書かれたその字からは、荒川さんの人柄や心までも伝わってくる。

父の四十九日をもうすぐ迎える。世間では忌明けの挨拶というらしいが(浄土真宗では忌明けという言葉は使わない)、私も生前お世話になった方々に品物と手紙を送り改めて感謝の気持ちを伝えることにしていた。近頃うちの郵便ポストには、忌明けギフトや挨拶状作成の案内が山ほど届いていた。どの会社も”手軽に安く挨拶状つくりますよ”をキャッチフレーズに掲げ、うちが一番手軽だ!うちが一番手軽だ!との交戦していた。しかしこの”手軽に”という言葉が”手書き”に魅せられた私の闘志にメラメラと火をつけた。

その日から特訓が始まった。まずは筆ペンと教則本を買ってきてとことん練習。同時に挨拶状の文面の作成にも取り掛かった。文面も時間をかけて取り組んだ。文面ができたらそのままお手本になるように文体を整え、プリントアウト。そのプリントアウトしたものをお手本にしながら奇跡の一枚を書く。筆ペンの練習を初めてかれこれ1ヶ月。さて、いよいよ大詰めである。

「字には人間性がでるからね!」中学生のときに、おばあちゃん先生から言われた言葉だ。今になってその意味がわかる。私の字は雑で生き急いでる。

字と生き方って本当にリンクするなと感じる。今この瞬間を生きたいのに心はすぐに先にゆく。字もすぐに先にゆく。出来上がったものはあっちフラフラこっちフラフラ。綺麗なものではないし、もしかしたらそれもまた味があっていい人生(字)だよといってくれる人がいるかもしれないが、そう受け入れるだけの柔らかさがないのも字にあらわれている。

しかしまあ、インターネットやSNSだって悪いと思う。次は5Gだというではないか。そうやって時代が目にもとまらぬ早さで過ぎているのだからその点は考慮しなければ。

そんなことを思いながら、一字一字丁寧に取り組み、本日奇跡の一枚を書き上げた。ちょっと上手く書きすぎた。


写真は、西方で子どもたちと遊びながら撮った一枚。綺麗にとってあげたかったな。残念。

亀田信暁


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