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第15回初心者のための機動戦士ガンダム解説『北米の激戦』

 サイド7を出港したホワイトベースは地球連邦軍の軍事基地であるルナツーに到着しました。そこでひと悶着あったものの、護衛のサラミス級を1隻付けてもらい、南米にある連邦軍総司令部ジャブローへ向かうことになります。

 しかし、大気圏突入直前にシャア・アズナブル率いるファルメル隊から攻撃を仕掛けられます。これをなんとか振り切ったホワイトベース隊でしたが、予定していた降下軌道から大きく逸れてしまい、公国軍の勢力が強い北米に降り立ってしまったのです。

●ガルマ出撃

 U.C.0079年9月23日、シャアから連邦軍の新型艦が北米に降下したとの報告を受けた地球攻撃軍司令ガルマ・ザビ大佐は自らガウ級攻撃空母に乗り、迎撃作戦の指揮を執ることにしました。

 ガルマはシャアの乗るコムサイをガウ級に収容した後、12機のドップでホワイトベースに攻撃を仕掛けます。ホワイトベースは高度を下げ、ガンタンクを発進させて応戦しますが、そこにはガルマが伏兵として忍ばせていた12輌のマゼラ・アタックと1機のザクIIが待ち構えていました。ガルマはガウ級からさらに3機のザクIIを出撃させ、畳みかけます。しかし、ガンダムが出撃すると、圧倒的に優勢だった戦局が一気に覆され、壊滅的な被害を受けて撤退を余儀なくされます。

 この敗戦の後、ガルマはホワイトベースに固執するようになります。彼にはどうしても大きな手柄を立てたい理由があったのです。

 それがイセリナ・エッシェンバッハという恋人の存在です。彼女は反ジオン派として知られる前ニューヤーク市長の娘であるため、結婚を反対されていました。ガルマは手柄を立てることで彼女との結婚を認めてもらえるのではないかと考えていたのです。

●北米の実情

 北米には公国軍の地上における最重要拠点のひとつ、キャリフォルニア・ベースが存在します。ここではMSの開発や生産も行われていましたが、MSはアフリカ戦線を始めとした今尚激戦が続く地域に優先的に配備されていました。実際、同月には連邦軍によるアフリカ方面軍の掃討を目的とした“パトリオット作戦”が実行されています。

 ガルマは地球攻撃軍司令ではあるですが、突撃機動軍の下部組織であるため、実質的な指揮権はキシリア・ザビにありました。10月以降に新型MSの配備が約束されていたのですが、この時点での北米のMS不足は深刻で、戦力のほとんどがドップやマゼラ・アタックという通常兵器でした。

●EXAMシステム

 ホワイトベースが大気圏突入を行った同日に大きな事件が起こっています。フナラガン機関の研究者であるクルスト・モーゼス博士が連邦軍に亡命したのです。

 クルスト博士はニュータイプ研究を進める中で、ニュータイプの驚異的な能力に恐怖心を抱くようになり、いずれオールドタイプはニュータイプによって滅ぼされるのではないかという強迫観念に陥ってしまいます。

 そこでオールドタイプでもニュータイプに対抗できるシステムの開発に着手します。開発は難航しましたが、ニュータイプの少女“マリオン・ウェルチ”の協力によって、システムは完成します。しかし、その代償として、マリオンはシステムに精神を取り込まれてしまい、意識を失ってしまうことになります。

 クルスト博士は“EXAM”と名付けた、このシステムをMSに搭載しようとしましたが、公国軍のMSでは要求されるスペックを満たすことができなかったため、連邦軍への亡命を図りました。この時、彼にとっての敵はニュータイプとなっており、ジオンも連邦も関係なくなっていたわけです。

 連邦軍はクルスト博士の亡命を受け入れ、アルフ・カムラ技術大尉を補佐役として、非公式ながらEXAMシステム搭載MSの開発を進めていくことになります。

●補給部隊の到着

 ガルマの攻撃を退けたホワイトベース隊はアムロの提案で、コア・ファイターを弾道軌道で射出し、敵包囲網を突破してジャブローと連絡を取ろうと試みました。しかし、ガルマの妨害に遭い、これは失敗に終わってしまいます。

 尚もガルマの追撃は続きますが、ホワイトベース隊の奮戦によって、なんとか退けていきます。ただ、この頃には食糧も弾薬も底を突き始めていました。そんな中、ジャブローのレビル将軍から派遣された第136連隊所属マチルダ・アジャン中尉率いるミデア補給隊がホワイトベースに接触します。

 10月1日、ホワイトベース隊は初めての補給を受けると同時に正式な部隊として認められます。そして、リード中尉を始めとしたサラミス級の乗組員と避難民の一部(病人など)を引き渡しています。

 この時、マチルダは教育型コンピューターの戦闘データのコピーをジャブローへ持ち帰っています。僅か2週間で50機近く撃墜したアムロの戦闘データはジャブローの高官たちを驚愕させるのには十分なものでした。これによって、ホワイトベース隊に最新兵器を優先的に回すことが参謀本部で承認されることになります。

●ガルマ散る

 ガルマから執拗な攻撃を受けたホワイトベースは南進を断念し、公国軍の制空権から脱するため、西に進路を取ることになります。

 10月4日、シアトル近郊でホワイトベースを発見したとの報告を受けたガルマはガウ級3隻とザクII3機、ドップ24機で攻撃を仕掛けます。雨天野球場に隠れたホワイトベースを燻り出そうと絨毯爆撃を行いますが、シャアに騙され、ガンダムを囮にした陽動作戦に引っ掛かってしまいます。その結果、背後から総攻撃を受けたガウ級は轟沈し、ガルマは戦死します。

 シャアの正体はジオン・ズム・ダイクンの遺児であるキャスバル・レム・ダイクンで、ザビ家への復讐を画策していたのです。

 ガルマの戦死は司令官を失った北米戦線に大混乱を招いただけでなく、ザビ家の内紛を強めることになるなど、多方面に大きな影響を与えることになります。

●コロニアル作戦

 ホワイトベース隊がマチルダ隊と接触した同日、公国軍は南アジアへの侵攻を開始しています。連邦軍による反攻作戦が効果を上げ始めたことに対抗する形で実行されました。

 これまで対立していたキシリア派とドズル派が協力したことで知られ、連邦軍のマドラス基地に大きな損害を与えましたが、ガルマの戦死によって作戦は中止されることになります。

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