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第14回初心者のための機動戦士ガンダム解説『大気圏突入』

 U.C.0079年9月16日、最新鋭のペガサス級強襲揚陸艦“ホワイトベース”がジャブローを出港し、サイド7へ向かいました。そこで試作MSを受領し、そのまま実戦テストに移行する予定でした。しかし、9月18日にサイド7はシャア・アズナブル少佐率いるファルメル隊の強襲に遭い、正規の軍人や技術者のほとんどは戦死してしまい、残ったのは士官候補生や訓練生ばかりでした。彼らは破壊を免れたMSやそのパーツを詰め込めるだけ詰め込んで、避難民と共にサイド7を脱出しました。

 詳しくは前回の記事をご覧ください。

●補給妨害作戦の敢行

 9月19日、サイド7を出港したホワイトベースはルナツーへと向かいます。目的地を確認したシャアはルナツー近郊の小惑星に隠れ、補給部隊と合流することにしました。

 一方、ホワイトベース隊はムサイ級軽巡洋艦“ファルメル”に向かうパプア級補給艦を捕捉します。クルーたちは弾薬が不足している今、こちらから攻勢に打って出ないと、再び危険に晒されるとして、補給中に奇襲を仕掛けることにしました。

 ファルメルは整備のために出力を落としてしまったため、メガ粒子砲を撃てるようになるまで、5分以上かかる状態になっており、ザクIIで出撃したシャアもアムロのガンダムに足止めされてしまいます。その間に民間人であるカイ・シデンとハヤト・コバヤシの駆るRX-75 ガンタンクの砲撃によって、パプア級は轟沈されてしまいます。

 しかし、パプア級が轟沈される前に艦長であるガデム大尉とそのクルーたちはMSと物資は宇宙に放出していました。その後、乗艦と部下を失ったガデム大尉はシャアの制止を振り切り、作業用となって、何の兵装も持たないザクIで出撃し、ガンダムに特攻を仕掛けます。熟練の操縦技術で一撃を加えましたが、その硬い装甲を撃ち破ることはできず、ビーム・サーベルによって、返り討ちに遭い、戦死してしまいます。

 ガデムが時間を稼いでいる間にファルメルの臨戦態勢が整ったことで、ホワイトベース隊は撤退を開始し、ファルメル隊も追撃はせず、補給物資の回収を行いました。

●ルナツー入港

 9月20日、ホワイトベースはルナツーに入港します。しかし、ルナツー方面軍司令ワッケイン少佐は軍の最重要機密兵器を無断で使用したことによる罪で訓練生と民間人を拘束し、その処置はジャブローの指示を仰ぐことになります。

 一方、ホワイトベースの追跡を続けていたシャアはルナツーの艦隊が出払っていることに気付き、ノーマルスーツでの潜入工作を開始します。各所に爆発物を仕掛けると、まず要塞外部の施設を爆破し、ファルメルを接近させます。そして、迎撃のためにマゼラン級宇宙戦艦が出港しようとしたタイミングで宇宙港に仕掛けた機雷を爆発させると、マゼラン級はゲートを塞ぐような形で座礁してしまいました。シャアはすぐさまファルメルに戻り、ザクIIに乗り込み、僚機と共にルナツーに奇襲を仕掛けました。

 しかし、ここで思いもよらぬことが起こります。発電施設を爆破したことで、電子ロックが解除され、拘束されていたホワイトベースのクルーたちが脱走してしまったのです。重傷を負っていたパオロ艦長は自らの責任で訓練生と民間人にホワイトベースの運用を任せるようワッケインを説得します。

 RX-78-2 ガンダムを発進させ、MSを足止めしている間にホワイトベースの主砲で座礁したマゼラン級を排除し、ルナツーを出港します。この戦闘でザクを2機失ったシャアは撤退を余儀なくされました。

 しかし、パオロ艦長も遂にここで息を引き取ってしまいます。心の支えを失い、大きな不安を抱えながらホワイトベースはリード中尉が艦長を務めるサラミス級宇宙巡洋艦の護衛と共にジャブローを目指します。

●大気圏突入

 9月23日、ホワイトベースの大気圏突入が近づいたタイミングで、ファルメルは補給を受けました。クルーたちは追跡を諦め、他の戦場へと赴くことになったと考え、安堵の声を漏らしました。しかし、シャアは大気圏突入直前を狙うという前代未聞の作戦を敢行したのです。

 戦闘時間は僅か5分しかありません。それを過ぎると、母艦に戻ることができず、大気圏で燃え尽きてしまいます。しかし、5分もあれば、ホワイトベースを轟沈させることも不可能ではありません。ブライトもやむなくガンダムを発進させて、迎撃に当たらせることにしました。

 シャアは1機のザクIIと共にガンダムを引き付け、残る2機のザクIIにはホワイトベースとサラミス級の大気圏突入カプセルに攻撃を仕掛けさせます。被弾して小破したカプセルはホワイトベースに収容されますが、アムロの奮戦で2機のザクIIを撃墜し、ホワイトベースを守ります。

 しかし、この時点でタイムリミットの5分を迎えており、シャアはコムサイへと帰還しますが、もう1機のザクIIを深追いしたアムロはホワイトベースから離れ過ぎてしまったのです。圧縮断熱により、コムサイに帰還できなかったザクIIは燃え尽き、アムロもピンチに陥りましたが、なんとガンダムには大気圏突入機能が備わっていたのです。アムロの冷静な対処により、耐熱フィルムを使った大気圏突入に成功し、なんとかホワイトベースに帰還することができました。

 しかし、シャアの奇襲を受けたホワイトベースの軌道は大きく逸れてしまい、ジャブローのある南米ではなく、公国軍の勢力圏である北米へと降下してしまったのです。

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