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初心者のための機動戦士ガンダム兵器解説『ペガサス級強襲揚陸艦ホワイトベース』

●開発経緯

 U.C.0058年、ジオン共和国が独立を宣言すると、それに対抗して、地球連邦軍は“60年代軍備増強計画”を進め、宇宙艦隊の編成を主軸として、マゼラン級やサラミス級の開発を行い、宇宙軍を設立します。

 しかし、共和国軍側も新兵器の開発を進めて、それに対抗しました。連邦軍は共和国に圧力をかけるため、マゼラン級やサラミス級を大量配備するなど、宇宙軍の更なる拡充を図りました。“70年代軍備増強計画”です。

 この計画の中で進められたのが開発中だった航宙戦闘機“FF-S3 セイバーフィッシュ”を艦載機とする宇宙空母の開発、“SCV-X計画”でした。そして、様々なプランが持ち上がる中で注目を浴びたのが“SCV-27計画”です。

 SCV-27には“ペガサス”というコードネームが与えられ、開発が承認されると、U.C.0078年2月にジャブローで起工されます。

 しかし、U.C.0079年1月に一年戦争が勃発したことで、MSの重要性を痛感することになり、同年4月にMSとその運用艦の開発を中心とした“V作戦”が始動します。SCV-X計画はV作戦へ統合され、MS運用艦の開発に姿を変えることになります。

 1番艦として起工されたペガサスは既にある程度の建造が進んでいたこともあり、MS運用艦としての改修やエンジンの設計に不具合が見付かったことにより、後から起工された2番艦ホワイトベースが1週間早い、U.C.0079年9月1日に竣工されます。本級がホワイトベース級と呼ばれることがあるのは、このためだとされます。

●実験的な側面が強い艦艇

 MSという全く新しい機動兵器の運用法が確立していなかったため、本級には様々な新技術が導入されており、建造中あるいは建造後も設計変更が行えるように各パーツがユニット化されたブロック構造となっています。これにより、ダメージコントロールにも優れ、被弾した際には各ブロックを切り離すことも可能です。

 実際に同級であっても、その形状はすべて異なっており、呼称も“改ペガサス級”や“準ホワイトベース級”など様々です。そのため、マゼラン級やサラミス級のように大量に建造されておらず、あくまでも実験艦という立ち位置でした。

●RXシリーズの運用を前提とした設計

 連邦軍の宇宙艦艇は洋上艦をモチーフにした形状が多い中、本級は特異な形状をしており、ホワイトベースは公国軍から“木馬”と呼ばれていました。

 その前足に当たる部分は電磁カタパルトが備え付けられたMS格納庫となっており、左右それぞれMSを3機ずつ搭載することができます。また、コア・ブロック・システムを搭載したRXシリーズに対応しているため、コア・ファイターをアームで掴んで着艦させ、そのままMSにドッキングさせることもできます。

●長期間の航行が可能

 艦体正面は重力圏内で運用する輸送機“ガンペリー”の格納庫となっています。

 その上部は第2ブリッジとなっており、メインブリッジが破損した場合、こちらで引き継ぐことになります。

 艦体中央部は居住区画となっています。遠心力による疑似重力発生装置が内蔵されており、居住性は良好で、長期間の作戦行動にも対応しています。

 その上部に突き出したメインブリッジはミノフスキー粒子散布下における広い視界が確保されています。

 艦体後部は第4デッキとなっており、航空機および航宙機の発着に使用されます。緊急脱出用のランチはこちらに収容されていると思われます。

●不調に悩まされ続けたエンジン部

 後足に当たる部分はエンジンユニットとなっています。熱核ロケットと熱核ジェットのハイブリッド型で、左右それぞれ4基ずつ設置されています。

 1番艦の建造中に不具合が発見され、設計変更が行われましたが、エンジンの不調は完全に解消されたわけではなく、ホワイトベースもその不調に悩まされ続けることになります。そのため、4番艦以降は大幅な設計変更が行われ、艦全体の形状も大きく変化します。

不調が続いたエンジン

●ミノフスキー・クラフト

 艦体下部の赤い部分は“ミノフスキー・クラフト”発生装置です。Iフィールドの層を継続的に形成し、その反発力によって、艦体を浮上させるというものです。

 翼は揚力を得るためというよりも安定した飛行を補助するためのスタビライザーになっています。

 また、ミノフスキー・クラフトにより、単独での大気圏突入だけでなく、ブースターなしでの大気圏離脱も可能となっています。

●火力自体は高くはないが

 武装としては、第2ブリッジ上部の実体弾を用いた880mm連装砲を主砲とし、左右のドーム内には2連装メガ粒子砲が装備されています。

 それぞれの威力は非常に高いものの、様々な新技術を投入した複雑な構造上の問題から武装の取り付けには制約が生まれたため、艦隊戦での火力は高くはありません。

 ただ、対空砲火は充実しており、容易に敵MSの接近を許さないことや搭載されたMS自体が大きな火力となることから、一年戦争での戦果は大きく評価されることになり、その後のMS運用艦の発展に大きく貢献します。

“ペガサス級強襲揚陸艦ホワイトベース”

●スペック

艦籍番号:SCV-70
全高:93m
全長:262m
全幅:202.5m
全備重量:32,000t
出力:550,000馬力
最高速度:マッハ12(大気圏外)
航続距離:地球火星間往復
装甲材質:ルナ・チタニウム合金
推進機関:熱核ロケット/ジェットエンジン8基
MS搭載数:6機
艦長:パオロ・カシアス、ブライト・ノア

●基本武装

○880mm連装砲
 艦体上部に装備された本級の主砲で史上最大の口径を持ちます。弾頭重量は2t、最大射程距離は70kmにも及び、マゼラン級を一撃で沈める威力を持つ反面、反動も大きく、使用時には他の火砲の使用が制限されます。

○2連装メガ粒子砲
 艦体左右のドーム内に装備されています。前後180度回転が可能で、仰角もある程度は付けられるようです。威力は申し分ないものの、一方向に向けられる火砲の数があまりにも少ないため、火力不足は否めません。

○2連装機関砲、ミサイルランチャー
 艦体各所に連装機関砲が18基、ミサイルランチャーが40門装備されています。これらで弾幕を形成することで、MSの接近を容易に許しません。

●強襲揚陸艦としては運用されていない

 本級は強襲揚陸艦に分類されますが、実はそのような運用は一度もされていません。揚陸艦というのは、港湾施設のない場所からでも陸戦隊を上陸させることができる軍艦を指し、その中でも強襲に用いられるものが強襲揚陸艦と呼ばれます。

 つまり、本級の役割としてはスペース・コロニーを制圧するため、内部にMS及び航空機を送り込むことなのです。ただ、サイド3への侵攻が行われなかったため、本来の役割で運用されることはなかったわけです。

 サイド6の“リボー”を制圧しようとしたわけではありませんが、“グレイファントム”が一番それに近い形で運用されたと言えるかもしれません。

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