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初心者のための機動戦士ガンダム兵器解説『RX-78-2 ガンダム』

●開発経緯

 地球連邦軍はジオン公国軍のMSに対抗するため、“V作戦”を発動し、MSの開発を進めました。先に完成したRX-75は既存兵器の延長線上に位置するもので、MSとしての完成度はまだまだ低いものでしたが、鹵獲したMS-06を徹底的に研究し、開発したRX-77はMS-06に引けを取らない完成度の高い機体として完成しました。

 しかし、公国軍がMSの汎用性に注目し、単一機種で全ての戦場に対応しようとしたのに対し、連邦軍は戦闘距離別にMSを運用するという思想からRX-75を長距離支援、RX-77を中距離支援とし、最も高い技術が求められる白兵戦用MSの開発は続けられます。

 そして、開発責任者であるテム・レイ技術大尉はRX-77-1をベースに近接格闘戦用に再設計を行い、U.C.0079年7月7日、遂にMS-06の機動性、運動性を遥かに超える“RX-78-1 プロトタイプ・ガンダム”をロールアウトさせました。

 RX-78-1はジャブローで2機が生産され、ルナツー経由でサイド7へ送られ、実用試験が行われることになります。この試験データから装甲や駆動系の刷新が行われた3号機が完成し、“RX-78-2”の型式番号が与えられます。3号機もジャブローからルナツー経由でサイド7へ送られ、1号機と2号機にも同様の改修が施されます。

●RX-78の運用

 ジャブローで生産されたRX-78は全部で8機あるとされ、初期ロットと呼ばれる1号機から3号機は実戦投入による実働データの収集という役割が与えられました。4号機から8号機は量産型のベースとして、ジャブローに残され、改修と試験が繰り返されることになります。そして、量産型の雛型が出来上がった後は次世代機のテストベッドとして運用されることになります。

●エネルギーCAP

 MSの実働データが不足していた連邦軍はRXシリーズ、特にRX-78にはコスト度外視で様々な新技術を詰め込めるだけ詰め込みました。実働データを収集した後、量産機には不必要な機能をオミットすれば良いという考えです。

 RX-77から引き続き、コア・ブロック・システムやフィールド・モーター、ルナ・チタニウム合金が採用されたのに加えて、確立したばかりの新技術、エネルギーCAPも導入されています。

 エネルギーCAPはメガ粒子に縮退寸前のミノフスキー粒子を蓄積しておくことができる装置です。ミノフスキー粒子をメガ粒子に変化するには強大なエネルギーを必要とするため、メガ粒子砲の小型化は難しいとされていましたが、この技術のおかげでMSでも携行可能なサイズまでの小型化に成功しました。

 これにより誕生したのがビーム・ライフルです。“戦艦並みのビーム砲”とも称されるほどの威力を有し、本機の強さを象徴する兵装のひとつで、後年のMSの標準装備となる大発明でした。

 ただ、当時の技術では使用回数が約15発と非常に少なく、予備弾倉もないため、使い切った後は母艦に戻ってスペアを受け取るしかありません。さらにビームには誘導機能もないため、高い命中率を誇るエースでもない限り、運用は難しく、あまり実用的と言えるものではありませんでした。

●ビーム・サーベル

 エネルギーCAPを使用した兵装として、もうひとつ採用されたのがビーム・サーベルです。縮退寸前のミノフスキー粒子をビーム砲として発射するのではなく、Iフィールドで覆うことで、ビーム刃を形成します。高い切断能力を有し、近接格闘用兵装として、こちらも後年のMSの標準装備となります。

“ビーム・サーベル”

●大気圏突入機能

 本機に採用されたその他の新機軸として、耐熱フィルムがあります。下腹部のV字マークの部分に収納されており、これで機体を覆うことで、断熱圧縮を防ぎ、単独での大気圏突入が可能となります。

 しかし、大気圏突入後すぐに母艦に回収してもらわないと、そのまま大地や海に墜落してしまうため、後年はより安全なバリュートやフライング・アーマーが採用されました。

 RX-75やRX-77にも採用されたという資料も存在しますが、詳細は不明です。

●オート・パイロット機能

 さらに教育型コンピューターによる自動運転も可能となっています。データを蓄積させることで、それなりの動きは期待できそうですが、腕のあるパイロットは自身で操縦した方が性能を引き出せますし、信頼性も低いためか、ほとんど使用されることはありませんでした。

●ガンダム伝説を築き上げた名機

 サイド7で最終試験が行われ、実戦投入が予定されていた1号機から3号機でしたが、公国軍の強襲に遭い、1号機は大破、3号機は小破してしまいます。しかし、アイドリング状態だった2号機にアムロ・レイが乗り込み、これを撃退してから、ホワイトベースの艦載機として、鬼神の如き強さで連邦軍の勝利に大きく貢献します。

 一年戦争での活躍はもはや伝説となり、兜の前立のようなアンテナや人間の目のようなデュアルセンサーといった特徴的な頭部デザインや軍事兵器とは思えない派手なトリコロールカラーは後のMS開発にも大きく影響を及ぼし、多くのガンダムタイプと呼ばれるMSが誕生することになります。

 尚、大破した1号機は機密保持のために焼却処分され、小破した3号機は2号機の予備パーツとしてホワイトベースに収容された後、連邦軍によって回収され、マグネット・コーティングのテストベッドとなりました。

“RX-78-2 ガンダム”

●スペック

頭頂高:18.0m
本体重量:43.4t
全備重量:60.0t
ジェネレーター出力:1,380kW
スラスター総推力:55,500kg
装甲材質:ルナ・チタニウム合金
主な搭乗者:アムロ・レイ、セイラ・マス

●基本武装

○60mm2連装バルカン砲
 トト・カニンガム社製の機関砲で、頭部に内蔵されています。近接防御や牽制に使用されます。弾倉が頭部に内蔵されており、装弾数は多くなく、威力も高くはありませんが、近接戦闘において有用だったことから、連邦系MSの標準装備となります。

○ビーム・ライフル
 ブラッシュ社製の携行可能な小型メガ粒子砲です。小型でありながら“戦艦並みのビーム砲”と称されるほどの威力を有しています。その一方、使用回数は約15発と少なく、当時は予備弾倉のEパックも存在しないため、実用的と言えるものではありませんでした。

○ビーム・サーベル
 バックパックに2基装備された近接格闘用兵装です。縮退寸前のミノフスキー粒子をIフィールドで覆うことで、ビーム刃を形成します。高い切断能力を有しており、後のMSにも標準装備されることになります。

○ビーム・ジャベリン
 ビーム・サーベルの持ち手部分を延長し、投げ槍状に変形させた状態です。もちろん投げずに槍として使用することもできます。誤作動防止のためか、サーベルのリミッターを解除することで変形が可能になります。

○380mmハイパー・バズーカ
 ブラッシュ社製のMS用バズーカです。後方にガスを噴射する無反動砲となっており、通常は肩に掛けて使用します。高い威力と爆風による広い効果範囲を有しており、アムロ・レイも愛用していました。本来は対艦用ですが、対MS戦にも使用されます。装弾数は5発です。

○ガンダム・シールド
 ルナ・チタニウム合金や超硬スチール合金など、複数の素材を用いた多層構造を採用することで、堅牢さよりも衝撃の吸収や拡散を目的としています。ハンドルをマニピュレーターで保持させる方式を採用したことで、広い防御範囲を獲得することができました。

○ガンダム・ハンマー
 鎖の先に鉄球が付いた質量兵器です。ビーム・サーベルの実用化が上手くいかなかった時の保険として開発されました。極めて単純な物理攻撃という原始的であるが故の強みもあり、本機以外にも一定数が配備されています。

○ハイパー・ハンマー
 ガンダム・ハンマーの強化バージョンで、大型化された鉄球にスラスターが増設され、スパイクも鋭くなっています。

○スーパー・ナパーム
 広域を焼き払う強力なナパーム弾です。着火にはビーム・ライフルが用いられ、銃身下部に取り付けられるようになっています。

“ガンダム・ハンマー”

●アムロ最大の功績

 本機のメインパイロットを務めたアムロ・レイはパイロットとして非常に優秀だっただけでなく、機械にも精通しており、機体の整備まで行っています。

 彼の活躍は連邦軍の勝利に大きく貢献したわけですが、彼の功績として忘れてはならないのが教育型コンピューターを正規のテストパイロット以上に鍛え上げたことです。

 全く軍人としての訓練を受けていない民間人の少年が最強のエースパイロットになるまでの一部始終を記録したことで、量産機の高い操作性を実現し、練度の低い新人パイロットでも熟練パイロットのような動きができるようになったのです。

 アムロのOSはその後、何度もバージョンアップが行われたものの、100年近くもの長期の間、連邦軍のMSに使用され続けました。これこそ、アムロ最大の功績と呼べるのではないでしょうか。

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