初心者のための機動戦士ガンダム兵器解説『RX-77-2 ガンキャノン』
●開発経緯
地球連邦軍はジオン公国軍のMSに対抗するため、“V作戦”を発動し、連邦軍では初のMSとなるRX-75を開発しました。しかし、MSとしての完成度は高いものとは言えず、大型戦闘車輌の域を脱するには至りませんでした。特に二足歩行やマニピュレーターの技術の確立に難航していたのです。
そんな中、連邦軍にとって僥倖だったのがMS-06を鹵獲することができたということでした。公国軍から亡命した技術者の協力もあり、二足歩行やマニピュレーターの研究は飛躍的に進んでいくことになります。
こうして、連邦軍では初となる二足歩行型MS、“RXM-1”が開発されます。完成度はMS-06に及ばなかったものの、試験データは良好でした。そして、この試験データを元に“RX-77-1”が開発されることになります。
この段階で既にMS-06に引けを取らない機動性、運動性を獲得していましたが、公国軍が今後、新型を投入するであろうことは自明です。白兵戦用MSの開発は引き続き行われ、RX-77は中距離支援用MSとして位置付けられることになります。
後方支援が目的であり、近接格闘戦を行うことは想定されていないため、格闘戦用の兵装やシールドはオミットされましたが、RX-75が目視できない遠距離から間接砲撃を行うのに対し、RX-77は中距離から直接砲撃を行います。必然的に被弾する危険性が高まることになるため、装甲の強化が求められるわけですが、同時に機動性や運動性の低下を招いてしまいます。そこで、どのような装甲パターンが最も効果的に耐弾性と軽量化を両立できるかを検証するために“RX-77-1A”が開発され、最終的に完成したのが本機“RX-77-2 ガンキャノン”です。
●中距離支援機の雛型に
本機の外観的な特徴はその名の通り、両肩部に1門ずつ装備されたキャノン砲です。MSに搭載可能なビーム兵器の技術が確立していなかったことから、より信頼性の高い、炸薬によって実体弾を発射する方式が採用されています。
エネルギーCAP技術が確立された後、専用のビーム・ライフルが開発され、キャノン砲と併用して、中距離支援を行うことになります。
この肩部に支援用火器を装備するという方式は中距離支援用MSの雛型となり、直系以外のMSにも引き継がれていくことになります。
●恐ろしいまでの装甲強度
本機の最大の強みは耐弾性の高さです。それはジャイアント・バズの直撃にも耐えたという記録が残っているほどです。当然、当たりどころや何度も被弾することによる劣化で破損、撃墜されることはありますが、中距離支援という役割やRX-75との共通規格であるコア・ブロック・システムの採用も相まって、非常に高い生還率を誇ります。
この装甲強度とコア・ブロックに搭載された教育型コンピューターによって、全くの素人だったカイ・シデンも大戦終盤になると、エース級の活躍を見せています。その時期になると、実戦経験が豊富なパイロットが両軍共にほとんど残っていないという状況です。僅か数ヶ月でも数々の修羅場を潜り抜けてきたカイは熟練パイロットと言えるわけです。
●イメージほど鈍重ではない
本機は高い火力と装甲強度を手に入れた代わりに機体重量の増加を招き、機動性や運動性が犠牲になっています。ただ、空間戦闘ではMS-09Rと渡り合うことができますし、地上戦ではMS-07の運動性、MS-09の機動性に苦戦を強いられましたが、MS-06を苦手な格闘戦で撃退しています。あくまでもRX-78-2との相対評価であって、決して鈍重な機体というわけではありません。
●スペック
頭頂高:17.5m
本体重量:51.0t
全備重量:70.0t
ジェネレーター出力:1,380kW
スラスター総推力:51,800kg
装甲材質:ルナ・チタニウム合金
主な搭乗者:カイ・シデン、ハヤト・コバヤシ、アムロ・レイ、リュウ・ホセイほか連邦軍パイロット
●基本武装
○240mm低反動キャノン砲
両肩部に装備されています。炸薬によって実体弾を発射します。砲弾は胴体部に40発、液体火薬は脚部に内蔵されています。RX-75のものと比較して短砲身となり、射程距離は短くなりましたが、取り回しが改善され、MS-06を一撃で仕留める威力も有しています。また、砲身周囲の強制冷却ジャケットにより、ザク・マシンガンに匹敵する連射性能を誇ります。重力圏では遮蔽物越しに曲射を行うこともできます。
○スプレーミサイルランチャー
キャノン砲と換装することができる選択式のオプション兵装です。多数のミサイルを発射して、弾幕を形成します。ただ、ミノフスキー粒子散布下では十分な命中精度を得ることができず、制式採用はされませんでした。
○60mm2連装バルカン砲
トト・カニンガム社製の機関砲で、頭部に内蔵されています。近接防御や牽制に使用されます。弾倉が頭部に内蔵されており、装弾数は多くなく、威力も高くはありませんが、近接戦闘において有用だったことから、連邦系MSの標準装備となります。
○ビーム・ライフル
ボウワ社製でRX-78-2のものと比較して、砲身が長く、取り回しに難はあるものの、有効射程距離は30kmにも及び、狙撃に適したものとなっています。
○ハンドグレネード
脚部のラックに1基ずつ収納されたMS用手榴弾です。拠点攻略時の防衛線突破に使用されます。
●後のMS開発に大きな影響を与える
本機はジャブローで6機が製造され、その内の3機が最終調整のためにサイド7へ移送されました。しかし、公国軍の強襲によって、2機が失われてしまい、残った1機がホワイトベース隊にて運用されることになります。ホワイトベース隊での本機の活躍により、中距離支援用MSとして、高く評価され、パーツ状態で残っていたものも組み上げられて、実戦投入されたり、簡易量産機や後継機の開発も進められます。
しかし、戦後は軍縮によるMSのマルチロール化が推進されたことで、直系機の開発はストップされてしまいます。その代わり、中距離支援用装備という形で、機体のコンセプト自体は後世まで残り続けることになります。
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