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初心者のための機動戦士ガンダム兵器解説『MS-06FS ザクII FS型』

●開発経緯

 ジオン公国軍は汎用性に優れたMS-06Fをベースに様々なバリエーション機を開発しています。本機もその中のひとつで、近接戦闘能力の強化を図った指揮官向けの機体として開発されました。

 MS-06Fについて、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

●高性能機ではなく高級機

 近接戦闘能力強化のため、頭部に30mm機関砲を4門内蔵しているのが最大の特徴です。斉射による近接防御で一定の効果を発揮しましたが、弾倉も頭部に内蔵されていることから、装弾数が少なく、10秒程度で撃ち尽くしてしまいます。

 また、指揮官向けに開発されたため、マルチ・ブレード・アンテナが標準装備とされ、通信能力や索敵能力が向上しています。機関砲を内蔵している関係で、アンテナの基部の構造は一般的なものと異なりますが、性能に相違はありません。

 それ以外の設計は基本的にF型と変わりませんが、F型の生産ライン上で生まれた高品質なものを厳選して改修を行っているため、機体の信頼性は高いものとなっています。

 このように、本機はF型の範疇からはみ出すような“高性能機”ではなく、“高級機”という側面が強いものとなっています。その分、S型のような高い操縦技術は求められず、一般的なパイロットでも性能を引き出しやすいというメリットがあります。

●ガルマ専用機で名が知れる

 本機は指揮官用高性能機である“MS-06S”のロールアウトと共に、その役割を終え、早くも生産が中止されています。

 さらに当時の主力機はC型であり、生産数自体がまだまだ少ないF型の中から厳選されたものが改修を受けています。そのため、生産数が非常に少なく、実戦記録もほとんど残っていません。

 そんな本機を有名にしたのが“ガルマ・ザビ専用機”です。第一次降下作戦の際、彼が搭乗し、活躍したと喧伝され、その名が知られるようになったわけです。

“MS-06FS ザクII FS型 ガルマ・ザビ専用機”

●スペック

頭頂高:17.5m
本体重量:56.2t
装甲材質:超硬スチール合金
主な搭乗者:ガルマ・ザビ、シン・マツナガ、エリック・マンスフィールドほか公国軍エースパイロット

 本機はエースパイロットや高級将校に与えられており、それぞれが独自のカスタマイズを行っているため、スペックには幅があるようです。

●基本武装

○30mm機関砲
 頭部に計4門内蔵されています。門数が多いため、斉射による命中率は高かったものの、弾倉も内蔵されていることから、装弾数が少なく、10秒程度で撃ち尽くしてしまいます。また、威力もそれほど高いものではありませんでした。

○120mmザク•マシンガン
 MS-06以外にも広く使用されたジオン公国軍MSの一般的な兵装です。モノアイとスコープを連動させることで、精密射撃も可能です。装弾数は145発で、セミオートとフルオートに切り替えが可能になっています。徹甲弾、榴弾、徹甲榴弾、成形炸薬弾など弾種も豊富に用意されています。

○280mmザク•バズーカ
 弾速に難はありましたが、その高い威力は対艦用兵装として猛威を振るいました。装弾数は単発もしくは5発とされますが、装填する描写がなく、詳細は分かりません。

○ヒート•ホーク
 セラミック系高分子化合物の刃を赤熱化することで、対象を溶断します。数回使用すると、刃先が劣化してしまい、交換が必要になります。ガルマ・ザビ専用機は装飾、形状の異なる大型のものが装備されています。

○マゼラ・トップ砲
 マゼラアタックの主砲をMS用の手持ち火器に現地改修されたもので、制式採用された兵装ではありませんが、十分な補給を受けることができないジオン兵にとっては貴重な兵装でした。

ガルマ・ザビ専用機の大型ヒート・ホーク

●儀礼用の機体?

 生産数が極端に少なく、高級将校に優先的に与えられており、実戦記録もほとんど残っていないことから、儀礼用の機体として見るのが妥当なところかと思われます。それ故に正当な機体評価は難しいところではあります。

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