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初心者のための機動戦士ガンダム兵器解説『ガウ級攻撃空母』

●開発経緯

 ジオン公国軍は、地球侵攻作戦を実行するには制空権の掌握が必要不可欠と考え、大気圏内用戦闘機である“ドップ”を開発、量産しました。

 ドップについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

 しかし、ドップの航続距離はあまりにも短く、迎撃機として拠点近郊の防空くらいでしか運用できませんでした。また、MSに関しても、前線への高速展開に問題を抱えていたこともあり、大型輸送機の開発が進められることになりました。

 “第一次降下作戦”の際、バイコヌール宇宙基地で鹵獲したスペース・コロニー移民用のシャトルを運んだ巨大輸送機がベースとなっており、多数の戦闘機やMSなどを搭載運用でき、まるで“空飛ぶ空母”のようであることから、“ガウ級攻撃空母”と名付けられました。

●一年戦争当時、最大級の航空機

 両翼部にドップを各4機ずつ、中央のMS格納庫にはMSを3機搭載することができます。また、後部には“ルッグン”や“コムサイ”を収納できる発着艦デッキがあります。

 大気圏へ突入したコムサイを空中収容、そこから弾道軌道で打ち出し、連邦軍の制空圏内を避けて自軍基地へ送り出すことができるため、航続距離の短いコムサイの生存率は大きく向上しました。

 熱核反応炉を搭載し、18基もの熱核ジェットエンジンを用いて飛行、その最高速度はマッハに迫ります。ただ、機体の形状上、十分な揚力を得ることができず、推力の約30%を下方へのジェット噴射によって補っています。

 開発の初期段階では理論上、航続距離は無限であるとされましたが、勿論これは机上の空論に過ぎません。それでも、ドップやMSなどを搭載した状態でキャリフォルニア・ベースとジャブロー近辺を往復できるほどの航続距離は持ち合わせています。

 ほかにも、メガ粒子砲や対空機銃、対地爆弾といった重武装が施されており、機体は大型化、一年戦争当時としては、最大級の航空機となりました。

●弱点が露呈し、次々と撃沈

 ガウ級はドップと共に、戦争後期まで制空権掌握に大きく貢献しました。約40機が生産され、主に北米に配備されましたが、“オデッサの戦い”にも投入されています。

 しかし、そんなガウ級には大きな弱点が存在しました。まず、旋回するには垂直尾翼を動かす以外に方法がなく、運動性に難がありました。そのため、MSや戦闘機との直接戦闘を苦手としていました。連邦軍の反攻作戦が始まり、護衛のドップが撃墜されるようになると、恰好の的になってしまいました。

 また、MSの発着口が機体前面に配置されているため、低空で時速100km程度まで減速してからMSを発進させていました。この大きな隙を突かれ、対空砲火の餌食となることも少なくありませんでした。

 終戦までにほとんどが撃沈されたとされ、超大型であるため、残党勢力に運用されることもありませんでした。

“ガウ級攻撃空母”

●スペック

全長:62m
全備重量:980t
動力源:熱核反応炉
推進機関:熱核ジェットエンジン
最高速度:マッハ0.9
乗員:34名
主な搭乗者:ガルマ・ザビ、ダロタ、イセリナ・エッシェンバッハほか公国軍士官および兵士

●武装

○2連装メガ粒子砲
 両翼と本体上部に装備されている対空砲です。砲手が砲座に乗り込み、手動で操作します。

○対地爆弾
 本体底部の爆弾倉に装備され、絨毯爆撃を行います。ジャブローに対して、度々爆撃を行っていましたが、硬い岩盤に覆われるジャブローにはほとんど効果がなく、“定期便”と揶揄されていました。

○対空機銃
 近接防御用に機体各部に装備されていますが、詳細は不明です。

○対地ミサイルランチャー
 ドップの格納庫を対地ミサイルランチャーに改修した機体も存在しました。MSの降下を援護するために使用されます。“ジャブロー攻略戦”の際に確認されています。

両翼部にドップの発着口があります。

●戦後、連邦軍によって生まれ変わる

 戦後、宇宙世紀最大級の航空機として登場する“ガルダ級”は、ガウ級を参考に開発されたと言われています。コスト面の問題から多くは建造されていませんが、連邦軍本隊だけでなく、エゥーゴ、カラバ、ティターンズや敵勢力であるネオジオンにも奪取され、使われました。U.C.0096年でも現役で活躍しています。

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