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初心者のための機動戦士ガンダム兵器解説『ドップ』

●開発経緯

 MSを主力兵器としたジオン公国軍は、陸戦用のMS-06J、水陸両用のMS-06Mといった局地戦用MSの開発を進めましたが、主戦場はあくまでも宇宙です。国力の乏しいジオン公国に地上戦力に大きくリソースを割く余裕はなかったため、MSよりも低コストで生産できる戦闘車両や航空機を開発し、戦力を補いました。

 ジオン公国軍主力戦車“PVN.42/4 マゼラ・アタック”について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

 地球上での軍事行動に制空権の獲得は必要不可欠です。しかし、いくら汎用性の高いMSでも地球に降りると地上戦力に過ぎません。そこで制空権の獲得や部隊の高速展開、物資の輸送などを目的に航空機の開発が進められました。

 ただ、コロニー国家であるジオン公国に航空機に関する技術はほとんどありませんでした。そのため、開発は宇宙戦闘機の技術やコンピュータによるシミュレーション、コロニー内での風洞試験によって行われました。

 やはり開発は難航し、地球に送られた試作機の飛行試験では、試作1号機から試作4号機までがすべて墜落してしまいます。試作5号機には姿勢制御用スラスターを取り付け、なんとか飛行に成功、実用化に至りました。

 こうして完成した“ドップ”は、“地球侵攻作戦”の発動と共に量産され、実戦投入されることになります。

●ドッグファイトに特化した性能

 ミノフスキー粒子散布下において、広い視界を得るため、コックピットは上方に張り出したドーム型のキャノピーになっています。

 そして、そのコックピットを機関部に積み上げるような形で配置することで、全長が短くなり、高い運動性を獲得しました。

 また、高推力の化学燃料ジェット・エンジンが搭載されており、機動性も高く、劇中ではマッハ5という驚異的なスピードで飛行していました。

 高い運動性と機動性を誇るドップは、ドッグファイトに特化した性能になっており、優れた航空機開発技術を持つ連邦軍の大気圏内用戦闘機とも互角以上の戦いを繰り広げることができました。

●非常に短い航続距離

 ドップは、その特異な形状から十分な揚力を得ることができず、高い推力と姿勢制御用スラスターを用いて、強引に飛行させていました。劇中で主翼の片側を失っても、飛行できていたのはそのためです。その分、燃費が非常に悪く、航続距離は1,200km程しかありませんでした。ちなみに東京からソウルまでが約1,200kmです。

 そのため、迎撃機として拠点付近の防空くらいでしか運用できず、母艦となる“ガウ級攻撃空母”が開発されることになり、その艦載機として運用されることになりました。

“ドップ(一般機)”

●スペック

全長:92m
全幅:12.1m
全高:46m(ランディングギア含む)
全備重量:5.2t
最高速度:マッハ5
乗員:1名
主な搭乗者:ガルマ・ザビ、ノリス・パッカード、ゲビル、バイソン、ハンブル、ビービほか公国軍パイロット

●基本武装

○30mmバルカン砲
 機関部上方の左右に装備されています。本来は対空用ですが、対地攻撃にも使用されます。

○6連装ミサイルランチャー
 バルカン砲と一体となっており、こちらも対空及び対地攻撃に使用されます。ミノフスキー粒子散布下では遠距離誘導を行うことができないため、目標に接近して使用します。

“ガルマ・ザビ専用機”も存在しますが、異なるのはカラーリングだけで、性能に違いはありません。

●圧倒的な物量差によって敗北

 決して戦闘機としての完成度は高くなかったドップでしたが、公国軍にとっては重要な航空戦力であり、地球侵攻作戦において、制空権の掌握に大きく貢献したことに間違いはありません。しかし、連邦軍による反攻作戦が開始されると、その圧倒的な物量差によって、次々と撃墜されていきました。

 戦後は“サブフライトシステム(SFS)”という、MSを上に乗せて、輸送や空中戦などを行うことが主流となったため、戦闘機の開発自体が縮小し、その姿を消していくことになります。

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