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第7回初心者のための機動戦士ガンダム解説『地球侵攻作戦』

 二度目のコロニー落としによるジャブロー攻略に失敗したジオン公国軍でしたが、“ルウム戦役”に勝利し、司令官のレビル将軍を捕らえたことで、事実上の降伏勧告を行います。

 しかし、停戦協定締結の直前にレビル将軍が脱出に成功、ジオン公国の苦しい内情を暴露したことで、連邦軍は公国軍の要求を退けて、徹底抗戦を主張しました。結局、交渉は戦時条約締結のみに終わり、戦争は継続することになりました。

 詳しくは前回の記事をご覧ください。

●地球方面軍の設立

 戦争の早期終結に失敗した公国軍は、国家戦略の見直しに迫られます。そして、地球に降下し、橋頭堡の確立や鉱物資源の確保を行って長期戦に備え、連邦の基地を占領または破壊することで、戦力の立て直しを遅らせた上で、最終的にはジャブローを直接叩くという地球侵攻作戦を立案しました。

 独裁制を敷く公国軍の動きは早く、作戦が決まると、U.C.0079年2月1日には“地球攻撃軍”(“地球方面軍”とも言います)が設立されます。地球攻撃軍は突撃機動軍の指揮下に置かれ、総司令官にはガルマ•ザビが指名されました。

 ガルマはザビ家の末弟で、実戦経験こそないものの、ジオン軍士官学校を主席で卒業した才能の持ち主で、国民からの人気も高い、将来を嘱望された人物でした。そして、何よりギレンにとって、好都合だったのが父デギン、兄ドズルから溺愛されていることでした。

 ギレンは、デギンが地球侵攻作戦に疑念を抱いていたことやキシリアとドズルの戦略的対立という問題を抱えていました。この問題を一時的にでも解決できるのが、ガルマの地球方面軍総司令官就任だったのです。

●新兵器の開発

 南極条約締結により、核兵器の使用が禁止されたことで、核の運用を前提としたMS-06Cの生産を中止し、主力機をMS-06Fにシフトしました。

 次に、地球侵攻作戦の立案と共に陸戦用のMS-06Jが増産されることになります。ただ、MS-06は宇宙用として開発された機体であるため、その改修に限界を感じており、完全な陸戦用MSの開発計画も進められていました。

 また、戦争の長期化に伴い、連邦軍がMSを開発、実戦投入することは明らかです。これまで圧倒的な戦力差を覆すような戦いができたのは、公国軍のみがMSを持っていたからです。連邦軍がMSを持ってしまえば、性能だけでも先を行くしか勝ち目はありません。

 そこで、MS-06に代わる次期主力量産機の開発がスタートしました。MS-11という仮の型式番号が与えられ、対MS戦を想定した高い近接戦闘能力や核兵器に代わる兵装として、メガ粒子砲の運用などが検討されることになります。

 その他にも、MS-06の高性能機MS-06Rや地球侵攻作戦で必要と考えられた水陸両用機の開発も本格的にスタートしています。

●統合整備計画

 公国軍は複数の企業に兵器開発を行わせ、競争させていたこともあり、パーツの規格や操縦系統などが統一されていませんでした。それは整備士の負担増大を招き、補修用パーツを別個に調達しなければならない、パイロットの機種転換に時間がかかるといった問題を引き起こすことになります。

 キシリア麾下のマ•クベは、それらを統一させる“統合整備計画”を開戦以前から提唱していましたが、新機軸との両立は難しく、漸進的に進んでいくことになります。その結果、統合整備計画によってMSが開発されるのは、大戦末期になってしまいました。

●第一次降下作戦

 U.C.0079年2月7日、公国軍は地球侵攻作戦を発動します。まず最初に月面のマスドライバー基地を制圧し、地球に向けてマスドライバーによる戦略爆撃を行いました。連邦軍の対空砲火を無力化し、スムーズに降下させるためです。これは連邦軍によって、マスドライバー基地が破壊されるまで続けられました。

 U.C.0079年3月1日、第一次降下作戦を開始します。サイド3から地球への制宙権を掌握していた公国軍は難なく艦隊を送り込み、ミノフスキー粒子を散布、レーダーによる捕捉やミサイルによる迎撃を無効化しました。これにより、第一次降下部隊の大多数は地球降下に成功します。地球降下には艦艇に搭載された大気圏突入用カプセルやHLVが使用されました。

 第1地上機動師団が中央アジアのバルハシ湖とアラル海に降下し、バイコヌール宇宙基地を制圧します。その後、二手に分かれ、一方はカスピ海北岸からヨーロッパへ進軍し、黒海沿岸にあるヨーロッパ屈指の工業地帯であるオデッサを制圧しました。もう一方はカスピ海東岸を南下して、化石燃料の豊富な中東へ進軍しました。

 U.C.0079年3月4日、マ•クベ率いる資源採掘部隊がカスピ海北岸に降下し、周辺地域の鉱山施設を制圧しました。マ•クベはオデッサを拠点に採掘した資源を集めて、ジオン本国に送る重要な任務に就くことになります。

 この第一次降下作戦では、J型の配備が間に合わず、F型が投入されています。J型が投入されるのは、次の第二次降下作戦からということになります。ここで降下したF型は後にJ型に改修されました。

●第二次降下作戦

 U.C.0079年3月11日、第二次降下作戦が実行されます。第2地上機動師団、第3地上機動師団のほか、地球攻撃軍総司令部が北米大陸の東西両海岸に降下しました。この作戦には地球攻撃軍総司令官ガルマや闇夜のフェンリル隊、マルコシアス隊、イアン•グレーデン等が参加しています。

 第二次降下作戦の目的は、連邦軍の軍事基地および工業施設の占領もしくは破壊、食糧確保のための穀倉地帯の制圧でした。連邦軍にとって、ジャブローから近い要所ではありましたが、多くの部隊がコロニーの落下によって、被害を受けた地域の復旧作業に出動していたため、ほとんど抵抗を受けることなく、制圧に成功しました。

 公国軍にとって、最も大きな収穫は“キャリフォルニア•ベース”をほぼ無傷の状態で獲得できたことでした。キャリフォルニア•ベースはジャブローに次ぐ規模を誇る軍事施設で、宇宙港、空軍基地、海軍基地、兵器工廠を備えていました。今後、同基地は地球攻撃軍の本拠地として、兵器開発や生産を行うようになります。

 また、ここで連邦軍の潜水艦を鹵獲したことで、後に潜水艦隊が設立されることになります。鹵獲した潜水艦はMSを運用できるように改修され、制海権の掌握に繋がりました。

●第三次降下作戦

 U.C.0079年3月18日、第三次降下作戦を開始します。第4地上機動師団がインドシナ半島、ミンダナオ島、オーストラリア北岸に降下しました。目的は資源の獲得です。

 コロニー落としで壊滅的な被害を受けた地域であるため、比較的容易に南アジアとオーストラリアの大半を勢力下に収めることに成功しています。

 こうして、地球侵攻作戦を発動してから僅かな期間でアフリカと南米を除く広大な地域を占領下に置いた公国軍でしたが、それを維持していくにはあまりにも兵力が少な過ぎました。戦線は伸び切り、末端まで補給は行き届きません。地球の厳しい環境にコロニー育ちの兵士たちの士気は低下し、コロニーに帰りたがる者が急増していきました。しかし、連邦軍の方も反攻作戦に打って出る余裕もなく、膠着状態が続くことになります。

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