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初心者のための機動戦士ガンダム兵器解説『ルッグン』

●開発経緯

 ジオン公国軍は地球連邦軍との戦争において、コロニー落としを成功させた後、地上にも進軍し、地球を占領する作戦を立案していました。

 地上での主力兵器もMSを想定していましたが、地球上での軍事行動に制空権の獲得は必要不可欠です。そこで制空権の獲得や部隊の高速展開、物資の輸送などを目的に航空機の開発が進められました。

 ただ、コロニー国家であるジオン公国に航空機に関する技術はほとんどありませんでした。そのため、本機の開発は主力戦闘機“ドップ”と同様、宇宙戦闘機の技術やコンピュータによるシミュレーション、コロニー内での風洞試験によって行われました。

 “ドップ”について、詳しく知りたい方はこちをご覧ください。

●公国軍で最も完成度の高い航空機

 尾翼を持たず、大きく広がった主翼と上方に張り出したコックピット、上下に可動するレドームという公国軍の航空機らしい特異な形状をしていますが、十分な揚力を得ることができず、推力で強引に飛行させていたドップとは異なり、本機は機体全体で揚力を得ることができ、安定した飛行が可能でした。

 推進機には推力偏向を行うことができる“ベクタード・ノズル”が採用されています。底面のスリット部に設置されており、ノズルを動かし、ジェットエンジンの向きを変えることで、推進だけでなく、姿勢制御にも利用することができ、垂直離着陸も可能でした。

 また、ザクIIを懸下して輸送することができるほどの推力、宙返りを行うことができるほどの運動性を有し、本機は公国軍が開発した航空機の中で最も完成度が高いと言われています。

●偵察や哨戒任務で活躍

 高い完成度を誇る本機でしたが、ドップと比較して、最高速度に劣り、機体も大型であったことから、戦闘機ではなく、偵察機として開発、運用されることになります。

 コックピットは2カ所にあり、上方に張り出している部分が操縦用、機体内部にあるのが哨戒用となっています。これらは連絡通路で繋がっており、シートごと移動することができます。

 操縦用のコックピットがドーム型のキャノピーとなっているのは、ドップと同様にミノフスキー粒子散布下において、広い視野を獲得するためです。

 機体の中央部から伸びた2基のレドームは上下に可動し、対空および対地レーダーとなっています。赤外線センサーや聴音センサーも併用されており、ミノフスキー粒子散布下での哨戒任務に対応していますが、最終的には乗員の視認が頼りになっていました。

 また、偵察機でありながら武装も豊富で、自衛のみならず、爆撃や対艦攻撃を行うケースもありました。ここら辺が公国軍の台所事情を窺える点でしょう。

“ルッグン”

●スペック

全高:8.8m
全長:12.4m
全幅:22.8m
全備重量:10.5t
最高速度:マッハ1.2
乗員:2名
主な搭乗者:バムロ、コム、シャア・アズナブル、ドレンほか公国軍兵士

●基本武装

○20mm2連装機関砲
 両翼先端部に装備されています。前後に回転し、射角はそれなりにありますが、真正面が死角になります。

○機首ミサイルランチャー
 上方のコックピット下部に4基装備されています。機関砲の死角を補う配置になっているのでしょう。劇中では使用されませんでした。

○小型爆弾
 本体内部の爆弾倉から投下されます。劇中では、ホワイトベースのエンジンにダメージを与えており、それなりの威力はあるようです。また、爆弾倉に救援物資の入ったカプセルを搭載し、投下するという使われ方もされています。

●戦後も残党軍に運用される

 戦後、消えていったドップとは異なり、本機はその完成度の高さから、残党軍によって運用され続けました。“ラプラス事変”の際にもその姿が確認されています。

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