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サーキュラー・エコノミー及びプラスチック資源循環 ファイナンス研究会

7月1日からレジ袋が有料になりました。こうした政策は施行されるずっと前から検討されています。今回は2021年の冬頃に発表があるであろう研究会の内容をメモします。

1.何を検討している?

以下の開催要項をひらたく言うと、「投資家が、企業の循環経済の取組みを評価する枠組みを作る(企業が、がんばる方向性を示す)」かと。

サーキュラー・エコノミー及びプラスチック資源循環に資する取組を進める我が国企業が、国内外の投資家や金融機関から適正に評価を受け、投融資を呼び込むことができるよう検討を行う。

2.なぜ枠組みを作る必要がある?

循環経済への取組みを評価する枠組みがあれば、

・投資家は企業の取組みを適正に評価でき、
・企業は評価される方向性を見つけることができ、
・社会が循環型になっていく

という算段だと思います。

3.循環経済への取組みは投資の指標になっている?

ESG投資は2018年、投資市場の約1/3を占める30.7兆ドルに拡大しています。

例えば、世界最大の資産運用会社BlackRockは2019年10月に「Circular Economy Fund」を設立し、循環経済への投資をしています。
投資対象の企業はAdopters、Beneficiaries、Enablersの3つの分類から選定されています。分類の詳細は下記の通りです。

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第2回研究会資料4-2」より引用

4.今は何を検討している?

4−1.ガイダンス(開示項目)の内容

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第2回研究会資料2」より引用

研究会は非公開のため議論された内容はわかりませんが、研究会の資料には開示項目の案として、「価値観」「ビジネスモデル」「ガバナンス」「戦略」「機会とリスク」「指標と目標」があげられています。

主要なESG情報開示フレームワークには少ない、「価値観」「ビジネスモデル」があるのは、今回の策定の意図として「(中長期的な観点から)企業の価値創造ストーリーの中に循環経済を位置付けることを重視」しているからと思います。

サーキュラー・エコノミーの該当性について企業間の厳格な比較を追求するのではなく、まずは企業内において価値創造ストーリーの中でCEを位置付けることを重視し、また、投資家等が建設的な対話に活用できるためのガイダンスとする(詳細に細則を定めるのものではなく原則を定める)ことで良いか。
第2回研究会資料2」より引用

4−2.企業の取組を分類

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第2回研究会資料4-2」より引用

企業の取組が多岐に渡るため、上記のように「主体(企業)の属性」と「取組の属性」を用いた視点で取組みを分類する方法も検討されています。BlackRockの分類と比較すると「Beneficiaries」がないですね。

5.今後の予定は?

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第2回研究会資料2」より引用

開催要項によると、令和2年冬頃までに数回開催するようです。

6.新着情報はどこで確認できる?

経済産業省、環境省のHPで確認できます(第2回は環境省の方が掲載が早かったです)。

編集後記

多くの企業ではマテリアリティ(重要課題)の分析が行われています。現在のガイダンス案ならば、マテリアリティの中に循環経済に関連する項目が入り、KPIも持つことができれば良いのかなと思いました。
ただし、これだけでは外から(世界から)みたときに分かりにくいので、企業の取組みを分類があるのでしょうか。企業の分類方法はBlackRockとEUタクソノミーを合わせた印象です。

本筋ではないですが、研究会の資料に使用されていたGPIFの委託調査研究「ESGに関する情報開示についての調査研究」が主要フレームワークの比較等、有益な情報が掲載されていたので、メモします。まずは概要からみるのがいいかもです。

プラスチックに対する全体的な取組み概要はこちらにメモしています。

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Photo by Matt Flores on Unsplash


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