見出し画像

それ、トイレに流せますか?

先日、こちらの記事を読んで、トイレに流せる基準は何か気になっていました。少し調べたのでメモします。まだ他にも基準があるかもしれないので、ご存知の方はご教示いただけると幸いです。

*IWSFG様の資料には著作権が記載されておりますが、公益社団法人日本下水道協会国際課様に許可を頂き、掲載しております。

下水処理の仕組み

スクリーンショット 2020-07-07 9.34.02

日本下水道協会HP」より引用

下水は、次の順に処理されます。
1.沈砂池:大きなごみ等を沈める
2.最初沈殿池:細かい汚れをゆっくり沈める
3.反応タンク:微生物(活性汚泥)の力で汚れを分解する
4.最終沈殿池:活性汚泥を沈め、上ずみと分ける
5.消毒設備:上ずみを消毒する
6.放流

トイレットペーパーの流せる基準

トイレに流すものといえば、トイレットペーパーですよね。トイレットペーパーの品質規格は日本工業規格(JISP4501)により定められております。

品質は衛生的で、適度な柔軟性があり、水にほぐれやすいことがポイントです。ほぐれやすさは、水にトイレットペーパーを加えて、回転数が一定になるまでの時間で測定しています。

・秤量:18 g/m2以上
・破裂強さ(10枚):78 kPa以上
・ほぐれやすさ:100秒以内

「トイレに流せる」ことに関する国の基準は、トイレットペーパー以外には見当たりませんでした。「トイレに流せる」と記載されている製品にも「トイレットペーパーと同じ程度の・・・」という文言が記載されてますね。

トレイ用掃除シートのほぐれやすさの検証(JISの手順ではない)はMizu DesignさんのHPで行われています。

トイレに流せる製品の基準はないのか?

下水道に処理できないものが流れると、設備の故障、ひいては公衆衛生の脅威へと繋がります。

「世界下水道トイレに流せる製品問題検討会議(IWSFG)」は、下水処理事業でのトラブルを軽減するために、下水道管理者が受け入れ可能な製品の規格(試験方法と合否基準)を策定しております。

IWSFGは、日本下水処理協会、カナダ上下水道協会、スペイン上下水道協会、オーストラリア水協議会、米国下水道事業者協会、ニュージーランド水協会で構成されています。

IWSFGの規格の要点は次の3つです。下水処理の仕組みと合わせて読むととても分かりやすかったです。

1.すぐに細かくなる
2.すぐに沈む
3.自然環境下で容易に分解される

2018年に公開されたIWSFG規格第2原案では、次の5つの基準と試験法が公開されております。

1.自然環境下での安全性と製品の材質
2.排水設備通過性
3.水解性
4.沈降性
5.生物的水解性

プラスチックを流しているかも!?

IWSFG規格はどこの国のルールでもありません。現在のルールではプラスチックでできた製品を「トイレに流せる」と謳うことは違法ではありません。

しかし、最初の記事にあるように「トイレに流せる」製品にはプラスチックが含まれているものもあり、それらのプラスチックは海洋に流れ出ているようです。

編集後記

調べ不分の可能性もありますが、トイレに流して良いものとしての基準はありませんでした。基準はなくとも、製品の構成を確認し、下水処理に適していないものは、トイレに流さずに可燃ごみに捨てる等の工夫もできるのかなと思いました。

余談ですが、トイレットペーパーの規格は寸法も決まっていました。一巻の長さは6つの基準がありますが、紙幅(114mm)と芯の経(38mm)は一つしか基準がないんですね。

参考資料

日本下水道協会:下水処理の仕組み
日本産業標準調査会:JISP4501
IWSFG:IWSFG Flushability Specifications
IWSFG:トイレに流せる製品の認定基準
IWSFG:トイレに流せる製品に関する用語と定義
Mizu Design:メーカーvs下水道!「トイレに流せる」問題
プラなし生活:水に流せるティッシュと生理用品がマイクロプラスチックになって海を汚染!

見出し画像
Photo by Claire Mueller on Unsplash



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?