EV充電サービスのコスパをkWh単価で測ろう!(2) ~ 普通充電編 ~
前回の急速充電編に続き、今回は普通充電について各EV充電サービスのコスパをkWhあたりの単価に注目して比較してみる。
普通充電器のkWhあたり単価
最大出力6kWの充電器の場合
日本で広く普及している普通充電器の出力は3kWだが、その倍の6kW出力の普通充電器もどんどん増えていっている。まずはこの6kWで充電した場合のkWhあたりの単価を比較する。
対象となるEV充電サービスとその時間単価は下表のとおり。サービスによっては10分単位など課金単位が異なるものがあるが、便宜上それらはすべて分単位に換算している(再掲)。
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\begin{array}{|l|l|l|l|} \hline
\textsf{充電サービス} & \textsf{プラン等} & \textsf{6kW充電単価} & \textsf{月会費} \\ \hline
\textsf{e-Mobility Power} & \textsf{普通充電} & \textsf{¥3.85/分} & \textsf{¥1,540} \\ \hline
\textsf{JTBおでかけCard} & \textsf{レギュラー} & \textsf{¥4.95/分} & \textsf{¥1,650} \\ \hline
\textsf{ENEOS Charge Plus} & \textsf{会員} & \textsf{¥3.30/分 ※1} & \textsf{} \\ \hline
\textsf{EV充電エネチェンジ} & \textsf{} & \textsf{¥5.50/分} & \textsf{} \\ \hline
\textsf{Terra Charge} & \textsf{} & \textsf{¥6.67/分 ※2} & \textsf{} \\ \hline
\textsf{Myプラゴ} & \textsf{} & \textsf{¥6.00/分 ※3} & \textsf{} \\ \hline
\end{array}
$$
※1 : 2024年5月時点の限定キャンペーン価格で3kWと同じ価格になっている。
※2 : 充電器によって価格が異なるが、自宅付近にあるもののほとんどが ¥400/60分だったため、それを分あたりに換算している
※3 : 毎月単価が変わるため、2024年5月時点での価格を分あたりに換算している
時間単価をkWh単価にするために、6kW充電器でID.4を充電した時の平均出力を用いる。普通充電もどの充電器でも安定しており、ID.4での平均出力は5.9kW/h であった。これをもとに各EV充電サービスでのkWh単価換算したものが下表となる。
$$
\begin{array}{|l|l|l|l|} \hline
\textsf{充電サービス} & \textsf{プラン等} & \textsf{平均充電出力} & \textsf{kWh単価} \\ \hline
\textsf{e-Mobility Power} & \textsf{普通充電} & \textsf{5.9kW/h} & \textsf{¥39.15} \\ \hline
\textsf{JTBおでかけCard} & \textsf{レギュラー} & \textsf{5.9kW/h} & \textsf{¥50.34} \\ \hline
\textsf{ENEOS Charge Plus} & \textsf{会員} & \textsf{5.9kW/h} & \textsf{¥33.56} \\ \hline
\textsf{EV充電エネチェンジ} & \textsf{} & \textsf{5.9kW/h} & \textsf{¥55.93} \\ \hline
\textsf{Terra Charge} & \textsf{} & \textsf{5.9kW/h} & \textsf{¥67.80} \\ \hline
\textsf{Myプラゴ} & \textsf{} & \textsf{5.9kW/h} & \textsf{¥61.02} \\ \hline
\end{array}
$$
月会費も加味して1ヶ月あたり充電量に応じた総額を示したのが次のグラフだ。充電量150kWhの場合、ID.4のバッテリー(77kWh)を2回フル充電した量に相当し、距離に換算するとだいたい1,000kmである(再掲)。
こちらは現在限定キャンペーン価格のENEOS Charge Plusが圧勝。ただ、このキャンペーンが終了したらおそらく3kWの倍の価格になるのではなる可能性が高い。
次いで月会費不要のEV充電エネチェンジ。ENEOSのキャンペーンが終われば最もコスパ良い充電サービスとなる。各地に積極的に充電器を増設しているため、私の自宅付近の移動範囲内でも選べるくらいの数になってきている。
月90kWh以上充電するのであればeMPの普通充電プランの方がお得になるが、普通充電でそこまで充電するケースはレアだろう。
最大出力3kWの充電器の場合
最後に一般的な普通充電器の出力3kWの場合。観測範囲では6kWでの充電を提供していないと思われるAEONもここに参戦し、分あたりの単価は次のとおり。
$$
\begin{array}{|l|l|l|l|} \hline
\textsf{充電サービス} & \textsf{プラン等} & \textsf{6kW充電単価} & \textsf{月会費} \\ \hline
\textsf{e-Mobility Power} & \textsf{普通充電} & \textsf{¥3.85/分} & \textsf{¥1,540} \\ \hline
\textsf{JTBおでかけCard} & \textsf{レギュラー} & \textsf{¥4.95/分} & \textsf{¥1,650} \\ \hline
\textsf{ENEOS Charge Plus} & \textsf{会員} & \textsf{¥3.30/分} & \textsf{} \\ \hline
\textsf{EV充電エネチェンジ} & \textsf{} & \textsf{¥2.75/分 ※4} & \textsf{} \\ \hline
\textsf{Terra Charge} & \textsf{} & \textsf{¥3.33/分 ※5} & \textsf{} \\ \hline
\textsf{Myプラゴ} & \textsf{} & \textsf{¥3.00/分 ※6} & \textsf{} \\ \hline
\textsf{AEON} & \textsf{WAONカード} & \textsf{¥2.00/分} & \textsf{} \\ \hline
\end{array}
$$
※4 : エネチェンジの充電器のほとんどは6kWのものだが、実際に充電して3kW相当の出力しか出なかった場合は半額となる。
※5 : 充電器によって価格が異なるが、自宅付近にあるもののほとんどが ¥200/60分だったため、それを分あたりに換算している
※6 : 毎月単価が変わるため、2024年5月時点での価格を分あたりに換算している
3kW普通充電も安定しており、ID.4での平均出力は3.0kW/h でkWh単価に換算したものが下表。
$$
\begin{array}{|l|l|l|l|} \hline
\textsf{充電サービス} & \textsf{プラン等} & \textsf{平均充電出力} & \textsf{kWh単価} \\ \hline
\textsf{e-Mobility Power} & \textsf{普通充電} & \textsf{3.0kW/h} & \textsf{¥77.00} \\ \hline
\textsf{JTBおでかけCard} & \textsf{レギュラー} & \textsf{3.0kW/h} & \textsf{¥99.00} \\ \hline
\textsf{ENEOS Charge Plus} & \textsf{会員} & \textsf{3.0kW/h} & \textsf{¥66.00} \\ \hline
\textsf{EV充電エネチェンジ} & \textsf{} & \textsf{3.0kW/h} & \textsf{¥55.00} \\ \hline
\textsf{Terra Charge} & \textsf{} & \textsf{3.0kW/h} & \textsf{¥66.67} \\ \hline
\textsf{Myプラゴ} & \textsf{} & \textsf{3.0kW/h} & \textsf{¥60.00} \\ \hline
\textsf{AEON} & \textsf{WAONカード} & \textsf{3.0kW/h} & \textsf{¥40.00} \\ \hline
\end{array}
$$
そして月会費を含めてグラフにしたのがこちら。
やはりAEONの価格は安い。ただ、急速充電ほどの強烈なコスパではない。それに次いでいるのがEV充電エネチェンジ。エネチェンジの6kW充電器がすぐに見つかる現在においては、こちらを積極的に選択することになる。
もう1点お伝えしたいのは、この3kWのグラフと前述の6kWのグラフでは縦軸のスケールが同じにもかかわらず、グラフの線は3kWの方が上に広がっている。これはe-Mobility Powerネットワークの充電カードが上に引っ張っている形だ。充電カードの価格設定は3kWを前提としているように見え、6kW充電器で充電するとお得だが、3kWの場合は他のサービスと比べてかなり割高となっている。
以上から、現時点で3kWの充電器を基礎充電以外で使うメリットはあまりないと感じている。
私の個人的コスパランキング
普通充電における私(とID.4)の個人的コスパランキングとその理由をまとめる。
ENEOS Charge Plus / 会員 (¥33.56/kWh) : 2024年5月時点で行われているキャンペーン価格で6kW充電の単価が最も安い。ENEOSは6kW充電器を中心に新設しているのも期待。キャンペーン終了後の価格がどうなるか・・・。
EV充電エネチェンジ (¥55.93/kWh) : kWh単価・充電器数の両面で優秀。最も不安なく利用しやすいと感じている。
AEON (¥40.00/kWh) : 急速充電と同じレベルではないが、お得なのは間違いない。3kWでのんびり充電でよければ。
急速・普通混在kWh単価ランキング(月会費なし)
最後に、急速・普通混在でのkWh単価ランキングを作ってみた。月会費の考慮が入ると、月あたりどのくらい充電するかによって変わってくるため、月会費なしのサービス・プランのみでランクづけした。
AEON 急速充電 50kW (¥13.64/kWh)
ENEOS Charge Plus 普通充電 6kW (¥33.56/kWh) ※限定キャンペーン価格
AEON 普通充電 3kW (¥40.00/kWh)
EV充電エネチェンジ 6kW (¥55.91/kWh)
Myプラゴ 6kW (¥61.02/kWh) ※2024年5月の価格
EV充電サービス一覧
この記事で比較対象としたEV充電サービス一覧。
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