絵の描けない字書きが同人誌の表紙でギャンブルしてみた③仕様書の作成・作品紹介

こちらの記事の続きです。

 前回、わくわくドキドキデザインセットを使うメリットやデメリットについてご紹介しましたので、この記事では実際にセットを使用する際に作成する仕様書の書き方、それから、実際に私が本を作成した際に作った仕様書の内容と、できあがった表紙画像を紹介しようと思います。

仕様書の作成

 わくわくドキドキデザインセットを使用する場合、通常の本文入稿の他、下記の表紙仕様書を同時に作成する必要があります。

入力項目は大きく分けて二項目に分かれます
【表紙に記載する内容】
 こちらの入力欄についてはいろいろありますが基本的にすべて任意です。表紙に入れたい部分に入力を行います。
 私はいつもタイトルだけです。ここに入力したものが表紙に印刷されてしまいますので、表紙に反映したい部分だけ入れてください。

 なお、部品画像(キャラ立絵等)を使用することも出来るようですが筆者は使ったことがないので詳細は割愛します。

【作品の内容】
 メインはこちら。自分の作品のPRタイムです。恥ずかしぃ……(照)という思いは無視してひたすらざかざかと入力していきます。
 ・作品のイメージ
 ・イメージカラー
 ・キーアイテム
 ・その他ストーリーイメージ
 ・使用してほしくないアイテムやカラー

 驚くほど細かく指定が出来ます。
 おそらく一番悩むであろうストーリーイメージについてですが、熱意を持って詳しく語るのもいいし、ざっくりと書いて後はお任せするのも良いと思います。
 私は簡潔に書いてデザイナーさんにお任せする方が性に合っていると感じました(簡単なあらすじ、表紙に使って欲しい場所、全体イメージ。の3点を大体2,3行で書いています)。
 具体的にどんなことを書いているのかについては実際の作品を最後に載せていますので後ほどご覧ください。(※二次創作ジャンル名、カップリング名などが出てくる可能性があります)

 こちらのシートを入力し、本文原稿とともに収めれば、後はできあがりを待つだけです。
 手元に届いた本をみて、できあがった表紙に喝采をあげましょう。

終わりに

 今回私がこの記事を作成したのは自分がやってみてめちゃくちゃ楽しかったものを共有したいという思いからのものです。
 同時に、表紙に悩む人たちにとって選択肢が増えるのであれば諦められようとしていた同人誌が世に生み出されるかも知れない。そんな下心もあります。
 ただ、届いた箱を開けたときの、おもちゃ箱を開ける子どものようなときめきやわくわくをひとりでも多くのひとに味わってもらえたら。それはとても嬉しいことだと考えています。

 そして最後に、これまで私がこのセットを使用して作成した本を紹介していきます。
 仕様書に記載した内容はすべて原文ママになっていますので、実際に仕様書を作成するときの参考にしてください。 
(※二次創作ジャンル名、カップリング名などが出てくる可能性があります。見たくない方は画面を閉じてください)

①欲求不満の盟主様!!

 仕様書記載内容
【イメージカラー】ピンク、ビタミンカラー
【キーアイテム】ハート
【ストーリーイメージ】国の盟主がいろいろな部下に手を出していくエロ 
コメディです。ポップにムラムラさせてください。
【使ってほしくないカラー、アイテム】特になし。

 私にとって記念すべき初同人誌、総攻めオムニバス短編集です。
 プリントオンさんに依頼した表紙の中でも一番のお気に入りで、私がプリントオンさんに一生ついていくことを決めた瞬間でもあります。
 画像ではわかりませんが実物は角丸加工されていて本当にかわいいです。装丁用語に疎い私はこのセットを使わなければ一生この加工を知ることはなかったでしょう。
 ポップにムラムラと言う頭の悪い単語をここまでかわいくしあげてくれたデザイナーさんには本当に感謝しています。


②どうか欲深い俺を

 仕様書記載内容
【イメージカラー】赤
【キーアイテム】酒場、血に汚れた赤いローブ
【ストーリーイメージ】いなくなった片割れを探して連れ戻そうとする男
と国をまたいで逃げ続ける男の話です。最後はハッピーエンドですが、序
盤のシリアス、ダーク調の表紙にしてください。
【使ってほしくないカラー、アイテム】青

 2冊目はすれ違い逃亡ものです。
 この本では逃げている方のイメージカラーが青だったので、表紙に青を使わないように指定しました。
 イメージアイテムに血にまみれたローブと指定した為、全体的に薄暗い赤でまとめられておりかなりかっこいいです。
 実はこのときのキーとなる場所は大衆酒場のイメージでしたが、指定を酒場としか書いていなかったため、小洒落たバーのようにも見えるのが少し残念。場所の具体的なイメージがあるなら書いておくべきだと反省しました。
 しかし装丁がクールにまとめられており、実物を見るとしっくりきたため、これもお気に入りの一冊です。


③振動に溺れる

仕様書記載内容
【イメージカラー】紫、緑
【キーアイテム】森の中の馬車
【ストーリーイメージ】長期出張中に寂しさから関係を持ってしまった受け二人がそれぞれの恋人からお仕置きされる話です。貴族が乗るような馬車の中の秘め事をイメージしています。最後はハッピーエンドですが、表紙はうっすら不穏な空気にしてください。
【使ってほしくないカラー、アイテム】特になし。

 3冊めは4Pもの。場面自体は最初の受け二人が関係を持つ馬車を指定しましたが、全体のイメージはお仕置き編の不穏なイメージが出るように依頼を行いました。
 2冊目の教訓を生かし貴族の乗るような馬車の内部、と指定したところ見事に不穏さの漂う豪華な馬車が納品されました。
 実物を見ておもわず拍手してしまったくらいイメージどおりの作品になりました。


④愛しているから抱かれたい・⑤抱きたいから愛してる

 私の作成した本の中でも、かなり特殊だったのがこの二冊です。
タイトルのとおり、この二つの本は対となる二つのテーマで作成したもので、表紙も可能であれば対の要素が欲しいと考えていました。
 プリントオンさんに事前に問い合わせた結果、仕様書に対であることを記載し、同時入稿を行うことでお互いの情報をわかりやすくするなどの条件を満たせば可能かもしれない(出来ない可能性もある)との説明を受けた為ダメ元で入稿しました。
 それぞれの仕様書記載内容は次の通りです。

愛しているから抱かれたい
仕様書記載内容
【イメージカラー】ピンク
【キーアイテム】ハート
【ストーリーイメージ】恋と性欲の前後関係をテーマに、恋優先の話です。とにかく甘く、ハッピーをイメージしています。「同時に入稿している『抱きたいから愛してる』と対になる話です」
【使ってほしくないカラー、アイテム】特になし。

抱きたいから愛してる
仕様書記載内容
【イメージカラー】紫
【キーアイテム】ハート
【ストーリーイメージ】恋と性欲の前後関係をテーマに、性欲優先の話です。最後はハッピーエンドですが、表紙は辛め、ダーク調をイメージしています。「同時に入稿している『愛しているから抱かれたい』と対になる話です。」
【使ってほしくないカラー、アイテム】特になし。

 その結果、要望どおりの対の表紙、作品イメージにもかなり合致するなど、大満足の本になりました。
 ただし、プリントオンさんにかなりの無理を言って依頼したものであるのは当然として、私自身同時入稿にかなり時間を取られたのと締め切りまでに両方の本を必ず仕上げないといけないというプレッシャーに追われながらの原稿という、今までで一番しんどかった本になったのも確かです。
 今度同じテーマで本を作ったとしても、おそらく別々の表紙を頼むことになるかと思います。

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