【ショートショート】日曜日から始まる(9)
【創作】俊介と洋子は由美の店を出た。
すかさず俊介が
「これからどうします。何処か、行きたい所は、あります?」
俊介は、洋子に真っ直ぐに向かい
聞いてきた。
「いえ、特に行きたい所は、無いんですが、よかったら、少し歩きませんか」
と俊介に応えた。
「そうですね。歩きながら話しましょう」
洋子は俊介との会話を楽しみたいと思った。話し方、笑顔、仕草、もっと知りたいと思ったからだ。
「ん、もしかしたら、品定めかな?」
洋子は思っていたことを口にされて
顔を赤くしてしまった。
「はい、そうです」
素直に答えた。
「あはは、洋子さんは素直な方ですね」
洋子は、笑う俊介のことを
「きらいじゃ無いな」と思った。
俊介も、顔を赤らめる洋子をかわいい人だと思った。
それから、ふたりは世間話から、好きな映画の話、テニスのこと、通っているカフェなど、いろいろと話した。
洋子が分かったことは、俊介は、臨機応変に対処してくれるということ、それに、苦手なことにも、私に合わせてくれる人だということだ。
「俊介さん、無理していませんか?私といて、疲れてしまうのは申し訳ないです」
「えっ、そんなふうに見えますか?いや、困ったな。正直に言うとぼくは女性とのお付き合いは、大学生以来なんです。仕事に就くと、出会いを求めるなんてこと、なかっものですから、だから、すごく新鮮な気持ちでいます。洋子さんに、そんなふうに思わせてしまったのはすみません」
俊介は、正直に胸の内を話した。
洋子はニコリと笑い
「俊介さんって正直な方なんですね。ごめんなさい。変なことを言い出して」
「いえいえ、僕の方こそ気を使わせてしまい........」
「堂々巡りしてますね、私たち」
とまた、洋子は、笑いながら答えた。
俊介は、心から洋子がかわいいと思った。
洋子も、俊介に対して、好印象を持った。
「また、会っていただけますか?」
「はい。でも、敬語はよしましょう。友だちみたいに話しましょう」
「そうだね。それが良い。」
「じゃあ、今度会うときは、一緒にテニスしませんか?」
洋子が提案した。
「お、良いね。やりましょう」
「じゃあ、来週に。ずいぶんプレイしていないので笑わないでくださいね」
「はは、同じ、同じ。楽しみだなぁ。じゃあ、連絡します」
と言って、ふたりはそれぞれスマホに電話番号を登録して別れた。
楽しみが増えた洋子は、気分が良かった。俊介のことは、もっとお付き合いをしたいと思っている。
俊介は、明るい気分で心が浄化される感覚を覚え、洋子との出会いを大切にしたいと思っていた。
いつもありがとうございます
次週、最終回です
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