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【ショートショート】日曜日から始まる(8)

                                          これまでの話

【創作】スマホが鳴った。洋子が電話に出ると母の妹の由美だった。

「洋子ちゃん、元気してる?お母さんから、聞いた?」

洋子は、

「お見合いのことなら聞いたわ」

とすぐに答えた。

「どう?会ってみる気になったかしら?」

と、由美。

「うん、そうだなぁ。ちょっと最近、がっかりしたことがあってね。新しい出会いがあれば、良いかなって思っていたの」

洋子は見合いに前向きだった。
彼に会えなかったことが気持ちを沈ませている洋子には、何か前向きになれるものが欲しくなったのだ。

「オーケー。じゃあ、私に任せてね。上手くいくように、おばちゃん、頑張るわよ」

電話が終わり、洋子はため息をついた。

『これでいいのよね。あの人を忘れるためには』

洋子は、窓辺に立ち、彼の声を思い出していた。

『何かがあったはずなのに、分からないんじゃ、どうしようもないわ』

何度、同じことを思ってしまうのかが洋子自身、もう疲れてきている。

『新しい所へ進まなきゃ』




由美に呼び出されて、洋子は由美の店に来ていた。

「待っててね、彼、もうすぐ来るわよ」

と、言うと由美は笑顔で洋子を見た。

「素敵よ、その洋服。洋子ちゃんは、センスが良いのよね」

とウインクしてみせた。
そんな洋子の服装は、淡いベージュに小柄の花模様があるワンピースだ。袖にフリルがついていて裾にもフリルが付いている。靴はベージュ色のそれほど高くないヒールの革靴だ。
髪は下げて少しだけ縦巻きカールをしていた。

しばらく由美と談笑していた洋子、
よく笑い、緊張感は無いようにというのも由美の作戦だった。

カランカランと、ドアが音を立てたと思ったら、スーツ姿の男性が入って来た。

「こんにちは、初めまして」 

よく通る声をしている。

「あら、いらっしゃいませ。
真鍋さんの、息子さんね。えっと、お名前は」

「俊介です。真鍋俊介と言います」

笑顔が素敵な男性だと、洋子は思った。そして、

「初めまして、朝霧洋子です。よろしくお願いします」と、挨拶した。

「さぁ、2人とも、ここに座って。アイスコーヒーでも飲んでちょうだい」

洋子と俊介は、向かいあって座る。

「さぁ、どうぞ、アイスコーヒーを飲んでください」

由美は、ふたりに向かって

「うん、お似合いだわ」

と、嬉しそうに話しかけた。

「俊介さんは、幾つなの?」

「35です。9月に36になります」

「えーっ、若く見えるって言われない?」

「いや、そんなことは無いです」

ひと懐こい笑顔を返した。

「洋子ちゃんは、29だったわね」

「はい」

と、答えた。

年齢的にも良い感じね。

さぁ、コーヒーを飲んだら
あとはふたりに任せるわ。
映画を観るなり、何処かへ出掛けるなり、どうぞ。

時は金なりよ。

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