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母から私そして子供達へ

知り合いから譲っていただいたこの机と椅子。
確か幼稚園、小学校入学時には教室に並んでいた。
小さくてめちゃくちゃかわいい。
そこへ母が名前を書いてくれたセルロースの筆箱を探し出して置いてみた。
実家から母の遺品整理をしていて見つけた私の筆箱。
裏にはひらがなで大きく名前が書いてある。微かに嬉しかったことを
記憶している。その文字をみて今は亡き母の愛を感じた。

当時はずっと前から3番目の私は、この小さい机にちょこんと座り可愛かったのだろうと思われる。
もしかしたら、母にとっても初めて使う私の筆箱は宝物だったのかもしれない。捨てずにいてくれた。
私にも今押し入れにとってある子供の幼稚園の時の小さな黄色い靴は
大事で捨てられない。可愛かったなーと時々当時を振り返っている。

母が空へ旅立ってから2年が過ぎた。今頃になってすごく会いたいと思うようになってきた。たぶん2年会えないのは長すぎるということ。
どんどんこの先長くなるのね。

介護施設へ行くたび老いていく母に会いに行くのは足取り重かったけれど
頭の方は晩年まで冴えていて私の顔を見つめては家族の事を色々聞きたがった。家族が仲良く幸せに暮らしていることが母の喜びだったのだろう。
例えおぼつかない記憶の中でもきっと母には家族のしあわせが大事だった。

安堵している母の顔をみて帰りには後ろ髪引かれる思いと生きていてくれる
嬉しさでやっぱりすぐまた会いに来ようと思ったものだ。
コロナのせいで数か月数年直接会うことができず画面越しにどんどん
急激な老いがみられた。それでも介護してくださる皆さんに託すしかなく
最後2,3度直接会った。母の願いは大丈夫だよ。
今では母の思い通り兄弟とひどく喧嘩をしても、何事もなかったかのようにご機嫌伺いをしている。
子供達が明るく元気で幸せでいることが母の願いそれは私も同じなのだ。

筆箱は大切な宝物。


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