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僕らが今、はたらく人の「新しい地図」をつくる理由 #転職つぎはどこ

なぜ今、はたらく人の「新しい地図」をつくるのか


子供のころ母親に言われたことがある。

「ちゃんと外の道を見とかないと、自分で運転できないよ」

車の後部座席で寝るのが好きだった。家族でどこかに行くときはだいたい父親が運転してて、後部座席で寝てたりゲームをしてたら勝手に行き先に着いていた。

事実、僕ははじめて自分で運転するときとても苦労した。当時はカーナビもなかったから。目の前の道を右に行けばいいのか、左に行けばいいのかもわからず、足がすくんだ。

はたらく人にとっても、そうなのかもしれない。

組織の話で「誰をバスに乗せるか」っていう有名な言葉がある。そのバスは事故らないことが前提で、運転席には他の誰かが座ってる。はたらく人は最初に乗るバスへのチケットを全力で得ようとする。乗ってしまえば、あとは誰かがよしなに運転してくれた。

最近は「自分株式会社を経営しよう」というフレーズもある。「自律型キャリア」とか「個の時代」とかもそうなんだろう。いつバスを降ろされても自分で車運転できるようにしとこうね、と。

「自分で運転できる」ようになるためには、いろんなものが必要だ。

運転の技術はもちろんそう。免許もそうかもしれない。それがキャリアではスキルとか、資格の話になるのだろう。でも、はたらく人たちがそれ以上にこれから困るのは、「地図がないこと」なんじゃないか。声を聞いてると、そもそも何のスキルをつけて、何の資格を取ればいいのかわからない人たちがほとんどだと思うから。僕も当然、わからない。

いきたいところや目的があっても、そうでなくても、今自分がどこにいてどの道がどこに続いてるのか、右に行くのか左に行くのか。全部わからない。だから、見えないから、多くのはたらく人たちはその場で立ちすくんでしまう。わからないしもう少しここでやってみよう。気づいたら1年、また1年たっていくのだろう。

そして、だんだんと選択肢を失い、守るものはどんどん増えていく。そして選べなくなっていく。働く場所も、働き方も。

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「見えないこと」がチャレンジの障壁になってはいけないと思う。「見えないこと」で最初の一歩が出ずに、何かを諦めるのはやっぱりもったいない。

だから、これからはたらく人たちが自分の意思で自分の道を決められるように、これまでも、思いつくかぎり「本当に必要な情報」をオープンにしてきた。

ESを公開したり。

就活スタイルの自由化でパンテーンに協力させてもらったり

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就職のリアルな情報を集めた新聞を発行したり。

合同説明会をオンライン化したり

いつも、自分たちを動かしたのは、「声」だった気がする。

そして、今回新たに、はたらく人のための「新しい地図」をつくろうとしている。これからの時代に、一人でも多くのはたらく人が、自分の道を自分で決められるように

まだ全然だけど。つくり始めた地図を見て欲しい。

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転職も前提にキャリアを形成する時代は、間違いなく来てしまった


終身雇用の崩壊。

数年前に豊田社長の発言が話題になったが、いよいよリアリティが出てきた。特に、若い人たちの中では、「転職前提」の価値観が、もう当たり前のようになっている。

コロナウイルスは多くのことを変えたが、はたらく人たちの「自立意識」を芽生えさせたのは、「LIFE SHIFT」よりも、キャリア教育よりも、この1年の大きな変化による危機感だった。転職活動のきっかけは3人に2人がコロナ。多くの人が目を覚ました。

しかし、就職と同じく、はじめての転職をする人たちを待ち受けている苦難がある。

またしても、仕事選びに必要な情報の「不透明性」だ。

はじめての転職は、不安で、孤独だった。

僕は、社会人5年目ではじめての転職をした。

正直、就職の時よりキツかった。

情報がよく分からなくて不安なのは同じだったし、少なからず挫折はしているので、自信も失っていた。

そして、そこに孤独がセットでのってくる。

マジで誰に相談していいのかわからない。同僚には相談したいけど、漏れた時のリスクは怖いし、親は過剰に心配するし、相談なんてしたら確実にとめてくる。「もったいない」の主語は誰なのか。もうこっちは全部失って今さら捨てるものなんてひとつもないのに。とにかく心の拠り所がない。暗闇の中、ひとりで悩み続けないといけない人は今もたくさんいるんじゃないかな。

キャリアアドバイザーの人たちは本当に親身に相談にのってくれた。僕の担当をしてくれた方はとても素敵な方で、今もめちゃくちゃ感謝している。企業や業界のことについて2時間電話で熱血レクチャーしてくれて、カフェにいたもんだから、帰り道に携帯の電源が切れた。

ただ白状すると当時は、正直恐かった。疑いたくなかったけど、契約してる会社に紹介しないとお金が入らない業界構造なのも知ってた。個人の理想と、組織人としての責務の中で、彼ら彼女らキャリアアドバイザー自身もキャリアに悩んでいることは、後から知った。

キャリアの自立を阻むのは、孤立らしい。たしかに、そんな気がする。安心して話せる場があれば、安心してアクセスできる情報があれば、不安も孤独も少しは、和らぐかもしれない。そう思っている。

人が気軽に集まれない状況は、もう少し続きそうだ。

きっと、コロナ禍で初めて転職する人たちも、そのような孤独とたたかってるのだろうと思うと胸がいたむ。

転職なんて、しなくたっていい。


正直、「転職してないやつはダメ」みたいな論調はあまり好きじゃない。

僕ももう33歳。同期は1社目の会社で11年目選手になる。僕は3回転職した。一方で意思持って「そこ」でやってる友人たちはいっぱいいる。今の仕事を始めてからも、1社で意思持って仕事やってる人たちにたくさん会った。その人たちは、そこでやることを自分で選択しているし、目はまだ生きてる。

トッティみたいにローマ一筋もかっこいい。彼はレアルからオファーがあってもローマを選びそこで現役を終えた。

「転職できるけどしない人」は増えてほしい。選択肢を持った個人が自分の意思で企業とつきあっていくのが健全な関係だと信じてる。

ところで、人生は選択の連続らしい。

不自由さのほとんどの原因は、自分で選べないことだと思う。やめたいけどいろいろあってやめられない。「それは違う」と言いたいけど色々あって言えない。転勤を断りたいけど断れない。一生いるかはわからないけど、それを言えない。

閉塞感の正体は人材が流動してないことよりも、はたらく人が選択肢を失ってしまってるからなんだと思う。誰かのためにはたらくのと、誰かの言いなりではたらくのは違う。自分の意思で誰かのために仕事ができるように。

納得感は自分で選んだ感覚で、自分で決めた感覚。

親ブロックなどの本質的な問題は、他人のモノサシで決めたことは後悔にかわるということだ。ミスマッチは周りが決めるものじゃない。自分がマッチできると信じるなら、することを諦めないなら、それは誰が何と言おうとミスマッチじゃない。

道が見えないことで、選べないことで、不自由さを抱えているすべてのはたらく人を解放できたら。いつか朝の満員電車の重苦しい雰囲気も、少しは和らぐのかもしれない。

就活生も4割が、転職前提で就職活動をしている。

ここ最近、「転職前提」という言葉をよく見る。

転職前提が4割「大手も安心できない」 就活生独自調査

選択肢が見えないと、人は道を決めないことを決めたがる

例えば、最近はコンサルティングファームが人気だ。けど20歳のひとたちがいきなり経営課題解決に対する興味が爆上がりするのかなぁ、とも思っている。もちろん経営コンサルティングは意義深い仕事だと思うけど、そんなにみんな経営課題に興味があるなら、すでに何割かは経営してるはずだから。

「まずは大手で力をつけて。まずはコンサルティングファームでポータブルスキルをつけて。」

僕も就活や転職の時に言ってた。
でもその先にそれがあるとは限らない。

暗闇の中で勝手に描いた期待はだいたい幻想で、絶望に変わってしまう。

キャリアはいつも、損得と好き嫌いのせめぎ合い。


「自分の人生の大切な時間を何に投資するか考えよう」

よくあるキャリアアドバイスだ。ただ金融の投資と、キャリアの投資はちょっと違う。前者は(もちろん全てではないが)損得で決まるけど、キャリアは損得と好き嫌いが絡み合っている。

でも、損得がわかって初めて、損してでも好きな選択ができるんじゃないかな。逆に損得がわからなければ、たいていは、好き嫌いどころではなくなってしまう。

「スタートアップでのキャリアにチャレンジしたいけど、下げた年収ってどれくらいの確率で、いつ戻るのかな。」

友人に聞かれたことがある。

「そんな覚悟がないやつにスタートアップでやる資格はない」

そんな意見もあるだろう。

でも、少しだけでもそれが「見える」ことで、覚悟が決まる人がいるなら、それはきっと見えたほうがいいんじゃないかなと思っている。

見えるから、選べるし。選べるから、決められる。

だから、まずは地図をつくって、見えるようにしたい。

地図だけで、はたらく人たちが自由を手にできるとは思わない。


もちろん、決めるのは自分だ。

「地図があれば、すべての人が自分でキャリアを選べるのか?」

答えは「多分無理」だ。

今だって、世界地図もGoogleマップも、Googleアースもあるけど、実際、ナビゲーターもコンシェルジュもいる。バンジージャンプをとぶときには背中を押してくれる人がいる。

でもきっと、今はたらく人の地図は、あまりにもぼやけてしまっている。

目の前の別れ道さえ、満足に見えない。だから、もう少しちゃんと見えるように。立ちすくんでしまわないように。そう思って、地図をつくり始めた。

でかいことをたくさん言ってしまったけど、はたらく人の地図はまだ1%しかできていない。

まるで Before 伊能忠敬だ。

伊能忠敬が測量してくれたから、そこにいろんな情報が載った。カーナビも、桃鉄も、食べログのマップも、地図ができたからこそ、その後いろんなことができるようになった。

まずは、忠敬先輩のように愚直に、測量をしたい。気が遠くなりそうだけど希望はある。

昨年末から、恐る恐る「はたらく人の地図つくりたいんですけど」と、仲間にお願いしてまわった。

「めっちゃいいですね。自分のキャリアパスが少しでも誰かの参考になるなら」

そんな優しい人たちのおかげで、リリース時点で1,000件の道のデータが、はたらく人たちの実体験をもとにでき始めている。これまでになかった自分たちでつくる地図だ。ミレニアル世代の価値観は所有よりも共有らしい。これからつくるものは、僕らの世代にしかつくれない地図なのかもしれない。

まずは地図の道のデータを、はたらく人たちの声と力をあわせて一緒につくりきる。

職場もSNSも当然、静かだ。

いろんなしがらみがあって、触れにくいものだと思う。

それもそうで、実態はこんな感じで転職の話はまだまだタブーだ。職場でできないことはSNSでも難しい。ポイズンな思いをしている方もたくさんいると思う。

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ただ、DMとメッセージで、「陰ながら応援してるからぜひ続けて欲しい」という声をどれだけいただいたかわからない。(まだ返せていなくてすみません!ひとりずつちゃんと噛み締めてお返しします。)

もちろん、 #転職つぎはどこ で意見を述べてくださる方々も徐々に。ありがたいかぎりだ。転職をもう少し、オープンに話せるアジェンダにしたい。

猛者も出始めている。ファーストペンギン大事。

もちろん、一日で数十年間タブーだったものがそうじゃなくなるなんてことはない。信じて、地道に地図をつくっていくしかない。

僕らはやり続けます。

もし、最後まで読んでくださった方で、いいねって持ってくださった方。あなたのこれまで歩んだキャリアパスが、きっと誰かの道標になります。よかったら、地図の一部を埋めていただけませんか。まずは見ていただけるだけでも。これくらいなら書いてもいいかなって思ってくれたら嬉しいです。

体験談の投稿をしてあげる

そして、はたらく人の「新しい地図」づくり作戦、手伝ってもいいよって方がいらっしゃったら、いつでもお気軽にDMください(画像ポチできます)。

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仕事選びも、仕事も、きっともっと自由になるはず。そう、願っています。


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またこのnoteでも地図づくりの続報を出していきます。公式アカウントも始めたので、よかったら見守っていてください。

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