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世界の希望と絶望が交差する時、あなたはどちらを選ぶのか_第15話

エイラは煙幕の中に入っていった。

「この中は全然何も見えないから。カレン、頼んだよ」

遠くから少し灯りが漏れ出し、空の色が薄くなってきた。

「あともう少しだ」

凜は銃に弾倉をセットし、その時を待ち構えていた。

「凛、頼んだ!」

カレンはそう叫んだ。

周辺の草むらや穴からそれを聞いた敵兵たちが顔を出した。

「今だ」

凜はそう呟くと引き金を引いた。

辺りにいた敵兵たちは叫び声をあげて倒れていく。

そしてそれを聞いた敵兵たちは砦の前に集まってきた。

「カレン、そろそろいい?」

凜がそう聞くと、カレンは頷いた。凛は銃を撃つのを止め、カレンに合図した。

「行っちゃってください」

カレンはそう言うと、砦の中に入った。

エイラは腕をゆっくりと大きく、渦を巻くように回した。そして、

「残念でしたね。まだまだですよ」

そう小さい声で言った。

そしてその瞬間、エイラから眩しい光が発せられた。

敵兵たちの叫び声が聞こえる。

そして、光が止むと、そこには焦げた敵兵の残骸が散らばっていた。

「カレン、大丈夫そう?」

エイラはそうカレンの方向を向いて聞くと、

「はい。反応はありませんし敵も殆ど倒せました」

と答えた。

凜は砦の階段を降りて、2人と合流した。

「他の砦、人影は見えませんでしたよ」

そう言うと、3人は拳を突き上げた。

「今は防衛が最優先だけど、いつか、みんなでゆっくり話したいね」

エイラがそういうと、3人は手を下げ、拠点に歩いて行った。

「後で、ちょっと聞きたいことがあるんですけど、いいですか?」

凜がそうエイラに聞くと、エイラは頭を下げた。

「こっちからも話したい事、一杯あるから」

そう言って、旭に照らされて野原を3人は歩いて行った。

「カレン、本当になんであんなに体動くのか私は不思議でしょうがないのよ」

「まぁ、それが私が生かされた意味ですから」

カレンがそう言うと、剣をしまって目を瞑った。

3人が拠点に戻ると、シルヴォ達と川沿いの砦の担当が出迎えてきた。

「無事で何よりです。食事、用意できていますよ」



ここに来て約1か月、こんなにみんなで笑顔で食事をとれたのは初めてだろう。

食事が終わると、凜はエイラに呼び出された。

「さっき言ってたでしょ。一杯話しましょ」

エイラは笑顔で、そう凜に話しかけた。