世界の希望と絶望が交差する時、あなたはどちらを選ぶのか_第10話
「ねぇ凛、作るって言ってもどういう物作ればいいの?」
エイラは凜にそう言った。
「えーっと…」
凜は少し難しそうに考えた。
現実世界の中世中期ごろの技術で作れる防御陣地と言うと、あまり思いつくものが無いからだ。
「とりあえず、塹壕、柵、櫓とかがあったら少しは楽になるかと思っています」
凜はそう言うと、紙とペンを出して図面を書いた。
「わかった。じゃあこれでやってみるね」
エイラはそういうと部屋を後にした。
凜は部屋に戻った。昨日カレンにもらった本はまだ読み切っていなかったため、戦い方などを重点的に読んだ。
「これだとあまりにも一極集中過ぎて狙われるな…」
凜は基本的な戦い方などを見て、作戦の練り直しが必要と感じた。
「シルヴォさん」
さっきの会議室に戻ると、まだシルヴォがいた。
「作戦なんですけど、ちょっといいですか」
凜は小規模トーチカの大量設置を提案した。あまりにも一か所に固まり過ぎると、魔法のような何かでまた一撃で壊滅してしまうからだ。
「確かにそんなだね。ちょっと考えておくよ」
そうシルヴォが言うと、部屋を出て行った。
凜は屋上にある対空機関銃の所に行った。
「懐かしいな…これも。いつかこれは役に立つ日が来るのか…」
凜はそう言いながら状況を確認した。
すると、何かを見つけた。
「これって…もしかして…」
凜は部屋に戻ると、机に向かっていた。防御陣地を用いた戦術について考えていたのだが、弓兵が多ければその分塹壕は有効であるが、敵にも弓兵が多ければ櫓は無駄になる。
そして何を思い立ったのか凜はエイラの部屋に向かった。
「エイラさん、少しお願いがあるんですけど」
凜がそう言うと、エイラは
「どうしたの?やれることは何でもするけど」
と返した。
「一回敵の所に偵察に行きたいんですけど」
と凜が言うと、エイラは少し驚きながら
「どうして?」
と聞いた。
「敵がどんな武器を持っているかによって戦い方も変わりますし、何より陣地を作るときに敵の気を引けると思うんですよね」
そう凜が言うと、
「わかった。でも私は指揮を執るから凛、カレンと一緒に行ってくれない?」
そうエイラが言うと、凜は頷いた。
カレンの所に行くと、もうすっかり準備ができていた。
「最近多いからね。いつでも出れるようにしとかないと」
カレンはそういうと椅子から立ち上がって、部屋から出てきた。
「エイラさん、行ってきます」
そう言うと2人は森に歩いて行った。