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世界の希望と絶望が交差する時、あなたはどちらを選ぶのか_第17話

約2ヶ月間、平和な期間が続いた。
周辺国での内政不安に助けられ、凛は文化などの違いに驚きながらも、少しずつ環境に慣れていた。

「そういえば突然なんだけど、ハルタードの人が来るから、みんな準備してね」

エイラは朝から開口一番に元敵国の人が来ると突然言うと、周りは騒然とした。

そして、数時間後、ハルタード首長国の首長が到着した。

「久しぶりね。キリア」

エイラが先手に出た。すると、

「ここにいる皆様方に、先の戦争について、謝罪いたします。本当に私の父が申し訳ありませんでした」

訪問の理由を果たし、エイラの部屋に歩いていった。

「凛、カレン、あなたたちも来て」

そう言われ、そこに立っていた2人もエイラの部屋に入っていった。

「まずはとりあえず自己紹介でもしましょうか」

エイラがそういうと、最初に立ち上がって話し始めた。

「初めまして。ハルタード首長のキリア・ルンドヴァルです。以前の戦争でのご活躍は聞いております。私の父が大変ご迷惑をお掛けしました」

キリアはそういうと、深く頭を下げた。エイラになだめられやっと座った。次に、凛がその場で立ち上がった。

「多分言っても信じてもらえないかもしますが、なぜかここではない別の世界から来ました。吹谷凛です。まあ、戦争責任は個人が負っても子孫がそれを謝るのは違う気もするので。はい」

気の入ってない自己紹介だが、凛はこれでも頑張ったらしい。最後に、カレンが立ち上がり、

「カレン・ケルヴィネンって言います。この国に来たのはつい数ヶ月前なので、まあお互い仲良くできばいいんじゃないでしょうか」

そう言い座った。

「これでも禁戦条約があった頃は私たちも仲が良くて、よく一緒に遊んでいたもんね」

エイラがそういうと、それに対しキリアは

「あの頃に戻れたらよかったのに。女公陛下も随分立派になられて」

たわいも無い雑談が小一時間続いた。

「そろそろ帰らせてもらいますね」

キリアがそう言うと、

「今日は来てくれてありがとうね。またいつか」

エイラたちはそう言って見送った。

「またいつか“会えれば”会おうね」

キリアはそう呟いて帰っていった。


エイラの部屋に戻ると、そこには一枚の紙が落ちていた。

「キリア、もしかして忘れ物?」

エイラがそう言い中を開くと、そこには

『我々ハルタード首長国は先の戦争で達成することができなかった目標達成のため、今この時をもって宣戦を布告する』

と書かれていた。その時、

「伏せてください!」

シルヴォの叫び声が聞こえたのと同時に、少し遠くで爆発音が聞こえた。

「また…戦争…」

エイラはそう呟き、地図を広げた。