いっそう輝くのは終着点だったから
黄金色の思い出の中、触れてはいけない禁忌。
背中を仰け反らせ手を伸ばしてみても、手の中にはひとつもない闇だけがある。
あの日、こうしていたらどうであっただろうなど、そんな話は無意味だから辞めておくれよと言ったばかりなのに過ぎってしまった。
だからどうということも無いが。
今の幸せはまだ道半ば、そう思える事を可能性と呼びたい。中途半端だとは思っていたくない。
過去の栄光は永劫に、あの一層輝いていた場所が終着点だったと思えば、それに縋ってばかりいたなら、私は今もどこにも進めなかったのだろうと思える。
何時までも未完成でいることがひとつの美徳。それを言い訳に使うばかりの人生だが、今はただガウディになりたがっている。
黄金色の思い出の中、触れてはいけない禁忌。
私が歩き出すために閉じ込めた宝物たち。私が未完成である為に閉じ込めた、何処にも行けない私、何処にも行かないあなた。
物語なら禁忌には触れるのが鉄則、しかしここは真の生き地獄。見ぬが仏、聞かぬが花。
背中を仰け反らせ手を伸ばしてみても、今は未だ、手の中にはひとつもない闇。
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最低なことして最高になろうよ