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北海道縦断歩き旅7日目「雨と長いトンネル」江差町~

ホテルの寝心地の良さに4時に起きても、だらだらしてしまう。

靴擦れの個所に大きい絆創膏を張り、痛みを減らすように試みる。


この日も長距離を想定して早めにでて、セブンイレブンで朝食をとる。

コンビニ店員がアイドルみたいに目が可愛くて驚く。

歩道があって歩きやすい道を歩く。

朝はいつも気分がいい。

厚沢部(あっさぶ)川を渡る。

橋の両端に川の名の由来が描かれている事が多く、大半はアイヌ語由来のものが多い。

ちなみに厚沢部は『アイヌ語のハチャムベツ(桜鳥川)に由来し、この地に多くの桜鳥(コムクドリ)が居たため名付けられたと言われている。』と書かれていた。

歩いているとコムクドリではないが、水浴びをしている鳥が川からいっせいに飛び立ち、朝日を浴びて綺麗だった。


日曜だったからか焼き鳥弁当の屋台ワゴンが止まっていた。

地元の人も買い込んでいるのを見て、ひとつ買ってみる。


■読書

歩道があって落ち着いた道が続く。

夜、読書するつもりで持ってきた本を歩きながら読んでみる。

風が吹くたびページが折れて苦労したが、道が穏やかなのでしばらくの間、読むことができた。

本は、『旅は歩いて―日本一周(飯野 頼治 著)』

歩いて日本一周した方で、すべて野宿!

旅の参考にしようと思ったがルートは重ならなかった。

登山家ですでに旅慣れしている方だったので、素人の自分には痒い所に手が届かなかった。

一番、衝撃だったのは荷物が8キロと書かれていたのが衝撃的だった。

自分の荷物は20キロ。


素人と玄人でここまで差が出るものなのか。

思い当たる大きな差は、

・クッカー、コンロ、ガス。(合わせて1.5kg) 食料。(1kg~3kg)

ご飯は作っていないぽかったので、

自炊をやめて買い食いにすれば軽くできる。

・服が3日分。(1kgくらい)

筆者は着ている服のみで洗濯したら、着て乾かすらしい。

代えを持ってきても登山用の軽い服にするべきかも。

・ipad、バッテリー類(2kgくらい)。

ソーラー充電バッテリー機とipad。

ipad持ってきたのは間違いだった。バッテリーは減らせないが軽いものに変えたほうがよさそう。


もし次、旅をするときには荷物は12kgにはしたいと思った。

■慶喜トンネル

歩道がある道は素晴らしく歩きやすい。

手すりがあるとさらに嬉しい。アスファルトも細かくキャリーバッグの転がりが滑らかで助かる。

町によってなのか道路のアスファルトの質や歩道がいい地域と悪いところがある。まぁ、歩き旅なんて自分くらいなものだが、いい歩道が続くと助かる。

突符岬に向かう坂で通り雨が降った。

これまでも軽い雨はあったが、この通り雨は雨粒が大きくドッと振ったのでだいぶ濡れる。すぐに止むと思い雨具を着るのが遅れ、体が冷え。この旅で初めて”寒い”と感じる。

体が冷えると、みるみる体力を奪われ、急に疲れを感じはじめる。


荷物も濡れてしまった。

キャリーバッグは防水性は弱い為、出る前に防水スプレーをかけてきたのだが、日がたってスプレーの効果は薄まり、この大粒の雨で中まで濡れてしまった。

しかも、水を吸って少し重くなり、泥を含んでタイヤが重くなる。

キャリーバッグの長距離横断旅なんて聞いたことないし、厳しいのかもしれない。

この先、このバッグで行けるか不安になる。


道の駅で休憩し、買った弁当を食べる。

弁当も冷え。道の駅のホットコーヒー両手で抱え、すこし暖をとって休む。

雨が止むのを待たず、雨具を付けて道の駅を後にする。


しばらくすると、雨は止んだ。

■鮪の岬トンネル

中が綺麗で歩道があり、しかも広い。しかもアスファルトはきめ細かくタイヤ滑りがいい。

トンネルガチャSSRを引き、パラダイスに感じながら渡った。


トンネル内でたばこポイ捨てするドライバーが居て、暗いトンネルに火花が光る。


日本一周の自転車をまた見かけた。


■豊浜トンネル

再びトンネルが現れる。入り口に全長1270Mと書かれていた。

この旅、初めての1キロ越えのトンネル。

さっき通ったトンネルのように状態がいい事を願って入るも、中は古く汚かった。歩道も狭く、路面も悪く感じた。

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今、振り返ると大した事ないが、当時は一つ前のトンネルとの落差と1キロ越えのトンネルで状況を悪く感じていた。


果てしなく続く人口的な空間とそれを無人で一人占めする体験は、何とも言えない非現実的な体験だった。

なんとなく、ゲームのループするマップを歩いているような感じを思い出す。


長いトンネルでは日光と大自然に切り離され、過去の色々な事を思い出す。

今、引きずってるキャリーバッグで職場に行き10日間泊まりこみで仕事をして。そのあと6日間また別の職場に行き、再び10日間泊まりこみで仕事。

26日連勤泊まり込みで仕事をした。

あの時は『休みたい』という飢餓よりも、

『歩きたい』という飢餓があった。


深夜にコンビニに行くとき、久しぶりに歩いて、なんか真っすぐ歩けなくて歩き方を忘れてしまったような感覚は今でも覚えている。


また、渋谷のビルに勤めていた時は寝袋を持参し、

誰もいないオフィスで一人寝ていた。

深夜、壊れた空調から悲鳴のような音が途切れ途切れに聞こえた。

何度も聞くと幽霊に思えてきたが。

生きる苦しみと対峙して、残業してるルサンチマンの俺に、

「恨めしい」ものなんか一つもないだろうと思った。


トンネルに幽霊がいたとしても、俺を呪う事はないだろう。

生前どんな暮らしだったか知らないが、

残念無念は俺にもグツグツとある、

糞みたいな人生の俺の行方を、そこでキッチリ見てろ!

そう思っていた。



20分ほどトンネルをひたすら歩き出口が近づく。

出口で外気と日光が、過去のフラッシュバック、ふざけた妄想を吹き飛ばす。

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通りの脇に馬を見かける。

狭そうだが、ずっとあそこに飼っているのだろうか。





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この日は公園で野宿した。

予報では夜に雨が降るので公園にあるステージ裏を借りる事にした。


風が強く吹いていて食事が作りにくかったが、

パスタを作って食べる。

久しぶりに温かいモノを口に通して、お茶が体に沁みたのを覚えている。


夜は雷雨になる。

雨が弱いうちは気にならなかったが、

深夜にテントを叩くような音がして目が覚める。

テントの中にいると外が見えない為、物音はいちいち気になる。


どうやらステージの屋根の水が集中して落ちるところにテントを張ってしまったらしく。落ちた雨がテントにぶつかっていたようだ。


眠いが、服を着て外に出て、テントの位置を直す。

風は強いままですぐに全身濡れる。


■7日目終了 歩いた距離 約38km


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