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Action-taker

※この物語はHYBE、およびBTSと何一つ関連がございません。

人生は一度きりだ。

後悔するような人生は御免だと思っている。

心臓が躍るような生活をしなければ、生きた心地がしない。だからこそ、スタントマンという仕事は天職のようにも思えた。

だが、スタントマンという仕事だけでは、生活が成り立つはずがない。

だから俺は、様々なアルバイトを掛け持ちして食い扶持を繋いでいた。

「Alley Catから、予告状が届いた!捕まえた奴は今までの報酬の3倍やろう‼」

友人に勧められたSPの仕事は、給料は良いものの退屈なことこの上なかった。SPと言っても銃撃出来るのは、資格のある人間のみで、俺のように人より動ける人間は、入ってきた人間を捕まえる程度の人員なものだから、心臓が湧きたつような出来事が起きることがなかった。

ましてや金持ちの家だ。そもそも警備会社が警備を徹底していた。

「おい、ジョングク!まさかお前、寝に行くつもりか⁉」

「あぁ、だってもう交代の時間じゃないか。」

その日、友人に止められながらも、俺は少し早めに休憩を取りに行っていた。その30分後に、そこらかしこから聞き覚えのある旋律が流れ出し、俺はこの間パルクールをしたビルに居たピアニストのことを思い出した。

プラチナブロンドに染め上げ、真っ白な肌から紡ぎ出された、対照的な黒い音楽。だが、どことなくもう一度聴きたいと思わせる音色。

俺はこの曲に対してそれ以上の表現の方法を知らなかった。

その時、金庫が開く音がした。

今夜の会食でまた議員が賄賂でも貰って来たのだろうか?

そう思いながら寝ぼけ眼で金庫の方へ向かうと、見ず知らずの美しい、女性とも男性とも見分けのつかない人間が金庫の扉を開けていた。

真っ黒な衣装に映える銀色のアクセサリー、思わずはっと息を呑むほど美しいいで立ちだった。

だが、雇われている手前、俺は力の限り声を上げた。

「誰だ⁉」

そう言うと、その人は瞬く間に俺の方に近寄ってきた。上質な皮の手袋が俺の唇に触れる。

おとぎ話に出てくる魔女の様だった。

美しく、近寄りがたい…ゾッとするが、どこか惹かれる…そんないで立ち。

「綺麗で輝くものが好きだ。」

突然、その人はそう呟いた。俺は思わず眉間に皺を寄せた。その人は窓際へ吸い込まれるように移動していく。人差し指だけ、俺の方へ残して。

「だから…君も好きだ。」

ドキッとした。この感情をどう表現していいものか分からないが、戸惑いと恐ろしさと美しい人に見染められたときめきと…複雑な感情が俺の中にあふれ出した。

どういう意味か聞き出そうとした時、その人は窓から真っ逆さまに消えてしまった。

一瞬体が動かなかった。声すら出せなかった。慌てて窓の下を覗き込んだ時には、まるで全て夢だったかのように跡形もなくなってしまっていた。

俺が呆然としていると、友人が半べそを掻きながら俺の元へ走り込んできた。

「どうしよう、ジョングクぅ、俺は呪われたかも知れない。」

「は?」

「この携帯から流れる音楽で俺は呪われたらしいんだ。」

馬鹿らしい友人の発言に、俺は思わず笑ってしまった。

「大丈夫だよ、その曲を作った人と知り合いなんだ。」

「え?」

友人は驚いた様子で俺のことを見つめている。

それよりも、もしも本当に呪いがあるのだとしたら、俺はあの人に捕えられたに違いない。

確かめなくては。

後悔するような人生は御免じゃないか。

中途半端にやるなら始めもしない。一度始めたらやり遂げる。

確かめると決めたなら、解決するまで探さなくては。

呪いじゃないと理解した友人は、漸く金庫が暴かれていることに気が付いた。

「お前、Alley Catを見たのか?」

友人は少し興奮した様子で、俺に詰め寄ってきた。

「そうなんだよ、目の前で逃しちゃって。一緒に行く?

俺の目尻に知らぬ間に皺が寄っていた。

元の動画はこちら→BTS 2022 SEASON’S GREETING SPOT


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