以心伝心

みんなのおかげで勇気が出た俺は、心に余裕が出来、ファンミーティングの話し合いに集中することが出来た。

俺が誰にも言えずに悶々としている様子をメンバーが察してくれたからこそ、先ほどの出来事に繋がったに違いない。

マネージャーが会議室に入ってきて、今日の話し合いの様子をインターネット上で生配信する旨を伝えてくれた。

今回のファンミーティングのコンセプトは「星」であること。

そして、一つ一つの「星」が集まって、「星座」となり、そこから紡ぎ出される物語があること。

CUTとcutterだけの物語を共有するために、様々な神話に加え、不思議の国のアリスをモチーフとしたVCRを作成することなどが事前に伝えられた。

VCRの内容自体は基本的に開催まで秘密なので、今回の会議でcutterに伝えてはならないが、そのテーマに合わせて、尚且つ、cutterの意見を取り入れやすくするためにコメント等も確認しながら、セットリストやソロ曲なども考えて行かなければならない。

また、俺たちは世界中で人気を得られた分、オンラインで視聴する方々に対しても配慮し、直接見なくとも見ごたえのある舞台装置も必要となる。

今回の舞台がチャムシルオリンピック競技場なので、収容人数をなるべく獲得した状態で、尚且つ、後ろの席のcutterにも楽しんでもらう必要がある。

ともすれば、後方に舞台を設置してしまうと収容人数が減少してしまう。

また、今回は、事前にcutterからのアンケートも取っており、上位にランクインした「Burst up」で火薬を使用するため、その際の動線も再確認し、またcutterに被害が及ばないように再配慮する必要もある。

「「Burst up」에서エソ 화약을ファヤクウル 너무ノム 많이マニ 쓰는スヌン ゴン アン 좋지チュッチ(「Burst up」で火薬を使いすぎるのはよくないね。)」

そう言ったのはダンスリーダーでもあるチョンホヒョンだ。

그치만クッチマン 재작년보다チェジャンニョンポダ 임팩트를インパクトル 원해요ウォネヨ(でも、一昨年よりもインパクトは欲しいですよね)」

そうチョンホヒョンに伝えたのは、マンネのジュノだった。

그때는クッテヌン 메들리였으니까メドレーヨッスニッカ 이번이イボニ 임팩트하게インパクトハゲ 남을거야ナムウルッコヤ?(あの時はメドレーだったから、今回の方がよりインパクトが残るんじゃないか?)」

ユジョンヒョンが、ジュノに答えるように言った。

그렇네요クロンネヨ.의상이나ウィサンイナ 등장トンジョン 씬으로シーンウロ ット 달라질タッラジル ッゴ 같아요ガッタヨ(そうですね、衣装や登場シーンでまた変わってくると思います。)」

ユジョンヒョンに同意するようにミンジュンヒョンも言う。

俺も、メンバーの意見に頷いていた。

火薬を使いすぎると、舞台が使用できる幅が狭くなるため、ダンス曲で多く使用しすぎると、伸び伸びとダンスが躍りにくくなるという欠点がある。

だが、かと言って、タイトルが「Burst up」(爆発)なだけに、中途半端な火薬の量だとジュノが言うようにインパクトに欠ける。

そもそも、初っ端にこの曲を持ってきてしまうと、火薬の影響で一時的に煙が出てしまうため、他のダンスに影響が出る恐れもあるし、出来ることならMCの前に持ってきたい曲ではある。

メンバーがみんな同じ考えなのか、生配信中であるというのに、黙り込んでしまった。

도대체トデェチ 어디에オディエ 배치해야プェッチヘヤ 되는ドォヌン 거야ゴヤ?(一体どこにすれば良いんだ?)」

なるべく無言にならないようにとミンスヒョンが口を開ける。

そう言えば、前に彼女ヌナが理想のセットリストをSNS上に上げたりしていなかったっけ?

俺はそっと携帯を手に取り調べ始めた。

確か、いいねを付けた気がするのだが…。

俺が携帯をいじっている最中も、メンバーは真剣に考えている。

きっと彼女ヌナもこの配信を見ているだろうから、俺が携帯電話をいじっているのを見て、悪い印象を持つ可能性がある。

けれど、彼女ヌナの意見を取り入れるためだと伝わって欲しい。

そう思っていると、彼女ヌナのSNSが更新されていた。

『やっぱり、「Burst up」はメインステージで踊って欲しいし盛り上がるから、終盤の方で花道とかエプロンステージとかトロッコで歌える曲の後に想いきり楽しませて欲しいな。』

なるほど。

確かに、最近の俺たちのセットリストは終盤に思い切りダンス曲を入れるということが少なかった気がする。

昔のように思い切ったセットリストで開催するのも悪くないかもしれない。

오랜만에オレンマネ 마지막에マジマゲ 춤추고チュムチュゴ 즐기는ジュルッキヌン ッゴ 어때요オッテヨ?(久しぶりに最後に踊って楽しむのはどうですか?)」

俺がそう言うと、メンバーたちは驚いた顔をして、次々と賛成していった。

ふと携帯の通知音が鳴ったため、目くばせすると彼女ヌナから『이심전심이네イシンチョンシミネ(以心伝心だね。)』と連絡が来ていた。

言えない。

彼女ヌナのSNSを逐一チェックしているだなんて。

俺は気まずさを紛らわすように、携帯電話をポケットへと仕舞った。

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