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Shadow Hacker

※この物語はHYBE、およびBTSと何一つ関連がございません。

「どうしてですか⁉約束と金額が違いますよ‼」

裏社会には、裏社会なりのルールがある。

「今時、ハッカーなんて腐るほどいるだろ?雇ってもらっただけでもありがたいと思え!」

そう言って、電話主は乱暴に受話器を置いた。耳が張り裂けんばかりの受話器越しの音に、思わず僕も舌打ちをする。

大手企業のメインシステムのハッキングだっただけに、リスクは高く、万が一追跡された場合、真っ先に捕まるのは僕の方だった。それにも関わらず金額を値切って来るだなんて、先方はどうかしている。

「僕に喧嘩を売るなんて、良い度胸をしてるな。」

所詮、力で全てが解決すると思っている輩たちだ。情報が如何いかに恐ろしいかなんて分かっていない。

だが、単に個人情報を盗むぐらいでは、こいつらに大打撃など与えられないだろう。かと言って、僕に出来ることといえばハッキングぐらいである。

こういう時は、やはりプロに頼むべきだろう。そう思い、僕は久しぶりに自分の・・・スマートフォンに手を伸ばした。

「…ふむ、復讐ね。」

僕の話を一通り聞き終えた友人、もとい、チョンホソクは受話器越しに考え込んだ様子だった。

彼は、こちら側では名の知れた戦略家なのである。どうすれば選挙で勝ち上がれるか、あるいは、非合法でも大金を稼ぐ方法…はたまた、どうすれば他人を窮地に追い込むか、など、彼の知識を利用したい人間は山ほどいるのだ。

「人間をコントロールしたいなら、快楽と恐怖、2つの感情のどちらに重きを置くかが重要だと思う。」

彼は重々しく口を開いてそう言った。もちろん、どちらに重きを置くかなんて決まっている。

「僕は、恐怖が良い。奴らに復讐したいんだ。」

僕は即座にそう答えた。

「なら、簡単だよ。恐怖に落とし込んでしまえばいいんだ。」

そんな簡単に怖がらせることが出来たなら、僕だって苦労しない。そう言い返そうとした時、彼は続けざまに言った。

「僕の知り合いに、君の復讐を手伝ってくれそうな人が居る。難しい人だけど、彼に気に入って貰えれば、君の復讐は上手く行くんじゃないかな?」

復讐を手伝ってくれるとは心強い。だが、反面、僕の考えを知られるというリスクがある。

「信用できる人なのか?」

僕がそう言うと、ホソクは不安を拭うように‟もちろん″と答えた。

「彼も多分、煮詰まっている状態だから、君の手を借りたいと思うよ。そもそも調べるのは、君の得意分野じゃないか。」

彼はそう言った後、ある人物の名前を言った。藁にも縋る思いで検索すると、なるほど、有名人なのかそれなりのセキュリティー管理を施されている。

だが、この世に解けない暗号はない。少なくとも僕には。

システムハッキング完了。

元の動画はこちら→BTS (방탄소년단) ‘2022 SEASON’S GREETINGS' SPOT

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