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子どもの実態把握に散布図を使おう〜教師の働き方改革にもつながる〜

各学校における子ども実態把握について

皆さんは学校で子どもの実態把握をどのように行っていますか?
日々の関わり?何かしらのデータ?直感?いろいろありますよね。きっと、どれも大事にしないと行けないと思いますし、何より子どもの実態を把握しようとし続けることが大事な気がしています。それが直感であろうと、何であろうと。

今回の記事では、子どもの実態把握を行う上で直感であったり、日々の生徒とのやりとりは大事であるとした上で、それに加わる選択肢として散布図を用いた分析がよさそうなので紹介させてもらいます。

学校現場の調査っていっぱいありますよね。全国学力調査、都道府県の学力調査、定期テスト、QUアンケート、教育相談アンケート様々なデータがあります。めちゃくちゃ膨大な調査やテストをするのに負われてしまい、その結果をもとに子どもの実態把握をする時間なんて取れていないですよね。僕の学校も僕もそうです。でも、定期的に子どもの実態を様々な視点から把握し、その上で次の手立てを検討するのってめちゃくちゃ大事な気がしています。それが、長い目で見たときに子どもの力を伸ばし、トラブルも減るので、教師も働き方改革につながると思います。
では、なぜ、それができていないのか?以下に僕が考える理由を述べます。

・全国学テの結果の返却は忘れた頃にやってくるので、あまり見ようと思わ  ない。そもそも、グラフ難しすぎ。
・QUアンケートも忘れた頃にやってくる。お金がかかる。
・自分の学校で分析をしようと思うが、大変。
・分析がこれで良いのかよくわからん。
・結局平均だけだして終わるし、それだと上がったか、下がったかだけの結論になる。

散布図って子どもの把握をするためのコスパ、タイパどちらも良いかも

ここらへんかなと思います。そこで、良い分析シートってないものかと調べたところ、散布図を用いた分析が一番良さそうでした。そもそも統計的に正しい分析というのは、パネル調査であったり、経年比較をする項目反応理論であったり、長い年月をかけて、複数回調査する調査であるので、これは行政にまかしておいた方がよいです。学校でできることは、簡単に全体の傾向と子ども個人の傾向を把握することに務めることに徹したほうが良いと思います。
以下に散布図の分析がなぜ良いのかを述べます。

・EXCELでさっと創ることができる。
・アンケートは一人一台端末環境が整っているので、1年間に何回もとれるし、簡単。
・アンケートをとったらすぐに結果が出る。
・散布図はパット見てクラスの全体の傾向と個人が把握できる。
・無料

以下の図が、仮データで作成したあるクラスの散布図です。
横軸が主体的に学び考える力スコア(非認知能力;18点満点で一つ6点の質問を3つ作成し、合成したもの)、縦軸が学力(認知能力;500点満点で定期テストの結果)です。太軸は、それぞれのスコアの平均。数字は学年組番号(1234は1年2組34番)

EXCELで作成した散布図

どうですか?これで全体の傾向と個人の把握が一気にできませんか?例えば、全体の傾向を見ようと思えば、このドットがどこに集まっているかで見ることができます。仮に右上によっていたら満足している郡が多いでしょうし、左上によっていたら、学力は高いが、主体的に学ぶ意欲は低いと言えます。また、個人の位置も把握できるので、左下に誰がいるのか?リーダーはどこにいるのか?課題のある子はどこにいるのか?を見ることができます。
これを各学校の研究主任が作ったら、パット見でみんなすぐ把握できます。コスパ、タイパどちらもめちゃくちゃ良いです。

応用編

応用編について簡単に書いておきます。もし、必要であればコメントいただけたら記事にします。応用編は、軸を各学校の目標や重視している項目によって自由自在に変えることができることにあります。今回作った散布図は縦軸が学力で、横軸が主体的に学び考える力です。これを、学校が非認知能力に重きをおいていたら、縦軸を自尊感情、横軸をレジリエンスにすることも可能です。

どうやってつくるの?

じゃあ、どうやって散布図をつくるの?ですが、めちゃ簡単です。

①まず、アンケートをWEBアプリで実施
アンケートの質問項目ははじめは全国学力学習状況調査のものか、都道府県のテストの質問項目で良いと思います。各学校で重視している部分等だけでも良いと思います。これをWEBアプリでさっととります。ちなみに僕の学校ではロイロノートでさっとやります。

②ローデータ(生徒の生の回答データ)をEXCELに貼り付ける
回答が集計されたものではなく、1とか3とか生の回答データをEXCELに一気に貼り付けます。

EXCELに貼り付けたローデータ

③集計する
学力であれば「5教科の合計点数」、非認知能力であれば、「主体的に学び続ける力」の質問項目の合計(①勉強は好きだ。②自分で計画をたてて勉強している。③課題の解決に向けて、自分で考え、自分から取り組んでいた。の3つ)を集計します。一度作れば、ずっと使えます。

集計画面

④散布図にする
あとは、集計したものを貼り付けたら、散布図にするだけです。散布図の作成方法はこのURLを教えてもらい作成しました(https://bellcurve.jp/statistics/blog/15356.html)。

散布図の出力画面

以上です。ちなみに、僕はこのエクセルファイルを作成するのに約1時間。作ったエクセルファイルにデータを打ち込み、散布図を出すのに30分でした。一回作ったら、あとは何度も使えます。
僕は来年度はこれを学期に1回実施して教職員の皆さんに子どもの実態把握につなげてもらおうかなと思っています。4月から提案しますので、その進捗状況を今度も発信していこうかなと思います。

読んでいただき、ありがとうございました。もし、散布図の作成方法や運用の仕方についてコメントや質問がありましたら、コメントしていただけたら嬉しいです。もし、必要であれば、このエクセルファイルもコメントいただけたらあげますね。

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