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大人が思う以上に、子供は考えている。

「まだ子供だから」「こんなこと言っても分からんと思うけど」
これは私が子供のときに嫌いだった言葉だ。

私はいつも思っていた。
「私はもう大人と同じくらい理解できるし、考えてる。」
「子供なんかじゃない!」
と。

回想① 絵本「14ひきのひっこし」のサイドストーリー

私は子供のときに読んでもらった絵本の記憶はほとんど頭からなくなっているが、14ひきのねずみシリーズはとにかく好きだったことは覚えている。

私に子供が産まれたときに、実家に置いてあった昔の絵本を掘り起こしてきた。

その中にあったのは、いわむらかずおさんの「14ひきのひっこし」。

「ああ、懐かしいなぁ。よく読んでもらった気がする。
お、しかもいわむらかずおさんのサイン入りやん!プレミアやなぁ。」

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そう思いながら、ページを開く。
14ひきのねずみが、新しい家を探し引越をするストーリーだ。

『よいしょ、よいしょ。一番しりもちつきそうなのはだれ?』

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なんかおる!!あんた誰や!

そして、私は思い出す。
「14ひきシリーズはどれもねずみが主人公で面白くない。この『ひっこし』の絵本は、うさぎの話にする!」
と豪語していた、幼き頃の私のことを。

ちなみに、上記のシーンは、
「ねずみが力を合わせて登っている中、うさぎは特別なロープをひとりじめして、一瞬で登りました」
のようなセリフをつけていたと思う。(なんともひねくれた幼稚園児・・・!)

続いてはこちら。

『なっちゃん、しっかりつかまれ、もうひといきだ。いちばんうしろでがんばっているちからもちはだあれ?』

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うさぎ『わたしは、うさぎなのでピョンピョン岩とべま~す!ロープいりませ~ん!』

今の私「・・・。(絶句)」


『やっとみつけた すてきなねっこ。ここをあたらしいうちにしよう。』

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うさぎ『残念で~す!ここはすでに私のおうちで~す!』


そう、私はすこぶるひねくれていたのだ。(涙)
想像力の豊かさを悪用し、ねずみを出し抜くうさぎのサイドストーリーを何度もドヤ顔で母や兄に読み聞かせをしていたことが想起された。

でも、そのとき、幼稚園児ながらに思っていたのは
「どうだ、この私のストーリー!ねずみの話に引けをとらないだろう?」
「私を子供扱いするけど、私は私なりに色々考えてるんだ!」

ということ。

すでに超初期の中二病だったとも言えるが、とにかく「私だっていろんなこと考えてるんだから!」と思っていたことはよく覚えている。


回想② 梅宮アンナと羽賀研二の熱愛スクープ

あと一つ、自分の幼少期の頃の記憶で、唯一鮮明に覚えていることがある。

あれは、幼稚園年長の頃だった。
私は、関西ローカル番組の「おはよう朝日です」を見ていた。芸能ジャーナリストの井上公造がいつものようにゴシップネタについて熱っぽく話していた。

なぜか私もそのニュースについてコメントしたくなって、井上公造ばりに話し始めた。

「ああ、梅宮アンナと羽賀研二の熱愛スクープなぁ。アンナのお父さん、梅宮辰雄がうるさいから大変やんなぁ。」

私の顔を見て、キョトンとする母。そりゃそうだ。普段こんなゴシップについて話したことがない。ましてや、年長児が、恋愛やそこに関与する父親のややこしさなんて理解してないと思ったのだろう。

「よ、よく知ってるなぁ。」

母の驚いたリアクションが面白くて、水を得た魚のように話し出す。

「まぁ、この2人はもう別れると思うけどな。羽賀研二は不倫しそうやん。あ、不倫って結婚してる人の話やっけ、羽賀研二は浮気か。」

当時、芸能ニュースが大好きだった私は、毎朝毎夕、ワイドショーで芸能ニュースをかじりつくように見ていたので、自分としては当たり前の知識だった。

でも、あのとき、きっと母は「年長児だけど、ここまで色々なことが分かってるんだ」と思ったはずだ。

そして、私はその母の表情を見て、
「大人が理解してることは、私もほとんど理解できてるんだよ。ヘヘン」
「私は体はまだ小さいかもしれないけど、考えていることは大人だ」

と思ったのを覚えている。

子供はすでに一丁前の人間だ

もちろん、子供のタイプにもよると思う。

私自身がたまたま、幼稚園児ながらに中二病を発症しかけてたひねくれた子供だったのかもしれない。

でも現在、私は子供を育てている中でも、子供は子供なりに物事をよく見ているし、子供の世界の空気を子供なりによく読んでいるし、子供なりに考察し努力しているなと感じる。

ある日突然「今地震が起きたらどうしよう」「川が洪水で氾濫したらどこに逃げよう」と天災についての恐れを露わにしたり、死後の世界について考えだしたり、絵本の内容を自分なりに解釈を示したりと、ふとした瞬間に驚かされることも多い。

子供なりに、脳みそを100%使って全力で考え、生きているのだ。


そして、だからこそ、子供は「子供扱い」されるのを嫌がる。

我が家の2歳児は、年上の子に公園などで「赤ちゃん」などと言われると激怒するし、5歳児は「〇〇(下の子)は子供だけど、僕は大人だよ。」などとよく言う。

でも、私がある日「法律では、20歳以上が大人って決まってるんよ」と言うと、5歳児が
「僕も大人やで?いろんなこと考えてるし、いろんなこと知ってるやろ?」と、いかにも不服そうに反論した。


ああ、あのときの私と一緒だ。

「14ひきのねずみ」に大人顔負け(自称)のうさぎのサイドストーリーを創作し、母や兄にドヤ顔で読んでいたとき。

梅宮アンナと羽賀研二の熱愛について語ることで「世の憂いも悲しみも色恋も、私は全て知ってる」と子供ながらに胸を張っていたときの私と一緒だ―。


どうしても親の立場になると、「子供は子供だ」と思いがちだが、
子供は大人が思っている以上に考えていて、一丁前の人間なのだ。


どんなに忙しくても、どんなにしんどくても、私は常に心に留めておきたい。

子供を一人の人間として接すること。
子供の自尊心を大切にすること。


さもないと、夢に出てきそうだ。そして、あのときの私とコイツに笑われそうだ。

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「大人が思っている以上に、子供は考えてるで。」


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