大阪府立富田林中学校2020算数(面積と辺の長さ)
大阪府立富田林中学校の2020年度適性検査Ⅲ(算数的問題)より、大問1の(6)、面積から辺の長さを求める問題です。
図の正方形ABCDの面積が425㎠ で、直角三角形ABEの面積が76㎠ のとき、辺AEの長さを求めなさい。
非常にシンプルな図で、少ない情報しか与えられていないのですが、なかなかの難問です。
●解説(まずは途中まで)
まず、以下の左の図のように補助線を引き、直角三角形を4つにします。
すると、4つの直角三角形はすべて合同であることが、右の図で証明できます。
直角三角形ABEに注目すると、角BAE(○印)と角ABE(■印)の和は、「180°− 角AEB(直角)」 なので、90°とわかります。
角BAE+角ABE=90°
そして、正方形ABCDの角である角ABCも当然90°になるので、
角BAE+角EBC=90°
よって、
角ABE=角EBC となり、順に4つの直角三角形の角の関係わかるので、4つの直角三角形は合同だと決まります。
これによって、内側にできている正方形EFGHの面積が求められます。
425㎠ − 76㎠ × 4 = 121㎠
ここで、正方形の面積が121㎠ であるということから、ある事実に気づくことが必要になります。
それは、11×11=121なので、正方形EFGHの1辺は11㎝ だということです。
平方数はある程度まで覚えておきましょう。
そして、ここからは考え方が2通りあります。
●その後の考え方①
4つの直角三角形が合同なのは証明済みなので、
辺AEの長さは、「辺BE+11㎝」とも表わせます。
したがって、直角三角形ABEの面積を求める式が、以下のように変形できます。
BE×AE÷2=76㎠
→BE×(BE+11㎝)÷2=76㎠
→BE×(BE+11㎝)=152㎠
「BE」と、「BEに11を足した数」をかけて、「152」になる関係が成り立つような「BE」を探すのですが、1から順に考えても割とすぐ見つかります。
実際は1から始めず、「BEが5だと5×16=80なので、もっと大きい」とか、「BEが10だと10×21=210なので、もう少し小さい」とある程度のめどをつけて考え出す方がいいでしょう。
辺BEの長さと直角三角形ABEの面積の関係をまとめると、以下の表のようになります。
よって、辺AEの長さは19㎝と求められました。
●その後の考え方②
もう1つの考え方としては、正方形ABCDのまわりに、直角三角形ABEと合同な直角三角形を4つ並べます。すると、下の図のような正方形になります。
この正方形IJKLの面積は、
425㎠ + 76㎠ × 4 = 729㎠ と求められます。
そして、729も平方数であることがカギになります。
27×27=729 なので、正方形IJKLの1辺の長さは27㎝ です。
そして、次の図から、この正方形IJKLの1辺IJの長さは、
AH+HE+BJ と表せます。さらに、AHとBJの長さは等しいので、この正方形IJKLの1辺は、11+AH×2とも表せます。
よって、11+AH×2=27 から、
AH=8cm と求められます。
したがって、辺AEの長さは 8+11=19cm とわかりました。
●まとめ
考え方①の方は、11×11=121さえ覚えていれば、直角三角形ABEの面積から答えにたどり着くことができます。
考え方②の方は、27×27=729を覚えていないと難しいのですが、図形の扱い方・ひらめきとしてはよりスマートです。
どちらも確実に言えることは、「平方数の感覚は鍛えておきましょう」ということです。
それではまた次回。
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