京都市立西京高等学校附属中学校2021算数(立体の切断)
京都市立西京高等学校附属中学校の2021年度適性検査Ⅱより、立体の切断の問題です。
●問題
同じ大きさの黒い立方体と白い立方体がたくさんあります。立方体の切り口は外側と同じ色です。
下の図①のように、黒い立方体3個と白い立方体1個を組みあわせた直方体を作ります。この直方体について、黒い部分と白い部分の体積の比は3:1です。
以下の問いに答えなさい。
(1) 下の図②について、直方体の頂点のうち、丸で囲まれた3点を通るように切り分けたとき、切断面の三角形について正しい文を、次から選び、記号で答えなさい。
ア 正三角形である。
イ 正三角形ではない、二等辺三角形である。
ウ 二等辺三角形ではない、すべての辺の長さが異なる三角形である。
エ 立方体の1辺の長さがわからないので、どのような三角形になるか決まらない。
(2) 下の図③・図④のように、直方体の頂点のうち、丸で囲まれた4点を通るように切り分けたとき、点Aを含む立体について、それぞれ黒い部分と白い部分の体積の比を答えなさい。
(3) 下の図⑤について、直方体を切り分けたとき、点Aを含む立体について、黒い部分と白い部分の体積の比が1:1になるようにしたいと思います。直方体の頂点①~⑧のうち、どの4点を通るように切り分ければいいか、頂点①~⑧から4つ選び、記号で答えなさい。
●解説(1)
切断面の三角形の辺の長さを考えます。
もとの立方体1個の1辺の長さを1とします。
すると、図②の直方体の上面は縦が1、横が2の長方形と言えます。
同様に、右面は縦が2、横が1の長方形です。
そして、前面は縦も横も2の正方形です。
つまり当然ですが、上面と右面は合同な図形であることがわかります。
切断面の三角形の各辺は、上記の長方形・正方形の対角線であるので、上面と右面では等しくなることがわかります。
よって答えは、イの「正三角形ではない、二等辺三角形である」です。
●解説(2)
まず図③について、切断して点Aを含む側だけになった状態を見てみます。
この切断後の状態で、右上の白、左上の黒、右下の黒、左下の黒、の4つに分けて考えてみます。
もとの立方体1個の1辺を1とすると、4つとも高さは1なので、底面積の比がそのまま体積の比になります。
右上の白の底面積:上底が0.5、下底が1、高さが1の台形なので、
(0.5+1)×1÷2=0.75
左上の黒:底辺が0.5、高さが1の直角三角形なので、
0.5×1÷2=0.25
右下の黒:右上の白と等しく0.75
左下の黒:左上の黒と等しく0.25
黒い部分の合計は、0.25×2+0.75=1.25 なので、
黒:白=1.25:0.75=5:3 だと求められました。
続いて図④です。
この切断後の状態は、左面を底面として考えれば、結局は図③を左右反転しただけで、黒い部分と白い部分の体積は図③と同じになります。
よって、こちらも体積比は黒:白=5:3です。
●解説(3)
以下の頂点から4点を選び、その4点を通るように切断し、黒い部分と白い部分の体積の比を1:1にします。
大前提として、「切断」とは切り口が平面にならなければいけません。
つまり、「①④⑥⑧」「②④⑤⑦」などのような4点では刃を真っ直ぐ入れても切れず、途中で刃の角度を曲げつつ切らなければいけなくなるので、「切断」という概念ではあり得ません。
しかも今回は「頂点を4点」という条件なので、考えられるパターンはかなり限られます。
(これが3点での切断の場合や、辺の中点も使う場合も含めると、途端に複雑になります。)
考えられる切断法は「①②⑦⑧」「③④⑤⑥」「①④⑥⑦」「②③⑤⑧」「①③⑤⑦」「②④⑥⑧」の6通りです。
すでに(2)で体積比を求めたものもありますし、実は問題の条件を満たさない切り方もありますが、一応6通りすべてについて、以下に実際に切った図を示します。
「①②⑦⑧」 黒:白の体積比は7:1です。
「③④⑤⑥」 (2)で求めたように、黒:白の体積比は5:3です。
「①④⑥⑦」 黒:白の体積比は1:1です。
「②③⑤⑧」 黒:白の体積比は3:1です。
「①③⑤⑦」 (2)で求めたように、黒:白の体積比は5:3です。
「②④⑥⑧」 これは点Aを断面が通るので、「点Aを含む立体」がどちらを意味するのか定義できなくなり、不適当です。
よって、頂点①④⑥⑦を通るように切ればいいとわかりました。
立体の切断はイメージがつかないという小学生も多いかと思います。
実際に立方体を用意して切ってみるのがいいのかもしれませんが、きれいに切れる立方体はそれほど大量に用意できないでしょう。
そこで、以下のような透明なアクリルの立方体に、ホワイトボードマーカーで切り口を書けば見取り図的に奥の面の様子も透けて見えてイメージがつきやすいはずです。
アクリルにホワイトボードマーカーなら、書いてもティッシュで簡単に消せるので繰り返し使えます。
こういったアクリルの立方体は、本来はフィギュアケースなので、かぶせて使うために1面が空いているものもありますが、上のもののように6面そろっている方が使いやすいかと思います。
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