【読書記録】くらしのための料理学
書籍情報
タイトル: くらしのための料理学
著者: 土井善晴
出版社: NHK出版
出版日: 2021-03-25
読んだきっかけ
「NHK出版 学びのきほん」シリーズ(全23巻)を眺めていて、料理についての本書はKindle Unlimitedだったので読んでみることにしました。
学びのきほんシリーズには、他には哲学・仏教・政治・建築・お金などについて書かれた本があります。100ページ程度の本が多いので気楽に読むことができると思います。
書籍の概要
料理研究家の土井善晴先生が、料理とは何かについて、歴史的な視点や、他の地域の料理の文化などを交えながら説明します。他には、家庭料理とお店の料理の違いや、料理が自然と人間の間を受け持つ存在であることなどの話があります。
印象に残ったところ
土井先生の料理に対する考え方がよく分かる部分です。料理本というと、美味しさと手軽さのどちらかを求めているイメージがあったので、それとは異なる考え方が書かれていて面白いなと思いました。
素材の味は人の手によってではなく、自然によって決まる部分もあるという話でした。和食は、油などを使わず、素材の味を活かして薄味で味付けすることが特徴のようです。
手をかけることや美味しい料理を作ろうと思って、料理を作ることがしんどくなることを気にかけている部分です。代わりに提案されるのは、まずは配膳や盛り付けなどに手をかけて「きれいにする」ということです。
感想
「自然」という言葉が頻繁に使われていることが印象的でした。自然と共にあった伝統的な料理が、経済の発展によって失われていることや、経済的な利益を優先して作られた料理を「地に足のつかない料理」と指摘しています。
「料理は自然と人間の間を受け持つものである」というような言葉を見て、確かにその通りだなと思いました。このことにはっとさせられたのは、暮らしがあまりにも綺麗になりすぎていたからだと思います。私にとって食材は、スーパーに並んでいるものだという印象だったので、その向こうにある自然を意識することがなかったのだなと気づきました。
料理についての本というと、美味しさや手軽さを求めている印象がありました。土井先生は異なる考え方を持っていて、自然との関係や、料理を整えることを重要視していていることに興味を惹かれました。本書でも紹介されている「一汁一菜でよいという提案」や、土井先生の料理に関する考え方の変化や葛藤を知れそうな「一汁一菜でよいと至るまで」も読んでみたいと思いました。
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