「全てはリズム」という話

文章を書く時大事にしていることの一つにリズムがある。
いや、一番大事にしているのがリズムかもしれないとも言える。

実のところ、デザインや、編集、物語だって全て広い意味でのリズムが命のような気がするし、それがつまり起承転結のような構成のスタイルだったりする。
わかりやすい抑揚やあえての単調さで、人の視線や心の導線を少なからずコントロールする感じ。最後まで飽きることなく読ませるのも、大事な役割だ。リズムと気分は非常にリンクしているのを、実際に体験したことがある人も多いだろう、そう音楽のように。

時に私が書く文章は全く意味がなく、ただただ文字の音で構成された文章とも言えない文字の集合の場合がある。
あえて言葉を繰り返したり、めちゃくちゃ崩したり、はぐらかしたりもする。
その時書いているのはリズムそのものだ。
何にも伝えなくても、読み手を楽しい気持ちにさせることができたりする。ライバルは音楽なのだ。

まるでヘレンケラーのwaterのごとく、初めてこの概念に触れたのは、国木田独歩の「武蔵野」だった。教科書で取り上げられたそれの、作者の楽しい心理が伝わる軽快な部分に、文章ってこういう表現があるのだなといたく感心してしまった。
それから何年も経って、さらなるリズムマスターの文章に出会うことになり、その人が私の文章師匠である(と勝手に決めてる)が、ここで多くを語るのはなかなかに困難である。
時間切れなのでまた今度。いつか多分。


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