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命を繋ぐ。

今日は2月22日。
猫の日です。

現在我が家には7匹の猫と1匹の犬がいます。
猫は全て保護猫。1匹は自分で捕獲した子。

実はもともと、猫は1匹だけでした。
その子は家の隣にある公園に捨てられていて、片目が膿んでいる状態でした。

その時我が家には犬が2匹いました。
恥ずかしながら猫を迎えるのは難しいのではないかと思いました。
その日は玄関先で水などをあげ、家には上げませんでした。

その夜は雨風が強く、とても心配になりました。

翌朝、元気に鳴いている声が聞こえました。
我が家に迎えようという事になり、すぐに病院に連れていきました。

膿んでいる目はかなり悪い状態で、目薬を続けても失明する可能性が高いと言われました。

ですが、妻の献身的な世話が実り、小さな傷が残っただけで、失明は免れました。

猫が増えた我が家。
またひとつ楽しい生活になりました。

ある日、知らない間に外に出ていました。
とても賢く、ドアを開け、網戸を開けて出ていたのです。

ベランダからテラスに飛び降りて出て行く事も。

危ないので外に出ないように対策をしました。ですが、今までにないくらいのストレスを感じているようでした。

この子の人生を考えると、家に閉じ込めておくのは可哀想かもしれないと思いました。

その日からは「気をつけて帰っておいで」と言って外に出すようになりました。

裏の公園でゴロゴロと寝転んだりして楽しそうに過ごし、気が向いたら裏口から「ニャー」と鳴くので扉を開けてあげる。そんな日々でした。

そんなある日のこと。

いつものように外に出て、裏口から「ニャー」と聞こえてきました。
その時、忙しくて入れてあげられませんでした。
これまでもそんな事はあったので、気に留めていませんでした。

「また後で開けてあげよう」
そう思っていました。

これが最後になりました。


何日経っても帰ってこない。
1日帰ってこないことはありましたが、こんなに長く帰って来ないことはありませんでした。

色々な方に助言や協力をしてもらいました。

車に撥ねられていた事がわかりました。

連絡をくれた方にお聞きしたところ、よく近くを歩いていたのを見ていたとのこと。
白くてキラキラした首輪をしていたから「あの子だ」と分かってくれていたそうです。

そんなところまで遊びに行っていたなんて全く知りませんでした。

何日も見つける事ができず、最期の姿を見る事ができなかった。

裏口の磨りガラス越しの姿を見たのが最後。
まさかこんな事になるなんて。
あの時、何で僕はドアを開けてやらなかったのか。

何で。
何で。
ごめん。
本当にごめん。

辛くて、現実が辛すぎて、これまでに経験した事がないくらい泣きました。
取り返しがつかない事ってこういう事なのかと打ちひしがれました。

最後の声を聞いたあと、いつもの遊び場へと向かっている最中に轢かれてしまった。

全て僕の責任。
ごめん。

そんな言葉を繰り返す僕に対し、妻はこう言いました。

「あなたのせいだとはこれっぽっちも思ってない。あの子は自分の人生を目一杯楽しんだはず。我が家にきて良かったって思ってくれてる自信がある。だからもうこれ以上そんな言葉は言わないで欲しい。」

僕よりも妻の方が悲しかったはずです。
その日から僕は立ち直りました。

外に出さなかったら轢かれることはなかった。
でも土にまみれたり、花や風の匂いを嗅いだりする事はできなかった。あの子は家の中の生活ではなく、自由に外に出る生き方を選んだんだと。

数日後、妻は保護猫シェルターのお手伝いを始める事になりました。色々な問題や辛い現実がある事を知りました。

そして2匹の保護猫を我が家に迎えさせてもらいました。

その後、4姉妹の子猫の預りボランティアをさせてもらい、そのまま我が家に迎えさせてもらいました。

あっという間に6匹に。

そして、偶然とは思えないタイミングで見つけた猫を自分達で捕獲し、我が家に。

あれよあれよと言う間に7匹に。

その間に沢山の方々と知り合う事もでき、新しい発見や考えなくてはいけない事などがあるとわかりました。


本当に悲しかった。
あの時ドアを開けていたら良かった、と思う事はあります。
でも多分、あの子は自分の人生を全力で走り抜け、その命を終えた。

そして、7つの新しい命を繋いだ。

あの子は凄い子だったんだと思います。

人生、「たられば」はありません。
辛くて堪らない時もあるけれど、その先に何かが待っているからこそ、その現実があるんでしょうね。

だから、いつでもその瞬間の現実は最高であり、その判断に間違いはないのだと思っています。

もう会うことは出来ないし、この手で触れる事も出来ない。声だって忘れてしまうし、匂いだって忘れてしまう。

でも、1つの命が7つの命を繋いだという事実は決して忘れる事はありません。

またいつか、生まれ変わって我が家に来るらしいです。

レガ、ありがとうー。
待ってるよー。

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