見出し画像

日本国憲法第六十五条

行政権は、内閣に属する。

41条から64条まで続いた第四章が終わり、第五章に突入した。誰のために、何のためにやっているのか不明確なこのシリーズだが、一応憲法について考えたり調べたりしている。考えたり調べたことについては書かず、日常の出来事をひとつのワードに関連づけて全く関係のないことを書き綴っている。綴っている、ではないか。書き殴っている、に近い。


今の会社で働き始めて5ヶ月が過ぎようとしている。言ってはなんだが、確実にその地位をグイグイ上げてしまっている。不本意ながら。
そもそもの入りからして、他の派遣社員とは雇われ方が異なり、管理者側に片足を突っ込んでいた訳だが、会社の体制だとか元々の管理の甘さに疑問を持ち、自信の働きやすい環境を整えていっただけなのだ。
別に大したことはしていない。本当に。
マニュアル化されていなかった煩雑な業務を可視化し、一人の管理者に極端に比重を置いた業務を一部請け負い、そんなことをしている内に私もデカい顔をできるようになってきたため、気付いたことをガンガン言うようになった。新しい業務の研修を行ったり、他の派遣社員のフォローを行うようになって、私もイチ派遣社員に過ぎないんですが…なんてことを言うのをやめ、偉そうにフィードバックなんかもし始めた。

昨日も帰り際、そういえばと一人の女の子に声をかけた。17時ちょっと前。彼女の定時は18時だったが、みんなより一時間早く出勤している私は間もなく帰れる時間だった。様々な雑務に追われ、気付いたら定時直前。だけど今日はちゃんと話さなければ、と彼女を呼んだ。
入った頃は慣れない業務に戸惑ったり苦しんだりしていたが、持ち前の真面目さでどんどんできることを増やしていき、今や頼りになるメンバーの一人になった。しかし、気付くと彼女一人だけが稼働している時間が目につくようになった。
「今ちょっといい?」と少し離れたところに彼女を呼んだ。大丈夫?疲れてない?最近どう?と尋ねると案の定微妙な反応を示した。頑張ってるの分かってるからね、フォローできなくてごめんね、適当に休んでね、と話すと表情は和らいだ。私だってこんな業務慣れていない。そもそもこんな要因で雇われてはいない。だけど、「そんなこと言ってもらえて嬉しいです。泣きそうです」と言う彼女を見たら、まあ仕方ないかと思えた。

誰かの上に立って仕事をしたことなどない。今の仕事だって経験が長いわけでも、特別スキルがあるわけでもない。ちょっと社会人経験があって、ちょっと歳がいってて、ちょっと“できる風”の顔が上手いだけだ。
いつだって替えのきく存在。ごまんといる、社会に属するただの28歳。自分一人がいなくなったところで明日からも変わらずこの会社は回っていくし、殆どのことは変わらない。
だけど、一緒に働く一人の女の子の気持ちを少しだけ楽にしたり、一人の社員の業務負担を少しだけ軽くしたり、そういうことも結構重要だと知っている。同じ空間で過ごす人の、誰か一人がダメになると組織は雪崩式に崩れていくことも。

今は土日祝と呼ばれた時だけ出勤するピンチヒッターかあるいは都合の良い女のような働き方をしているが、こんなめちゃくちゃな勤怠でも雇い続けてくれ、それどころか重宝してもらっている。4月からはまたフルで出勤できるようになるが、その数ヶ月後には再び実習が始まるしそのうち就活や国試の勉強やらで出勤数は激減する。
来るその日に備えて、私の業務を引き継ぐ弟子の採用を急いで進めていると聞き笑ってしまった。言ってはなんだが、基本派遣社員で成り立っている我が部署はどんな人材が“釣れる”か分からない。私はゲームをやらないため全く分からないが、私の入職はガチャで大当たりが出たようなものらしい。こんなこと書くのは自分のnoteだからだけど、やっぱりそんなこと言われたら嬉しい。



必死に就職活動をして新卒で入った大手の住宅メーカー。是非来てください、なんて言われ採用されたが、3年半、求められているとも必要とされているとも感じたことはなかった。月に一度アホみたいに給料は振り込まれたが、毎日アホみたいに残業していた。
“誰でも入れる”会社で働き始めて約半年。週に一日でも、一日に4時間でも、来てくれたら助かると言われている。嘘でもお世辞でも、「当たり」だと言われる人材になれているのはこの会社の緩さとハードルの低さは否定できないが、22歳からの3年半で培ったものが多いことは分かっている。だけどやっぱり、社会の藻屑だったとしても必要とされながら働きたいのだ。

間もなく社会人7年目の春。紆余曲折あったが、何とか給料の払われない月を迎えることなく過ごすことができた。
これから社会人になる皆さん、相対的に見て多いだの少ないだの感じることはあると思いますが、毎日健全に過ごすためのポイントは「貰っている給料は今の自分の正当化な評価」と思うことですよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?