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期限付酒類小売業免許とグロウラー選び

期限付酒類小売業免許とは?

国税庁が4月9日、酒類の持ち帰り用販売を希望する飲食店に向け、「期限付酒類小売業免許」を付与すると発表しました。これはクラフトビール・カルチャー的にはなかなかエピックな出来事で、COVID-19が良い方向に影響を与えた数少ない例だと思います。

酒類は製造/卸売/小売で必要な免許が異なり、その中でも期限付酒類小売業免許とはビアフェスなどの催事で期間限定で与えられる酒販免許で、飲食店営業許可しか持っていない場合はビールをTO-GO(お持ち帰り)で本来は販売することができないんですね。

なので、ブルワリーやパブなんかでビールの持ち帰りができる所は小売業免許が求められるのですが、その為には販売のための場所を別途設けるとか、レジを分けるなど色々制約があります。例えばブルワリーで飲んだ後に会計時に持ち帰りでボトルのビールを一緒に頼むと、ボトルだけこっちのレジで、なんて言う場合がありますが、それは小売業免許の制限のためです。

ところが!困ったのはクラフトビールを主に繋ぐパブです。ビールは一旦繋いでしまうと後は劣化する一方なので、数週間も営業自粛するとなると、ビールは最終的に捨てざるを得ないのです。実際、あるパプはグロウラーを持参してビールを持って帰ってほしい、ビールは無料だけど、ドネーションとして好きな金額を払って欲しいという苦肉の策を取り入れていました。

しかし、今回の国税庁の英断で半年間だけビールの持ち帰り販売が許されることになり、GWあたりのビアフェスのために仕込んでいたビールを持て余すことになるブルワリー、冷蔵庫がパンパンになっていたインポーターが今回の新型コロナ禍を乗り切るため、少しでも助けになればと思い、グロウラーの選び方を紹介したいと思います。

グロウラーとは?

簡単に言うとビールを入れる容器です。個人的には2系統に分けているのですが、陶器/ガラス製の保冷しないタイプと、ステンレス製の真空構造を持った保冷タイプです。どちらも一長一短があります。

簡単に言うと、陶器/ガラス製はそのまま冷やすことができるという美点があり、欠点は持ち運びに向いていないこと。真空構造のものは持ち運びには優れるものの、それ以上冷やすことができないため、短時間で飲みきる必要があるという欠点があります。

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写真はスタンレー製です。購入して何回か使ってみましたが、口金のシール性能が弱く、炭酸の強いビールを入れるとシュワシュワとゴムのシール部分から漏れます。リアルエールのような炭酸が弱いスタイルのビールを入れるなら問題なさそうです。

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炭酸が漏れない、もっとシール製の高いグロウラーを探して行き当たったのがハイドロフラスク社でした。著名なブルワリーも数多く本拠を置くオレゴン州ベンドの会社なので信頼できる気がします。

結論から言うと、シール性能は完璧なのですが、ビールを注いだ後に栓をあまりきつく締めると、時間経過で内部の圧力が上がって栓が強烈に固くなり、緩めるのが大変になります。栓の横に手持ちするためのループがあるのですが、どちらかと言うと硬い場合でも回しやすいためのものなのかな、とさえ思います。

twitterで教えて貰ったのですが、DrinkTanksというメーカーのもの。なんと、ハイドロフラスクと同じオレゴン州ベンドの会社なので、ひょっとしたら同社からのスピンオフの可能性もありますね。後発なのと、ビールに特化しているのでこれは凄く気になります。価格もなかなか。

↑はDrinkTanksを実際に使った方のフィードバックです。GrowlerWerksも気になりますね。

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グロウラーは炭酸飲料を入れるという性質上、圧力に耐える口金と、簡単に緩めることができるという、矛盾する要素を両立させる必要があるため、想像より高い技術力が求められそうです。

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ちなみにポートランドからクルマで3時間ほどのベンドという街は素晴らしいトレイルネットワークに囲まれた街として名高く、10バレルとDeschutesが名高いですね。ビールが有名ならビール周辺のエクイップメントだって盛り上がるのは当然です。

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グロウラーは2系統あると説明しましたが、これが保冷しないガラスのタイプです。ガラスや陶器製の最大の利点は価格が安いのと、そのまま冷蔵庫に入れて冷やすことができる点です。やはり、アメリカの冷蔵庫は個人宅でも大きいので、ブルワリーで買ってきて、そのままさらに冷やすことができるのは大きな魅力です。あとホームブルーにも使いやすいです。

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このグロウラーはシアトルのジョージタウンで買えるものです。カウンターの右端に積んであって、確か$10ちょっとくらいで販売しているのですが、平日でも恐ろしい勢いで売れていました。シアトル・シーホークスのゲームがある時は、ここでグロウラーを買って、家で飲みながら観戦する訳です。

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5年前なので少し古い写真ですが、LAのモンキッシュです。fillと書いてあるのがグロウラーの価格ですが、$15からありますね。グロウラーとはブルワリーも手間が省けるし、買う側も安く買えるし、素晴らしい仕組みだったのです。

だったのですと過去形で書いたのは、どうもNEIPA、つまりヘイジーIPAの流行で、アメリカではfill(TO-GO)が廃ってきたように感じます。500mlの4本パックが主戦場になり、限定でリリースして、すぐに完売みたいなビジネスモデルに変化しています。Tree Houseなんてその最たるものなのですが。

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モンキッシュの話題になったので面白い画像を。僕が訪問した2015年9月にはこのような看板が掲げられていたんですね。NO IPAです。当時の西海岸と言えばウェストコーストなクリアでホップの効いたIPA全盛期だった印象があるのですが、そのLAでベルジャンスタイルで貫き通すなんてやばい!と思った記憶あります。

この看板があったのは極めて短い期間だったにも関わらず、覚えている人は多いみたいで、限定のNEIPAを頻繁にリリースするようになった現状を見て、この看板のことを掘り起こしてイジってくる人が多いようで、今ではこんなマグカップを販売して自虐ネタにしています。

#フッドに貢献

COVID-19のせいで全てが変わってしまいました。しかし、ブルワリーは変化に応じて柔軟に生き残ってきましたし、実際その変化は今急速に起こっています。アメリカでは行列しないと買えなかったブルワリーがローカルで通販を開始するなど、考えられなかった変革が起こっています。

とりあえず、我々ビール好きはビールが無駄にならないよう、地元のブルワリーを支えることがいまやるべきことだと思います。まずはグロウラーを入手してみましょう。ガラス製がいい?真空の保冷ができるやつがいい?いえいえ両方買うのですよ。

とりあえず、北堀江のマルカさんはビールの仕込みをやりつつ、持ち帰りの販売もしていますので、是非グロウラー持参で買いに行ってみてください。

皆様のサポートに新たな冒険に旅立つことが可能となります。NZ南島に行きたいと思っています。