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【音楽】せめて歌詞カードはみないでください

 録音がされるようになって、音楽というのは随分と堕落した。音楽というのは場であり、一回かぎりのものであったのが、そうでなくなり軽くなり、きく人たちの耳も軟弱になった。

 CDが売れなくなったと聞いて「ウケる。ざまあー」と思ったが、するとこんどはさらに簡便なインターネットというのがあらわれた。嘆かわしいかぎりである。

 まあいいだろう。うちにもシーディーはたくさんある。

 だけど、きくときは音だけをきくのがよい。歌詞カードは見てはならない。

 文字というのは言葉のかげであり、偽物である。以前、文字が発明された頃、人々の話や、記憶というのがめちゃくちゃに堕落し、軟弱になったことがあった。

 音源、録音、まあいいだろう。しかし歌詞カードは見てはならない。ただでさえ本質からかけ離れているところから、さらに離れるだけだからである。

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