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【読書記録】「わが相対性理論」A. アインシュタイン 金子務訳

込み入った数式を排除し、定性的かつ簡明で(おそらく)本質を捉えた説明を、高校物理の知識の範囲内でアインシュタイン自らが繰り広げるというもの。特殊相対論はランダウ=リフシッツで学んでいる最中であり、力学範囲は通覧したので、式を用いずしてなかなか説明が難しいあの概念をよくぞここまで簡潔にと感心した。一般相対性理論の説明も平易に書かれており、実際にどのような式になるかはまるで予想がつかないものの、なぜ空間を歪ませるのか、またなぜこの理論を「一般」相対性理論というのか、そのモチベーションを強く感じた。世間的には「特殊相対論の方が一般的で、一般相対論は特殊な理論である」という話が流布している。実際に学ばないことにはその意味を捉えることはできないが、少なくともこの本を読む限り、理論の命名には何一つ不自然なところはない。特殊相対論は系が等速度運動していることが前提となっているが、一般相対論では「等速度する系」という特殊な仮定をも取り除いてなお、全ての物理法則が系によらず等価に表せるというスタンスに基づいているとのことだ。ただただ「空間が歪む」とか「時計が遅れる」といった現象論にしか目がいかない人には、この点ぜひ聞かせてやりたいものである。

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