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【ドイツ語学習記録】J.S. バッハ「主よ、人の望みの喜びよ」全訳・構文解析I

【注意】「ノートは間違いの記録」です。この記事は勉強中に書いたもののため、多分に誤りを含んでいる可能性がありますので、あらかじめご了承ください。構文や訳をしっかりご覧になりたい方はこちらから。

今回扱うのはこの部分です。

Wohl mir, daß ich Jesum habe, 
O wie feste halt' ich ihn, 
Daß er mir mein Herze labe, 
Wenn ich krank und traurig bin. 

語彙

まずは語彙の補填から入ります。この歌は短縮形と思わしきものが多々現れるので、辞書引くのがかなりしんどそうな予感。

wohl 
a. (besser, am besten または wohler, am wohlsten) 良い; 健康な; 気持ち良い, 快適な; 幸福な, 満足な
ad. ① (besser, am besten) よく, うまく, 十分に, 大いに ②ピッタリ, よく ③綿密に ④(強意) 全く, 完全に, 確かに ⑤(肯定の返事) Sehr wohl! 承知しました ⑥(疑い・ためらい・不確実・謙遜) おそらく, 多分 ⑦およそ, 約
cj. [(文頭では:)定形倒置] (譲歩) なるほど
間投詞 (人の健康・幸福を願って) 

Wohl n. -(e)s/ ①幸福; 健康, 無事 Zum Wohl! 乾杯 ②福祉; 繁栄

Jesus m. -(またはJesu)/ (人名)イエス (Jesus Christus) [そのままの形で2格・3格・4格に用いられるが、他に2格 Jesu Christi, 3格 Jesu Christo, 4格 Jesum Christum という変化形もある]

fest a. ①固体の, 固形の ②堅い; 丈夫な ③しっかりした, ぐらつかない ④永続的な, 不変の, 不動の; 一定の

halt ad. (南独・方)実際, なんと言っても, とにかく...[だからだらしがない] 

haltbar a. 持ちの良い; 堅固な, 守れる; 根拠のある

halten [engl. hold] (hielt, gehalten) du hältst, er hält 
t. ①持っている; 支える, つかんでいる; 握っている ②(戒律などを)守る; 保つ, 維持する; (集会などを)行う ③(新聞・雑誌などを)購読している; (涙などを)抑える, 制する, 妨げる; (陣地などを)固守する; (鶏などを)飼う; (記録を)保持する ④ある状態にしておく. die Fenster geschlossen halten 窓を閉めておく; A4 für B4 halten A4 を B4 と考える(見なす) ⑥所有物として利用している; 扶養する ⑦[不定の es を主語として] 
i. (h) ①(物の)持ちがいい, (友情などが)持続する ②(乗り物などが)止まる, 停止する ③[成句として]an et3 halten ものに固着する...
sich4 ①維持される; 持ち堪える; (花・食品が)新鮮である, 腐らない; (天気が)持続する ②(ある状態を)保つ ③sich an et4 halten 事を主張する, 守る, 事に頼る

これ全部 halt' の候補として検討しないといけないのか。。。

名詞として Herze を取れそうなものがなかったので、一応 Herz と動詞 herzen を載せて考えておこう。

Herz [engl. heart] n. -ens/-en [単数3格は Herzen, 単数4格は Herz]

herzen t. 愛撫する, 抱きしめる, 可愛がる

laben
t. 元気付ける. jn mit et3 laben 人を物で元気付ける
sich4 an et3 laben 物で元気づく, 物を楽しむ

krank a. (kränker, kränkst) ①病気の; 悩んでいる ②(獣が)手負の, 傷ついた

traurig a. ①悲しい, 悲しげな ②悲しむべき, 哀れな; 悲惨な

さて、訳すか。

1行目

Wohl mir, daß ich Jesum habe, 

一番最初の wohl が何者かをまずは判断しないといけない。一見命令法使ってるんかと思ったけど、wohlen って単語が辞書に見当たらなかったから、こいつは困ったな〜と。

次に考えられるのが接続詞。譲歩で「なるほど」となるけど、直後の mir の扱いと、本動詞がどこ行ったかという問題が残る。

まあ、形容詞でも副詞でもなさそうなので、ちょっと保留しときますか。

daß ich Jesum habe で「私はイエスを持つ」となる。「1723年主の母マリア訪問の日の祝日に合わせてバッハが作曲した」なんてwikiに書いてあるから、意味的にここでの ich は聖母マリアが妥当かな。そうすると「私はイエスを授かった」とかかな。

まあ全世界の人間が「救世主が到来した」と喜ぶのも悪くないが。

2行目

O wie feste halt' ich ihn,  

wie はだいたい英語の as で置き換えられたはず。ich ihn で「私が彼を」となるから、halt' は他動詞であってほしい。なんなら halte の略であってほしい。「私がイエスを持っているように」みたいな?やっぱり wie をここで as と同一視して信じ込むのは危険か。

wie 
ad.
[疑問副詞] ①(方法・性状)いかに, どうして ②(程度・種類) どれだけ, どれほど, どれくらい
(感嘆・驚き) ①なんと ②[副文の形で] どんなに
[単独で] なんだって?
cj. ①(類似・比較・一致) ...のような(に), ...のごとく, ...の通り ②(並立・枚挙) 並びに, ...というような ③[ほとんど daß と同じ] ④(時間) ⑤(譲歩・容認) 例え...であっても ⑥[wenn とともに] ...のときのように; ...かのように ⑦[間接副詞的に方法を表す語と関連して] 
関係代名詞 [先行詞の語を wie 以下に1格、4格の代名詞の形で受けて] 

今回どれだろうな。主節がよくわからん以上はちょっと待っといたほうがいいかな。ああ、どんどん後回しにされていく... 

3行目

Daß er mir mein Herze labe, 

Herze の扱いがまだ決まっていないけど、普通に Herz としてあげれば「彼が私の私の心を楽しませること」とかになりそう。ただ、この宙に浮いてる3格はどうしたものか。いつもの原田大樹京大大学院法学研究科教授のサイトで確認した。

3格が文の必須成分ではないのに使われている場合があります。判断・利益・被害・所有などを表す「自由3格」と呼ばれる用法や,話し手の気持ちを表す心態詞の一種である「関心の3格」がこれに当たります。
名詞の性・数・格 - paco Home - 京都大学

まあ「彼が私の心を楽しませてくれること」とかでいいんじゃないか?

4行目

Wenn ich krank und traurig bin. 

これは「私が悩んで悲しんでいるとき」で一発K.O.だな。そんな時に「彼(イエス)が私の心を楽しませてくれる」って続く気がする。

総括

ここまでで保留しておいた分を回収しないとな。

まず初っ端の Wohl だけど、これは次の文(次回以降)に続くかもしれないので一旦保留。3格の使い道もまだよく分かっていない。雰囲気としては

私は幸福だ。私がイエスを抱いていることで。

みたいになりそうだけど、焦って訳を決める必要もないのでね。一応 daß には原因理由の訳があるので、問題はないかと。

daß cj. ⑥(原因・理由) ...なので; ...のところを見ると; ...だなんて

「〜だなんて」って訳があるのか。こっちの方が良さげだな。

私は幸福だ。イエスを抱えているだなんて。

次の文は wie の訳で悩んでたのか。普通に1行目の反復と捉えて「私が彼を抱き抱えているなんて」とかでもいい気はするんだけどな。

ってなると、3行目の Daß も同じように「〜だなんて」って訳すのがいいかな。

ここまででなんとなく「こんな訳じゃね?」ってのを上げてみよう。

Wohl mir, daß ich Jesum habe, 
O wie feste halt' ich ihn, 
Daß er mir mein Herze labe, 
Wenn ich krank und traurig bin. 

私は幸福だ。イエスを抱いているなんて。
おお、彼を抱えているなんて。
私が辛く悲しい時でも
彼が私の心を楽しませてくれるなんて。

体裁は良さげ。あとは冒頭の Wohl mir がキモいから、そこどうにかしないとだけど、あとでやればいいかな。

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