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家族の人生を会議している

母は10年前、いや恐らく私がそれと気づくずっと前から、「人生会議」を開いている気がする。
しかし、その内容は永らくアップデートされていなかったようにも感じる。

祖母の認知症が大分はっきりしてきたころ、私は確か17-8歳だったと思うのだけど、そのころには母は、「私がボケたら姥捨山に置いてってくれ」と割と真顔で言っていた。
ひとが死に向かうにあたって、どんな選択肢があるかなんて全く知らなかった高校生の私にも、「ボケた親を山に捨ててはいけない」という良識はあったし、当然、祖母も山に捨てられることはなかったので、母の発言は介護負担の狭間でこぼされるブラックジョークとして聞き流していた。
しかし私が医師5年目を迎えんとする今になっても時々言うので、恐らく本当に、認知機能が落ちたら「もういい」と思っているのだろう。

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