仮説思考

今回は内田和成さんの『仮説思考』の感想文を書いていこうと思います。内田さんはボストンコンサルティンググループ(BCG)日本代表を務めていたコンサルタント。

『仮説思考』はスピーディに課題に迫るために重要なスキルです。簡単に言えば、「データ収集・分析の前に、課題の本質を仮定しておこうよ」という考え方ですね。会社やお客様を見ていて、「仕事ができる人」と言われている人たちは無意識にやっていることなのかなぁと感じます。

本書では、その『仮説思考』の有効性・手法・鍛え方等々のエッセンスが詰まっています。仮説も立てずに行き当たりばったりに働きまくるタイプ(私?)だけでなく、分析力に自信がある方も必読です。

私は会社内で仮説を立てる達人みたいな人に最近会って、感化されたがきっかけで購入したのですが、読む前に考えていた仮説思考とは根本的に違ったので、すごく勉強になりました。

「仮説思考ってこういうことか〜」

読む前に考えていた仮説思考は↓こんな感じでした。

多くのデータ(定量情報・定性情報問わず)を集めて分析し、それを土台に考えられる可能性を列挙していき、それをぶつけ(提案、ヒアリング、プレゼンなどなど)て検証していき改善していくこと。

つまり、『データ収集&分析→仮説→検証&改善』という流れを徹底的に行うことが仮説思考だと考えていました。なんならそういう仕事の仕方に憧れていました。データいっぱい持ってがっちりした提案書作ってるとカッコよさげですよね!でも、本書で提言している仮説思考はそうではなく、『仮説→データ収集&分析→検証&改善』という風に『仮説』がスタート地点になっています。

読みながらすごく当たり前のことに共感したのですが、「納期のない仕事」は無いんですよね。。。そりゃ、全部網羅的に調べ上げて、一つ一つの事象を分析した方が、精度の高い提案はできる筈。ですが、そんな時間は現実的にはないですよね。だからこそ、スタート地点で仮説を立てて、それを裏付ける分析・検証を行なっていくことが実は最短ルートである、というのが筆者の主張です。

筆者は、

仮説が間違っていたとしても、分析を進めていけばすぐにわかるから、その時に仮説を修正すれば良い。結果として、網羅分析型よりも課題の本質に早く近づく
仮説思考を繰り返していくと仮説の筋が良くなるので、修正することが少なくなってくる

という風に言っています。私はそれに加え、さらに以下のようにも感じています。

「ビジネスにおいてただ一つの正解は無い」→「正解になりうる仮説も一つじゃない」→「提案する相手方が納得するストーリーを描く力が仮説思考」

例えば、ある美容室経営者が売上の低迷に悩んでいるとします。売上を分解すると「客数×客単価」となりますね。そこで「①客数を増やすべき」「②客単価をあげるべき」という2つの仮説を立てるとします。ここで、どちらかの仮説を深掘りして提案にまで昇華したとき、成功の可否は事実よりもストーリーにあると私は思います。仮説としての完成度は、分析により肉付けすることよりも、その経営者がその仮説が導くストーリーに共感するかどうかではないかと。

この例えでいくと、真に本質的な課題が①だとしても、経営者として共感するストーリーが②だとすれば②の提案の方が有効性が高いんじゃないかと思います。

明日から仮説思考を取り入れてみる

私は仮説思考の真逆タイプでした。仮説で見通しを立ててから実行することなんて皆無で、「これやりたい!→やる→なんかおもてたんと違う」みたいなこと多数。このnoteも然り。仕事でも取り入れていきますが、人生一般でも重要な思考法だと思いました。読んでよかったです。

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