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2023振り返り

前回にも書いていたが、年の暮れは悩みが多く、振り返っている暇がなかったのだが、次の展示の準備のために2023年の展示歴を書き出してみると、意外と沢山の展示をしていたことが分かった。初めての展示も、よく考えたら2023だった。作品を発表しはじめてたったの1年。ひよっこもひよっこである。13枚発表して、幸運にも2枚はお買い上げいただいた。ひよっこにしては、意外と頑張っていたのではないか。ちょっと元気になってきた。2024はさっそく公募展に挑戦する予定である。展示は多くなくとも、作品はもっと沢山作っていきたい。道具だけ買って放置している木版画にも手を出したい。相変わらず自分の進んでいる道はよく分からないのだが、うわべの技術ではなく、自分の心のままに、描きたい絵を描くというのは、少しずつやれるようになってきた。地に足のついた制作というのが、今の私のテーマである。何事も一歩ずつだ。一日一日を頑張っていきたい。2024は30枚くらい描けたらいいと思っている。

私が作品を作っていくときに、いつも心にとどめている言葉がある。
「絵を描くことが、歯磨きするのと同じくらい、当たり前にならなきゃいけないよ」という、地元の恩師の言葉だ。恩師は高校の非常勤講師、画塾経営をしながら絵を描いている。今自分が、歯磨きと同じくらい当たり前に絵を描いているかといったら、そうではない。そうとはいえない。展示のために焦って描いたり、課題で描いたりしている。描かされていると思ってしまうのは、浪人の悪弊だろうか。浪人時代は、大量の時間を絵に費やしていたが、それは受験のために描かされている絵だった。
歯磨きと同じくらい当たり前に絵を描く。そうなりたいと思う。そのためには、描きたいものを素直に描くということを続けていくしかないと思う。

展示もたくさん見に行った。ギャラリーの展示はあまり行けなかったのだが、美術館の企画はそこそこ行った気がする。一番思い出深いのは、やはり名古屋市美術館の福田美蘭展だ。ひとり夜行バスに飛び乗って、日帰りの弾丸旅行。内容もとても素晴らしく、かなり刺激を受けた。(レポをnoteにまとめているのでぜひ。)日帰り弾丸ひとり美術展ツアーといえば、箱根のポーラ美術館でのシン・ジャパニーズ・ペインティング展も自分の中では大きな経験となった。「日本画」をかなり包括的にとらえた展示で、何か新機軸を打ち出すというよりかは、量的なボリュームで人を集めるといった意図も強く感じられたのだが、北澤憲昭氏らによる制度史的な日本画観が浸透していること、「日本画」を現代美術に合流させようとする力を感じた。タイトルにもあるように、「シン」と銘打って、「これが現代の日本画の姿である」と言い切っていいのか?この展示からこぼれている公募系の現代作家の作品たち、それらは歴史化されない(資料化されない)のか?などと、さまざまなことを考えた。

2023は旅行の多い年でもあった。3月の天草旅行、5月は写生旅行、10月には屋久島旅行、12月には箱根旅行。旅行には興味が無かったはずが、旅行好きの友人たちが誘ってくれたおかげで、たくさん知らない土地を見ることができた。特に天草では海の、屋久島では山の美しい自然に触れて、とても心が癒された。自分はやっぱり都会より田舎に惹かれるところがあるのだと再認識した。たくさん旅行ができたのは、バイトが続いているおかげでもある。今のバイト先には3月からお世話になっているが、仕事がなかなか覚えられずにつらかった。しかし半年経ったくらいからほとんどミスをしなくなった。店長に「気づいたらミスしなくなったね」と言われたときはかなり嬉しかった。頑張ってよかったなあと思った。自分で働いたお金で遊ぶのは楽しいものだ。1年続けるという目標を達成できるように頑張りたい。

私生活では大きな変化があった。人生初の恋人ができた。それが2023の最も大きなトピックであろう。3月末にお付き合いを初めて、10か月くらいが経った。2日に1回は寝る前に長電話をし、朝起きたら「おはよう」と毎日スタンプを送り合う。1か月に1度はどちらかの家に泊まる。クリスマスや誕生日は一緒に過ごす。そんな絵に描いたような恋人同士の習慣が、生活に入り込んできた。映画好きの彼女の影響で、映画館にもよく行くようになった。何よりも、一日の中で彼女のことを考えている時間が圧倒的に増えたことが大きい。それまで芸術のことや社会のことを考えていた時間が、彼女のことを考える時間に圧迫されるようになったわけだ。もちろんハッピーなことばかり考えているわけではないので、単純に脳の負担が増えた。すると、自分の限界が見えてくる。キャパシティの大きさには自信があったのだが、それは恋愛という多くの人にとっての人生の大テーマに、エネルギーを使っていなかったからだということが分かった。恋愛に割くエネルギーは大きい。それを身をもって知った。

とはいえ、もちろんマイナスばかりではない。「無人島で仲間を見捨てそう」と言われるくらい薄情な私だが、相手を慮るということを学んだ。もともと友達は大事にするほうだし、薄情ではないと思うのだが、マッチョな考え方をするのは事実。弱さを無視して、自分から遠ざけてきた。なのに、彼女のような繊細な人を選んだ。好きになってしまったものはしょうがない。彼女と向き合う中で、自分の弱さとも向き合うことになった。その中で、私のコミュニケーションの方法はかなり変わったと思う。一人反省会もするようになった。自分が相手に何か影響を与える可能性を考えるようになった。やさしい人間とは、他人のことを想像できる人だと思う。彼女との出会いによって、私は少し成長できたのかもしれない。

こう振り返ると、公私ともにかなり充実していたんじゃなかろうか。2023年の制作、展示、旅行、私生活について書いてきたが、サークルでも後輩ができたり、他学とのつながりができたりと、沢山の出会いがあった。2024年はそろそろ将来のことを考えなくてはならない時期になってきて、2023ほどは楽しめないかもしれないが、将来のために何か頑張るのも、また別の楽しさがあるはずだ。自分の中の不安とうまく付き合いながら、2024も健康にやっていきたい。

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