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スマホ無し状態で街に放り出された。

どうも。定時退社マンです。

少し前からiphoneの充電持ちが悪くなったので、買い替えようと思い、appleのサイトを徘徊していると、公式にバッテリー交換を行っていると書いてあった。

駅ビルなどで、非公式(?)にバッテリーを交換している露店はよく見かけていたが、非公式に修理をしてしまった場合、その後から公式からの補償などを受けられなくなりそうで、気が引けていたので、公式にバッテリー交換してもらえるの有難い限りだ。

今使っているiphoneも購入してから2年くらいだし、年々巨大化しつつ新型iphoneにもいまいち心は動かないし、何よりバッテリー交換の方が格段に安く現状の問題を解決できるので、即決で近場のアップルストアに予約を入れて、修理してもらいに行った。

予約当日。アップルストアの入り口で修理の予約している旨を伝えて、案内を受けるまで少しの時間、小洒落た椅子に座って待つ。

話が逸れる上に、これはシンプルな悪口だが、アップルストア特有のだいぶ得意げな雰囲気が毎回鼻につくのは僕だけだろうか。

客に寄り添いすぎてるのか、上から見てるのか微妙な雰囲気がちょっと苦手だ。

「海外ならこんなの普通だよ」と言われそうだが、それに対し、「ここは日本だぞ!!!」と反論するであろう自分が容易に想像できてしまうことに嫌気がする。

わたくしは、頑固親父の予備軍である。

話を戻す。なんやかんや色々と説明を受け、修理の手続きを終えると、最後に修理終了時刻が4時間後だということを告げられた。

てっきり1時間くらいで終わると思っていたので、少し面食らったが、修理時間が長いからと言って、家に引き返すのもアホらしいので、修理終了時刻について了承し、店を出た。

さあ、ここからスマホがない状態で4時間過ごさないといけない。

まず、スマホがないだけで危機的状況に感じている時点で、だいぶスマホに依存していることに気づいた。

スマホがないと何もできないんじゃないかという感覚すらあった。

とはいえ、空き時間4時間はだいぶ長い。

最初に思いついた暇つぶしプランは、一回家に帰って寝るというプラン。

だが、スマホに定期券をインストールしてしまっているので、切符を買わないといけないことに気づく。

スマホがあれば定期圏内なので、交通費が無駄になるし、時間もなんだか無駄にしてしまう感覚があったので、このプランはひとまず却下した。

どうせなら空き時間を有意義に使おうと、繁華街をフラフラと歩いていると、カラオケボックスを見つけた。

久しぶりにカラオケもいいなと思い、受付に入って、1人だが入れるかと聞くと、「今は人数に見合った部屋しかご案内していない。次の案内は数時間後になる」と店員さんから返答があった。

「人数に見合った部屋」というワードがちょっと鼻についたが、案内が数時間じゃ仕方ないので、店をでた。

短い間に数回イラっとしていることに、今この記事を書いていて気付いた。
たぶんこれは僕が悪い、アップルストアとカラオケボックスに謝罪。

次のプランを考える。

喉が渇いたので、バックにあるペットボトルを取り出そうとした時、バックの中に小説があることに気づいた。

一休みがてら、どこかのカフェに入って小説を読み進めることに決めた。

繫華街の中にある、人が少なそうなカフェに向かったのだが、店に到着すると長蛇の列だった。神様はいないの?と思った。

その後、繁華街内のカフェを数店回ったが、どこも混んでいた。

仕方ないので、駅からだいぶ離れたカフェに向かった。

そのカフェもほぼ満席だったが、7、8人が座れる大きな丸テーブルの一席だけ空いていたので、その席を確保した。

コーヒー頼んで、やっと小説が読める状態になった。まだ修理終了時間までかなりあったが、謎の達成感に包まれていた。

とはいえ、店は満席に近かったので、だいぶ周りの音が気になる状態ではあった。

いつもならairpodsのノイズキャンセリング機能で外界の音はシャットダウンできるのだが、今はそもそもスマホがないので、それはできない。

まあ集中モードに入れば、どうにかなるかと思い、小説読み始めた。

しかし、丸テーブルのため、隣の席との距離がかなり近く、どうしても会話が耳に入ってしまう。

この時、隣に座っていたのは、僕と同じ20代後半くらいの女性2人組(女性AとBとする)だった。

会話を盗み聞きしてはダメだという偽善心で決死に対抗し、小説に集中して読もうとしたのだが、運悪く(?)、この二人組の話が面白すぎて、全く集中できなかった。

Aは彼氏と別れようと思っているが、一人になるのが寂しいし、中々出会いがないから決めきれないらしい。

そんなことをBとあーだこうだ話してるうちに、Aは別れた方がいいという流れになっていた。

その後、Bが出会いがないというなら、一人だけ良い男性をAに紹介できるかもしれないと言い出した。

しかしその男性は、Bの学生時代のペットだったというのだ。

この辺から小説に集中できないどころか、このままではいつか吹き出してしまうと想いでいっぱいで、コーヒーも全く飲めず、カフェの他の席がないか空いてないかを探すのに必死だった。

不運にもこの日持っていた小説は、大正時代に書かれた物語だった。

言い回しが古く、集中して読んだとしても、場面を想像するのが困難な作品だったので、この時間に読み進めた内容は正直全く覚えていない。

人の会話をあんまり書きすぎるとキモいので、この辺で会話内容を書くのはやめるが、結果的にAはBにペットくんとの食事会を開いてもらうようお願いしていた。

マジでどういう流れやねん、、、と思う気持ちになり、限界を突破しかけた頃、カフェの奥の席が空いたのが見えたので、速攻でそちらに移った。

他人の会話に注意を向ける経験はほとんどなかったので、素性もよくわからない人の会話に面白さを感じたことに衝撃を受けたが、よく考えると自分は他人の会話を聞くのは結構好きなのかもしれない。(変態ではないと信じたい)

芸人さんのラジオは週2つ聞いているし、映画でいうと、ジャームッシュ作品や今泉作品といったなんでもない会話劇(台本あるけど)が題材となっている作品には、好みの作品が多い。

そこからAとBの会話がどうなったかは分からないが、Aにはどうか幸せになってほしいし、願わくば2人でラジオをやってくれとも思う。
あと、ペットくんにも是非ともインタビューをしてみたい。

他人の会話が気にならない席に移り、全く内容の入ってなかった小説のページを数ページ戻し、改めて読み始めようとした頃、悲しくも、もうコーヒーは冷めていた。

そこからしばらく小説を読み進め、一つの短編を読み終えた。

前述のとおり、古き時代の難解な表現がいくつか分からなかった部分はあったが、令和まで読み続けられてるだけあって、美しさすら感じる表現力に感銘を受けた。

その小説の表現風に言うなら、「頭の中一面、切なさに満たされ、気づけば先ほどまでの邪念はその中に溶けた」…はず。

結構な時間が経ったような感覚があったので、今が何時何分なのか調べようとしたのだが、スマはないし、時計を身に着けていないので、今が何時なのかが分からない。

スマホがない状態を経験したことで気づいたのだが、意外と街には時計がない。

僕がいたカフェでも見渡した限りでは、時計が見当たらず、結局その場では時間を確認できなかった。

店員さんに「携帯がないので今何時か教えてください」と聞こうと思ったが、ちょっと気味悪がられそうで、びびって聞けなかった。

店をでると、陽が落ち始めていたので、原始人みたいだが、まあまあ時間が経ったことは分かった。

ケータイを持っていなかったような小さい頃、時間の確認に不自由を感じた記憶はないが、一体どうしていたんだろうか。

どこで遊んでいても、門限の時間までには帰っていたはずなので、どうにかして時間は把握していたのだろう。

技術の進歩と身体の成長とは、反対に人間力は徐々に低下している気がしてならない。

駅前にもどり、改札前にある、やたら巨大な時計を見上げると、何をして時間を潰そうかと迷っていた時間を含め、2時間強が経っていた。

思っていた以上に時間が過ぎていた。

次は腹が空いたので、飲食店に入って定食を食べることにした。

配膳されるまでの間ってスマホがないと、こんなに暇なのかと思った。意味もなくメニュー表の端から端まで眺めていた。

飯を食べ終え、支払いに向かう。

いつもはスマホ決済をしているが、スマホがないので久しぶりに現金払いをした。基本的にレシートは不要と伝えるが、なんとなく今回はレシートはもらっておいた。
だが、支払い後、店を出るまでの数秒の間で、やっぱりレシートはいらないなと思った。

腹ごしらえもして、次は駅付近の家電量販店に立ち寄った。

今使っているコードレス掃除機の使い勝手が悪く感じてきていたので、掃除機コーナーでうろちょろしていると、店員さんに声をかけれられた。

即決をするつもりはなかったが、購入を検討していないわけでもなかったので、説明をお願いする事にした。

しばらく説明を聞き、最新の掃除機はこんなこともできるのかとか思ったり、さすがに天井を掃除する機能はいらんだろとか思っていたのだが、途中で接客してくれている店員さんが、パナソニックの製品しか紹介していないことに気づいた。

胸元をよくみると、パナソニックの文字が書かれた社員をぶら下げていた。

意図的にパナソニックの製品しか説明していないのかよくわからなかったが、他社の製品も紹介してほしかったので、誘導を何回か仕掛けたが、結局パナソニック製の掃除機の説明に戻ってしまう。気づけばパナソニックループに完全にハマっていた。

悔しいことに店を出るころ、パナソニック製の掃除機のパンフレットを手にしていた。

店員さん、今度はスマホを持って買いに行くので、待っていてください。

これが例のブツ


そんなこんなで色々ぶらついていたら、あっという間に4時間が経過しようとしていた。

スマホを受け取りに再びアップルストアに向かう。

店員さんのapple IDって分かりますか?に再びイラっとしたが、前述のとおり、これはイラっとする僕が悪い。

ただ、最近引っ越してきた自分の部屋の住所も毎回スマホのメモをみて、書類に記載している僕が、apple IDなんてパッとでてくるわけがないことは理解してほしい。

修理代の支払いなどを諸々済ませ、4時間ぶりにスマホを手に入れた。

これでやっと定期券を使って、無料(定期代は会社持ち)で家に帰ることができる。

最初は、スマホ無し4時間生活に動揺したが、振り返ってみると、試練はありはしたものの、普段過ごす4時間より充実した時間だったのように感じる。

スマホがあることで効率的に生きることができるのは素晴らしいことだなと改めて思ったが、同時にスマホがあることでスルーしてしまうことに注意を向ける大切さ、面白さにも気づいた。

改札にスマホをかざし、駅構内に入り、電車に乗り、帰路につく。

いつもならイヤホンをつけるが、この日の帰路はイヤホンをつけなかった。

これは意図的ではなく、自然とつけなかった。

さすがに疲れたなと思いながら、電車に揺られていると、あっという間に最寄り駅についた。

最寄り駅から自宅までの数分の道を歩いている途中に、小学生くらいの女の子を連れた家族とすれ違った。

すれ違って数歩歩いたところで、女の子が親に向かって、「今日は月がまんまるで綺麗だね」と言った。

その言葉で後ろを振り返り、空を見上げた。
たしかに月はまんまるで綺麗だった。

僕の進行方向とは真逆の方向に月があり、月が綺麗なんてことは全く気付かなかった。

この家族とすれ違う瞬間、イヤホンをして音楽に集中していたら、この日の月が綺麗だったということに気づかず、一日を終えていたかもしれない。

この日は、たまにはスマホを置いて外に出てみるのもいいかなと思い、一日を終えた。


以上です。ありがとうございました。


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