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ヒット商品誕生のヒントは「生物」にあった!!イネの撥水性に発想を得て開発された撥水素材「ミノテック®」とは

傘を持っていない時に限って、急な雨に遭遇して困ることってありますよね。
今回は、雨の水滴をはじいて滑らせる「撥水機能」、衣類の内部の蒸れを外へ放出する「透湿機能」を兼ね備えた撥水素材「ミノテック®」の開発背景や機能をご紹介します。

生物の優れた機能

ところで、みなさん、バイオミメティクスという言葉をご存知ですか?
古来より生物は様々な優れた機能を発達させてきましたが、この生物の機能を模倣して、より便利で高機能な製品開発に応用するという考え方です。

例えば“ひっつき虫”。オナモミなどの植物の実で、野原を歩き回ると服にくっついたりするアレです。この“ひっつき虫”のトゲトゲの先端がフック状になっていることをヒントにして「面ファスナー」は発明されました。

「ミノテック®」の撥水性と構造メカニズム

こうした生物の優れた機能の中で、植物の持つ高い撥水性に注目しました。撥水性は多くの植物に備わっている性質ですが、更に高い撥水性を獲得することで、特殊な環境下でも生育が可能になった植物があります。イネもその1つ。葉表面の微細な凸状構造とワックスにより極めて高い撥水性を示します。
さらに、細かな溝状構造は表面に着いた雨水を葉の軸方向に速やかに流し落とします。この性質は植物が枯れても保たれることから、イネは古来の雨具「みの」に使われ、人々の暮らしを支えてきました。

このような、昔の人の優れた観察力とアイデアによって生み出された「みの」の機能を、現代の技術力で再現したのが「ミノテック®」です。

イネの葉の葉脈とイネの葉表面の微細部

「ミノテック®」の生地表面は、マイクロガーター構造(経方向に水滴を流す構造、緯方向は、水滴が転がるように生地の表面張力を低減するための凸構造)となっていて、イネの葉の水をはじく特性にならい、緩い傾斜でも水滴を転がり落とします。

ミノテック ® の撥水メカニズム

「ミノテック®」動画(YouTube)紹介

このように開発背景や機能をご紹介しましたが、文章でいまいちつかみきれなかった方はぜひ、水滴が転がる「ミノテック®」の紹介動画を是非ご覧ください。

「ミノテック®」は生地の構造と撥水剤によって、撥水性能を発揮します。汗などによって衣服の内部にたまった蒸れを外に素早く放出して、衣服内を快適に保ちます。
また、これまで撥水機能を持つ生地は、糸を高密度に配置する必要があった為、硬く、厚手の生地になりやすかったのですが、「ミノテック®」は薄くて軽量、さらに柔らかい風合いも実現しました。

こうした特性を持つことで、カジュアルなファッション、ビジネスなどの様々なシーンでアウターやボトムなどに活用することができ、さらに傘やバッグなどのグッズ用にも適しています。

イネをヒントに商品化されたというストーリー性に加えて、水滴がコロコロと転がり落ちる様子が分かる視覚効果も手伝って、お客様からは「こんな素材が欲しかった」という声をたくさんいただき、本当に嬉しく思います!

あのブランドにも、あのショップにも「ミノテック®」を採用いただいているので、店頭やネットショッピングで、みなさんの目に触れる機会もあるかもしれません。その時は、古来の雨具「みの」が、先端技術によって現代によみがえった素材だということを思い出していただけると嬉しいです。

#企業のnote #繊維 #帝人フロンティア #ミノテック


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