見出し画像

志布志市・潤ケ野校区コミュニティ協議会、加藤さんとめぐる地域の空き家探検 | 地域連携アドバイザー派遣②

 2022年12月、潤ケ野校区コミュニティ協議会(鹿児島県志布志市)と、地域連携アドバイザー・加藤潤さん(NPO法人頴娃おこそ会副理事長)による、第二回目の意見交換が行われました。

▼ 第一回目の記事はこちら 
https://note.com/tegakidesign/n/n888b11b962ad

◆はじめに

 まずは、潤ケ野校区コミュニティ協議会・川崎さんより、前回のふりかえりと加藤さんの紹介から。その後、さっそく校区内の空き家を見て回ります。

空き家診断に必要な大工道具を抱える加藤さん

加藤 潤氏 | NPO法人頴娃おこそ会副理事長。「地域総力戦のまちおこし」を合言葉に、番所鼻自然公園をはじめとする地域資源の磨き上げ、地域を周遊するマップの制作、移住受入、空き家再生、創業支援等、地域に根差した観光まちづくりに取り組む。頴娃町における10軒以上の空き家再生を経て、現在、各地の物件を手がける「コミュニティ大工」として活躍。ワークショップ的な開かれた建築現場を運営し、ハードとソフトの両面から空き家再生にアプローチする。株式会社まるのこラボ 代表取締役。

◆空き家探検① 福島渡地区

 まずは、潤ケ野校区・福島渡地区にある空き家へ。

まずは、屋根の状態確認から。雨漏り箇所がビニールシートで覆われています。
さっそく中へ
一見保存状態のいい古民家ですが、天井に雨漏りの後が。
天井裏へ上がると、シロアリ被害の大きさを物語る「蟻道」が。
シロアリが上まで来ているとなると、床下はどうなっているのか、覗いていきます。
ここまでのシロアリ被害となると、本格的に床をはいで調べてみる必要がある、と加藤さん

◆空き家探検② 柳井谷地区

 次に、潤ケ野校区・柳井谷地区にある空き家へ。

やはりまずは屋根の状態確認から。
その後、床下の状態確認。
床下の風通しがよく、湿気が溜まらない物件は、比較的シロアリ被害が少ない。
家屋の中へ
家が傾き、建具の建付けが悪くなっている
2階へ。壁の作りで建築した時代がわかる。
屋根裏を覗く。一軒目のような屋根裏へのシロアリ被害はない
老朽化し、はがれてしまった天井の張り替えは可能
床下の板が傷んでいる場合は、張り替えるとしっかりする
水平器を使って、家の傾きを見る

◆ふりかえりと質疑応答

 空き家探検の後は会場へ戻り、加藤さんの講評と質疑応答へ移ります。

 「空き家診断においては、①屋根および屋根裏・天井状態確認、②シロアリ被害、駆除の程度確認、③構造の強度確認の順に行います。

 まずは一軒目の天井裏のシロアリ被害について。完璧な補修を目指すと、大変な労力と金額になりますが、構造の強度によっては、この先10年は保てるであろう程度に補強を行うという選択肢もあります。

 次に、床の沈みについて。床が沈んでいることだけで家が駄目だと判断するのではなく、床下の木材のどこが駄目になっているのか、原因を特定することが重要です。床板を変えるだけで修繕できるケースも多い。

 屋根においても、瓦のズレを直せば雨漏りがおさまることもあります。一度、屋根に上がってみて、原因を探ることが重要です」と加藤さん。

 続けて、「空き家活用においては、地域においてゆるやかな使い方ができるのであれば、修繕も含め、挑戦する思いで進めていくと、案外、乗り越えられるものです」と加藤さん。

 最後に、「住民の力で空き家活用を手がけるというイメージがピンとこない方々へ向けて」と、姶良市蒲生で空き家を改修し、コミュニティスペースを運営する『結庵』(むすびあん)について紹介していただきました。

姶良市蒲生「結庵」空き家改修ビフォー写真

結庵(むすびあん)in 姶良市蒲生
 元病院勤務の看護士で、現在コミュニティナースとして活動する施主さんが、日常のコミュニケーションを大事にしたいと、空き家を改修して生まれたコミュニティスペース。
 改修は、看護師仲間をはじめ、そこに応援に集まった人々みんなで進めた。作業内容としては、床下補強、老朽化した畳のフローリング化、キッチン、トイレ整備など。大工仕事は、素人の参加者が、電動工具の使い方を学び、木材をカットし、床板を張っていくなどした。すると、大工職人が2、3人で2、3日かけて行う作業を、素人みんなで力を合わせ、1日で仕上げてしまうことも。作業全般、電動工具を丁寧に扱えば、子どもから70代の大人まで、男女問わず、幅広い層が作業に参加することができる。床、壁、天井、どの作業も可。電動工具のみならず、カッターなど使う作業も多い。改修作業を重ねた参加メンバーは大工仕事の腕が上達し、その後に続く改修作業の戦力に。また、作業はもちろん、皆でお昼ごはんを食べる交流の時間も大切にしており、交流を楽しみに足を運ぶ人も多くいたという。

 「建築は、プロにお金を出してしまえばそれで完了しますが、自分たちでするというのも楽しいものです。また、作業はもちろん、みんなでお昼を食べるなど、交流の時間を楽しみに来る人も多いです。足を運んでくれた人を、労働力としてこき使うともう来なくなっちゃいます。その反対に作業が無さすぎても面白くない。その中間くらいの、作業も一生懸命するけど、プロの世界のように殺伐としていない、そんな空気感を大事にしています」と加藤さん。

 結庵をはじめ、加藤さんが大切にする現場の雰囲気について教えていただきました。

 最後に、川崎さんより、次回アドバイザー派遣最終回について。次回、第3回目のアドバイザー派遣は、いよいよ参加者みんなで簡単な改修作業に入っていきます。

 そして意見交換の後も、空き家活用談議が続く、熱い空気感。回数を重ね、意見交換もより深まっていきます。最終回へと続きます!

本事業は【令和4年度 鹿児島県共生・協働センター「地域資源活用・協働促進事業」の地域連携アドバイザー派遣支援】を活用したものでした!詳細は、共生・協働センターのHPをご覧ください。
☞https://www.pref.kagoshima.jp/ab12/shigen/index.html

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?