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【エッセイ】祖父との思い出

そういえば昨日は彼岸だったこともあり、一家総出で墓参りしているのをいっぱい見かけた。天気も良かったためか、駐車場も満車だった。私としてもここ最近やってなかった墓掃除をすることができた。そして並んでいる車を見て、我が車が汚い事に気づく。元来綺麗好きの家系では無いため、気付いても気付かぬふりをして「誰か掃除しないかな。」と考えてしまう。多分家族全員この思考なので、誰も車掃除をしないだろう。結局私がやることになりそうだ。
桜も咲き始めてきた。来週にはちらほら薄桃色の景色が見れる頃だろう。写真でも撮りに出かけようか。写真得意じゃ無いけど。

私の祖父と祖母が今もあの墓で眠っている訳だが、殊更特別な思い出がある訳じゃない気もする。勿論子供の頃は可愛がってもらったけれど、囲碁と将棋をして遊んでもらったりお菓子を貰ったりしていた。ただ、私の祖父は変わり者で霊感があった。私は金縛りに合う以外に霊感は全く無いので眉唾物なんだが、時々「幽霊が出た!」と騒いでいたことがある。

ある時、昼寝をしていた祖父が急に起き上がり、「首だ!」と言ってきた。何事かと聞くと、祖父が昼寝から起きたら目の前に誰かわからない首が目の前に浮いており、段々と天井に吸い込まれていったと言う。私も祖母も寝ぼけて何を言っているんだみたいな対応を取っていたが、その一週間後に祖父の弟が急逝した。祖父は「アイツが連れていったんだ!」と語気を強めて言っていた。でも恐らく偶然だろう。

また、祖父の死後に両親が祖母を老人ホームに入れる事を検討していた話をしていた際に急にタンスの扉がガタガタッと大きな音を立てて外れて落ちてきた。原因は金具の接触不良だったが、母はあまりのタイミングの良さに「きっとおじいちゃんが怒ったんだ。」と怯えていた。私は単なる偶然だと思うけれど。そのため祖父が死んでからも、「おじいちゃんが近くで見てるかもしれない。」という考えが頭のどこかで常にあり、私も下手な真似はしないようになっていった。

祖父の思い出話で外に話せる内容はこんな事しか話せない。それでもお彼岸だから、偶には思い出してあげないと。祖父が何処かで見てるかもしれない。

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