【エッセイ】蜘蛛の巣
ここ最近暑いんだか寒いんだかわからない天気が続いている。暑くなるか寒くなるかハッキリしてよ、ホント。夏服しまおうか、長袖の服出そうか。よく分からないから両方出しとくか。でもそうすると箪笥がパンパンになる。うーん、難しい。
こんな季節の空はどんな色をしているんだろうか。ちょっと見上げてやろうじゃないか。私は上を向いた。綺麗な青空である。夏の様な爽やかな青色ではない、薄く青い空の所々に切れた白い雲が並んで浮かんでいる所に秋空を感じさせる。気持ち良いじゃないかこのやろう。時々太陽光に反射してキラリと細い雲が光る。眩しい。
ん…?私は異変に気づいた。雲って反射しないよな…。私は雲だと思っていたソレを凝視した。ソレは空中に漂っているように見えた。何だ、ゴミか。でもあんなに高い所に浮くゴミって何だ。高さは私の家の二階程度の所にある。雲でもない。ゴミでもない。糸だ。
雲やゴミと見間違えたその糸は私の家と隣家の二階を結び、巨大な巣を形成していた。その巣の巨大さたるや、雀くらいなら頑張って捕まえることが出来そうだ。しかし何でそんな高い所に巣を作る!?一体どんな大物を捕まえようとしているのか。鳥だろうか。逆に鳥に狙われわるんじゃないだろうか。小虫ならもっと低い場所に巣を作って引っ掛けた方が勝率は高いだろう。全く、虫の考えることはわからないな。いや、待てよ…。私のせいか…?
子供の頃から現在まで、私は隣家へ訪ねる際に正門から入らず裏道ルートを使って訪ねていた。何でそんなことをしてたかというと、隣家に住んでいたのは私の祖母だったからである。祖母へ訪ねに行くのに、改まって正門から行く必要は無い。その裏道を通る際、いつも蜘蛛の巣が張ってあったので子供の頃は顔中に蜘蛛の巣が絡みまくりながら行ったものだ。その内、その裏道は私だけでなく家族も使うようになった。ちゃんと裏道を整備し、大人でも通れるようにした。そして祖母がいなくなった現在も私達は隣家へ行く時にこの裏道を使っている。
もしかしてあの時の蜘蛛の子孫が裏道に巣を張るのを辞め、上へ上へと逃げたんじゃないだろうか。そう思いよく観察してみると、巣は丁度裏道の真上に張られている。私は確信した。何という渋とさだろう。生きる為、快適な場所を目指す為にここまで努力する蜘蛛の強さに私は心を打たれた。
私は自分の居心地の良い環境に行く努力をしてるだろうか。自分の欲求を満たす為の行動はしてるだろうか。恐らくまだまだ足りないだろう。私も人の手が届かない高さで家と家を結べる蜘蛛になりたい。
(追記)
せっかくエッセイとして書いたので蜘蛛の巣の写真撮ろうと思ったけど、風か何かで吹き飛ばされた模様です。
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