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【エッセイ】眠れない

昨日の夜、特に真夏でも無いにも関わらず私はシャツとパンツでベッドの中にいた。目は閉じているが全く眠れない。時計の針は1時を過ぎたようだ。ベッドに入ったのは0時ちょい過ぎだったのに。暑い。落ち着かない。目は閉じつつも体はずっとモゾモゾと、まるで間違えて地上に出てきてしまったモグラのようにベッドの中で右往左往していた。ヤバいな。最近働き過ぎたか。どうやら交感神経が活性化してしまったらしい。こうなると眠るのは非常に困難になる。私は眠くなると眉間の周りがジ〜ンとしてくるが、それがあっても眠ることが出来ない。しょうがないから上体だけ起こしてヨガを始めた。YouTubeで覚えたルーティンをしていくうちに体の強張りがちょっとずつ解れていく。最近やってなかったこともありちょっとキツイところもあったけど、これが結構体に良い疲れを促してくれる。一通りやったところでもう一度ベッドに潜った。

まだ眠れない。子供の頃、夜中に喉が乾いて起きてしまった事を急に思い出した。なんだかあの頃の感覚に近い気がした。体の熱さや喉の渇きの欲望に流されて水を飲むと、私の場合さらに寝つきが悪くなる。また、最近夕飯食べてないから眠気が来づらいのかもしれないとも考えた。でもこの時間にご飯を食べたら体に悪い。明日の朝ご飯に期待しよう。

まだ眠れない。私はアレクサに「リラクゼーションミュージック流して」とお願いした。アレクサから鳥の囀りや川のせせらぎのような音が遠くから聞こえてくるようだった。私は「うるさい」と思った。これから寝るのに自然の音を流さないでほしい。こう考える時点で私の調子が悪いのが自分でわかった。以前ネットで「死ぬ前に聞きたい音楽はありますか?」みたいなのを見たことがある。よくある答えが「ハッヘルベルのカノン」や「主よ人の望みの喜びよ」のようなクラシック曲が多い気がするが、死ぬ前なんかそんな余裕ないでしょ。私なんか鳥の囀りでさえ堪らないよ。

まだ眠れない。私は目を閉じ、微かに見える瞼の裏模様を眺めていた。この模様を見て、「この模様はなんかあの人の顔に似てるな。」とか「この形はスカイツリーに見えるな。」とか考えている。瞼の裏は変わることないはずなのに、何で毎日違う見え方になるんだろう?この模様を見てると様々なイマジネーションが湧いてくる。その内にこの模様が形となり、勝手に動き始める。何が何だかわからなくなってきたところにジリリリと大きな音が聞こえてきた。なんだと思って目を開けると、時計は七時を指していた。

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