【感想】2022年9月読書記録

今月はあまり読み進められなかったな。

ロバート•A•ハインライン著 『月は無慈悲な夜の女王』

月は地球の罪人たちが島流しされていた場所である。月世界人は地球人に虐げられた環境であり穀物栽培に必要な水を地球から不当な金額で購入しなければならない。このため月世界人のレジスタンスが立ち上がる。前半では革命の準備を進めながらも月世界人の暮らしぶりを描き、後半では革命の狼煙をあげて地球へ潜入し地球人と月世界人のカルチャーギャップを書き、8割ほど読み進めてやっと戦争へ突入していく。長編小説のため読了に14時間くらいかかってしまった…。

教授が作った壮大な計画について最後の最後まで全貌が明らかにならず、マニーと共に読者はしばしば翻弄されることになる。

革命で血生臭い作戦が進められる一方でマニー達の家族の交流が心を温かくしてくれる。月世界人の家族は現代のような核家族とは形は違えど家族を大事にする気持ちがあるからこそ、私はマニーに感情移入しやすかったのかもしれない。
 

地球に着いてから各国の特徴について月世界人の視点で書かれている。私はまるで地球文化の知識を持つ宇宙人が各国の特徴を分析しているような宇宙人になったような気分で読んでいた。

月世界人は革命は起こしたが、起こした側も起こされた側も本当は血を流したくない。それでも結果はどうなるかわからない。お互いその道を進むしか無く、味方から相手方の犠牲について追求されたとしても「これで良いのだ!」としか言えなくなる戦争の悲惨さが表現されていた。

マイクというAIがマイク私のは一番好きなキャラクターだ。ジョークを言い合えるロボットなんか出てきたら、私なんか人間相手に友達を作る意欲が減っていただろう。そういう意味では私は現代に生まれて来れてよかったかもしれない。そのため最後を読んだときは寂しかった。

ロバート•F•ヤング著『たんぽぽ娘』

SFボーイミーツガールがメインの小話が13編。

前半はソフトなSFの話が多く、後半はハードSFの話が多い印象。SF初心者でも楽しめる小話が多いと思う。

川を下る旅

自殺を図った二人が河で偶然出会う話。この河は夢なのか、それとも降った先に黄泉の国があるのかはわからない。それでも二人が河で出会い、お互い生きる意味を見つけられたのだから、作り話とはいえ人生どこに何が転がっているかわかったもんじゃない。

ちなみにこのストーリーに似ている話は見た気がする。なんだったんだろうと思ったらリトルバスターズだった。

エミリーと不滅の詩人たち

詩を愛するエミリーにあるとき、「詩の世界の空が落ちてきた」。

必ずしも自分のやりたいことや大切な価値観が周りの人に理解されるわけではない。この世は資本主義でまかり通る以上、固定客がつかなければ撤去されても致し方ない。それでもどうしても手放したくないものに対してエミリーがとった行動は正か負か。

多くの詩が使用されてることもあり、読んでいて心が安らかになる作品。

神風

目を見張るほどの美人で話も合うのにその正体が爆弾だとしたら、男性諸君はその爆弾を無慈悲に扱えるだろうか。昔「リア充爆発しろ」という言葉が流行ったが、文字通り爆発する人が跡を立たないだろう。

たんぽぽ娘

表題の短編小説。タイムリープもの。現代のアニメだとシュタインズゲートやまどか☆マギカのように何度もタイムリープをするけど、この時代のタイムリープは非常にシンプルなのに読後感が長編小説を読んだような満足感になる。

主従関係

最後のどんでん返しがたまらない。

先月分はこちら。

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