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【まとめ】プロフェッショナル 仕事の流儀 石井裕

タイトルの通り、NHKの番組の過去放送のまとめ本です。Amazon unlimitedで無料で読めます。

そもそも「プロフェッショナル」とは何でしょう。私はあまりこの言葉は使わないこともあり、意味まで想いを巡らしたことはありませんでした。本書での「プロフェッショナル」は次の事を意味しています。

プロフェッショナルとは、自分の流儀にしたがって仕事を積極的にこなしていく人です。輝く個性を持ち、他の人たちとのコミュニケーションにたけ、仕事を通して社会の中に喜びを生み出すことができる人。それが、プロフェッショナルです。

凡人には眩し過ぎる定義です。凡人だからこそ、こういう本を手に取ってしまうんだなとも思ってしまいます。憧れてるうちはその人に追いつけませんから。

さて、この石井裕は何をした人なのか。端的に言うと、「タンジブル・ビッツ」を研究している人です。タンジブルとは元々「実体がある」という意味があります。この言語に由来して、「タンジブル・ビット」はマウスやキーボードを利用せずに身の回りのものを「触って」それを「操作して」コンピュータを動かすことを目的とします。例えば下記のURL記事が参考になります。なんと砂を弄っていると、デジタルアートができます。あくまでこれは例として「砂」であり、用途に応じて様々な身の回りのものをインターフェースとして利用することに意義があります。このような概念そのものが当時には無く、新規性の高い研究と言えます。

このタンジブル・ビッツにより石井教授はMITでテニュア(終身雇用権)を獲得します。では、テニュアを獲得するに至った石井教授は研究するに当たって何を重要視していたのか、私が興味深いと思ったものをまとめます。

WHY

トヨタの社員は生産方式を極限に高めるため「なぜなぜ」を五回繰り返すそうです。石井教授はこの「なぜなぜ」を哲学に使っているように見えます。
「何故このテーマを研究するのか。何故自分が研究するのか。誰が喜んでくれるのか。社会がどのように変わるのか。」
トヨタはエンジニアリング思考ですが、石井教授はどちらかと言うとデザイン思考のように見えます。現代社会でやっと使われ出した概念を平成初期から使っている石井教授はやはり只者ではないです。

プレッシャーが快感になっている

茂木健一郎からの「産みの苦しみ」の期間をどのように乗り切ったか聞かれたのに対し、石井はこのように述べています。

苦しみというよりむしろ快感でしたね。何かを生み出すために、あそこまで苦しめたというのは、逆に快感で、幸せでした。

これは天才あるあるのような気がします。天才は「他の人が苦しんでやる事を喜んでやれる」と言いますが、石井もその内の一人でしょう。ありえないほどのポジティブシンキングを持つことによって、難問に挑んで解を見つけていきます。解を見つけた時の脳のドーパミンは計り知れないものになっていることでしょう。今仕事や家事で苦しい立場にいる人は、是非プレッシャーを快感に感じるように思考を変えられると少しは楽に生きれるかもしれません。

シンボルの寿命について

石井はタンジブルについて、このように述べています。

あらゆるシンボルには寿命があります。特に、乱用されるとあっという間に寿命が尽きてしまうんです。

例えば、近年だとAIという言葉があります。AIは基本的には機械学習系の技術に対して使用しますが、中にはその要素がないnon intelligenceなシステムにしばしば使われている事もあります。そういう意味では、AIという言葉はそろそろ寿命が尽きるのかもしれないです。

その点タンジブルは昔から英語として存在するものの、ほとんど使われる場面がありません。その点でシンボルとして寿命が長く、今後もタンジブルといえば、石井教授のインターフェース技術のことを指すでしょう。このようなマーケティング戦略についても石井は長けています。本当に研究者なんでしょうか。

プロフェッショナルとは

石井はプロフェッショナルとはと聞かれたとき、このように答えています。

自分がこの世からいなくなったあと、その未来の世界に自分がどういういい影響を与えられるか、どんなインパクトを残せるか。

私には未来へバトンを繋げられるような仕事は出来ませんが、せめてこの記事を読んだ人達には石井教授から良い影響を受けて頂ければと思います。

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